事例9 老齢基礎年金の一部繰上げとは?

私の夫は昭和17年8月5日生まれです。長い間、会社に勤めていましたが、60歳で定年退職します。再雇用制度はなく、他の会社で再就職できなければ、年金だけがたよりです。しかし、60歳から61歳までは約半分くらいの年金しかもらえません。そういう場合、老齢基礎年金の一部繰上げという制度があると聞きましたが、どんなしくみですか。


定額部分の支給開始年齢が段階的に引きあがられる人については、老齢基礎年金の一部を繰り上げてもらうという選択肢があります。老齢基礎年金の一部を繰り上げてもらうことで、特別支給の老齢厚生年金の定額部分も、繰上げてもらうことができます。
ただし、繰上げを選択すると、あとで取り消すことはできません。また、いったん減額された年金額は、減額されたままです。もとにもどることはありません。

くわしいことは図をみればよくわかります。 ここをクリック

ただし、雇用保険から失業給付をもらう間は、年金は支給停止となります。(繰り上げた老齢基礎年金部分は停止にはなりません。)
一般的には、雇用保険からの給付が終わってから繰上げの請求をしたほうがいいのですが、基本手当の金額など、よく計算した上で決めましょう。


この事例からわかったこと

@報酬比例部分の年金だけでは生活できないような場合、有効な方法です。

A年金額は減りますが、老齢基礎年金全部を繰り上げるより、年金額の減少は少ないです。

B繰上げしたあと、障害の状態になっても、障害年金はもらえませんが、どちらにしても、老齢年金と障害年金、両方はもらえません。厚生年金期間の長い方は、老齢厚生年金も障害厚生年金も、かわらないくらの金額になるので、障害年金をもらえなくなる心配はしなくてもいいでしょう。

C雇用保険の基本手当と両方はもらえません。基本手当をもらっている間は年金は支給停止となります。一部繰上げした場合は、老齢基礎年金部分は、基本手当をもらっていても支給停止とはなりません。