事実婚をえらぶ方へ

夫婦別姓を求める声が大きくなってきているにもかかわらず、民法改正にはいたっていません。仕事をしている女性にとって改姓は不都合なことが多く、事実婚を選択することにもなります。事実婚の場合の社会保険などについてお話します。
Q1、夫は30年サラリーマンをしていて、60歳の定年まで働くつもりです。私は夫より5歳年下ですが、夫の年金に加給年金はつきますか。私は現在専業主婦です。過去の厚生年金加入期間は13年です。事実婚です。

 加給年金の要件(妻の年収850万円未満)に該当すれば加給年金はもらえます。同じく事実婚を証明することは必要です。

Q2、私たちは事実婚ですが、夫が死亡したら遺族年金はもらえますか。夫は会社員で、大学卒業後ずっと厚生年金に加入しています。

 法律婚でなくとも、遺族厚生年金の支給の条件にあてはまれば受給できます。ただし、事実婚を証明するものが必要です。住民票に「未届けの妻」と記載されていれば証明になります。

Q3、小学生の子どもを連れて再婚します。私の姓、子どもの姓の問題があって、事実婚を選択しました。私はしばらく働かない予定ですが、私の子どもも夫の健康保険に扶養家族として入れますか。

 被扶養者になれるものに「内縁関係の配偶者の父母および子」は入っています。ただし、同居していることが必要です。

Q4、私たちは事実婚で、共働きしていますが、今度私が仕事をやめます。夫は会社員ですが、健康保険の扶養には入れますか。

 法律婚でなければ健康保険の被扶養者になれないということはありません。事実婚であっても、健康保険の被扶養者になれます。
 ただし、被保険者と(あなたの場合は夫)と同居していることが必要です。もちろん、国民年金の第3号被保険者にもなれます。

Q5、最初の夫が死亡して遺族厚生年金をもらっています。子どもたちも大きくなって、今ある男性を暮らしていますが、戸籍は入れていません。元夫の遺族年金はそのままもらっています。今の夫はもうすぐ60歳になりますが、加給年金はもらえますが。また、今の夫がなくなれば、遺族年金はもらえますか。

質問2と同じですが、社会保険上は法律婚ではなくても、事実婚で大丈夫です。
事実婚であっても、加給年金や遺族年金の対象になりますが、その反対に元夫の遺族厚生年金はもらえません。
現在の状態が「事実婚」といえるのなら、今後は元夫の遺族厚生年金をもらえませんし、事実婚がはじまったときにさかのぼって、遺族厚生年金を返すことになります。
「婚姻」ではなく「お友だち」関係なら、加給年金や遺族厚生年金は請求できません。

Q6、高校生の子どもを連れて再婚しました。私の姓、子どもの姓の問題があって、事実婚です。私と子どもは夫の健康保険の扶養に入っていますが、子どもが県外の大学に入学することになりました。健康保険はこのまま夫の扶養になれますか。

 被扶養者になれるものに「内縁関係の配偶者の父母および子」は入っていますが、同居していることが必要です。住民票を別にしてしまうと、夫の扶養には入れません。扶養に入っておくためには、このまま住民票を移さない、夫と養子縁組をする(これでは姓がかわります)、母が厚生年金のある会社に就職して、子どもを扶養に入れる(この場合なら同居でなくてもよい)しか、ありません。このままの状況で住民票を移せば、子どもだけ、国民健康保険に加入することになります。

Q7、事実婚はどのように証明すればいいですか。

Q2のように、住民票に「未届の妻」「未届の夫」と記載してあることが証拠となります。
その他には、賃貸契約書、連名の郵便物、結婚式の案内状などがありますので、そのようなものは捨ててしまわずに、残しておきましょう。

Q8、事実婚を解消する場合、年金分割はできますか。

第3号被保険者として認められた期間については、年金分割の対象となります。第3号被保険者以外の期間は対象となりません。

Q9、事実婚ですが、年金分割のための情報提供を受けることはできますか。

第3号被保険者があれば情報提供は受けられます。
それぞれの戸籍抄本、現在いっしょに暮らしていることを証明する住民票を添付します。



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