事例7 遺族年金はもらえるか

 A子さんには子どもが3人います。夫は会社を経営していますが、経営がきびしくなって事業主負担分の社会保険料が支払えなくなり、社会保険から強制脱退させられてしまいました。
その後健康保険だけは任意継続したのですが、国民年金の保険料まで支払えず、滞納していまいた。(滞納期間は9ヶ月)その間にA子さんの夫ががんであることがわかり、しかも余命いくばくもないこともわかりました。A子さんは遺族年金をもらえるだろうかと相談に来られました。



 遺族基礎年金をもらうには、保険料納付要件を満たさなくてはなりません。
@当然おさめるべき期間の3分の2以上保険料を納めているか、
そうでない場合は、
A死亡日の前々月から直近の1年間、保険料の滞納がないか
ということです。
 A子さんの夫は@の要件にはあてはまりませんでした。となると、国民年金の滞納してる分の保険料を納めて、Aの要件を満たす以外に方法はありません。
 A子さんは、なんとか滞納している分を納めました。納めて数日後、夫は亡くなりました。
 その後、A子さんの夫は死亡原因となった病気について、強制脱退させられる前の厚生年金の被保険者期間中に病院で診察をうけていたことがわかりました、(初診日が厚生年金の被保険者中にあった)
 その結果、A子さんには、遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されました。A子さんは3人目の子どもが18才の年度末になるまで(高校卒業時まで)遺族基礎年金と遺族厚生年金をもらい、その後は遺族厚生年金と中高齢寡婦加算(594,200円)を65才になるまでもらい、65才以降は自分の老齢基礎年金と遺族厚生年金と経過的寡婦加算額を一生もらうようになります。

この事例からわかったこと

@遺族年金をもらうには保険料納付要件が必要。死亡日の前日で判断するので、死亡してからあわてて保険料を納めても間に合わない。
A厚生年金を脱退していても、厚生年金加入中の初診日から5年以内に死亡した場合は、遺族厚生年金が支給される。(保険料納付要件を満たしていることが条件)

(注)現在は、社会保険料を滞納したことによる強制脱退はありません。