事例6 60歳以降加入した厚生年金、年金はいくら増える?

昭和13年9月10日生まれ男性。国民年金に加入していた期間が長く、第1号被保険者として保険料を納めたのは314月。厚生年金に加入したのは99月ですが、そのうち60月(5年)は60歳から65歳までの期間です。60歳以降は給与が高く、年金は全額停止になっていました。60歳から65歳まで厚生年金に加入した期間分、年金はどれだけ増えますか。


 65歳になった時点て、年金額は再度計算しなおします。そして、60歳から65歳まで加入した分が加算されます。

 まず、老齢厚生年金(報酬比例部分)が60月分増えます。
 老齢厚生年金の定額部分は老齢基礎年金として計算されますが、、老齢基礎年金の計算はあくまでも20歳から60歳未満の加入期間で計算されます。20歳前の期間と60歳以降の期間は除かれます。
では、60歳以降加入した分は、報酬比例部分にしか反映されないのかということになりますが、そうではありません。経過的加算額に反映されることになります。

 老齢基礎年金 792,100×353/444=629,755円
 ※年金加入期間は全部で413月ですが、20歳から60歳未満の期間は353月。

 経過的加算額 154,167円
 1676×1.369×99(厚生年金実加入期間)×0.985=223,743
 792,100×39(20〜60歳未満の厚生年金加入期間)/444(加入可能年数)=69,576円
 223,743−69,576=154,167円
 この経過的加算額が報酬比例部分に加わり、老齢厚生年金として支給されます。

この事例からわかったこと

 老齢基礎年金は20歳から60歳までの加入期間で計算します。したがって、60歳以降加入した厚生年金の期間は老齢基礎年金には反映されません。
 経過的加算額には反映されます。ただし、60歳までの期間が444月ある場合は、経過的加算額も増えることなく、60歳以降加入した厚生年金は報酬比例部分にしかつながらないことになります。