事例5 女性が35歳以降15年厚生年金に加入した場合

43歳から会社に勤め始めました。それまでは国民年金に加入していました。現在57歳、勤めて14年になります。身体の調子が悪いので、退職したいのですが、女性は35歳以降の厚生年金加入期間が15年あると、年金額が増えると聞きました。ほんとうですか。夫は結婚当初から30年会社に勤め、先月60歳の定年をむかえ、退職しました。現在年金を請求中です。


男性40歳以降15年、女性35歳以降15年、厚生年金の加入期間がある場合、年金額の計算において、特例措置があります。
定額部分を計算するとき、通常なら実期間(444月以上になるときは444月の頭打ちあり))で計算するのですが、この特例にあたる場合は、20年とみなして、計算します。
つまり、15年の厚生年金期間なら、180月として計算するところ、240月として計算します。定額部分の計算では60月分増えることになる、金額としては年額約10万円、年金が増えることになります。

ところが、夫がサラリーマンで20年以上厚生年金に加入していた場合、夫には加入年金が支給されます。(年額227,900円、生年月日により加算あり。平成21年度価格)

妻が15年の特例に該当すると、受給権が発生したときから、夫の加給年金は支給停止となり、もらえなくなります。加給年金が支給停止となれば、妻は65歳以降振替加算ももらえません。

15年になるまで厚生年金に加入して年額約10万円の自分自身の年金の増加をめざすか、それとも15年未満で退職し、年額20万以上ある夫の加給年金をもらい、65歳以降は振り替え加算をもらうか。
どちらがいいとはいいきれません。65歳未満で離婚した場合は、少しでも自分の厚生年金が多いほうがいいし、夫とずっといいしょに暮らすなら、加給年金をもらえるほうが、世帯としての年金額は増えるからです。

この事例からわかったこと

 女性35歳以降15年以上厚生年金に加入したほうがいいかどうかという場合、単に年金額が増えるからいいと答えると大きなまちがいとなります。夫に加給年金がつくかどうか、必ず確認し、本人の選択にまかせることが大切です。