事例13 老齢厚生年金と遺族厚生年金の調整

私が50歳のときに夫が死亡し、遺族厚生年金をもらっています。また、それ以降会社勤めをして、厚生年金に加入しています。今年60歳になるけれど、年金はどうなりますか。また、60歳以降も厚生年金に加入したら、年金は増えますか。

 60歳になった時点で、自分自身の老齢厚生年金をもらうことができます。しかし、自分の老齢厚生年金と夫の遺族厚生年金は、60歳〜64歳まではどちらかひとつしかもらうことができません。どちらか多いほうを選択することになります。厚生年金の加入期間が短くて、しかも賃金が低い女性の場合は、夫の遺族厚生年金を選んだほうが有利なことが多いようです。
 遺族厚生年金がかなり多くて、遺族厚生年金を選択した場合、60歳以降仕事を続けて厚生年金に加入しても、年金は増えまぜん。
 厚生年金に加入できない短時間のパート勤務になって、国民年金に任意加入したほうが、65歳からもらう年金額は増えることになります。
 ただし、これも、わからないのが人生です。その後、再婚したとなると、話はかわってきます。

 遺族厚生年金をもらっているが、60歳以降も会社で仕事を続けるという場合。
 60歳になって時点で、自分の老齢厚生年金の権利が発生するのはさきほどの説明とおりです。手続きにいってどちらか多いほうを選択しますが、在職中は、自分の老齢厚生年金が最低2割はカットされることに注意しましょう。遺族厚生年金はカットされることはないので、遺族厚生年金を選んだほうが有利になることが多いのです。(もちろん、額はきちんと調べて、多いほうを選択する)
 そして、例えば63歳で退職した場合。雇用保険からの失業給付の基本手当と、自分の老齢厚生年金は両方もらえない。その間は、遺族厚生年金を選択したほうがよいのです。遺族厚生年金と雇用保険からの給付はどちらもカットされずにもらうことができます。そして、基本手当をもらいおわったときに、また、どちらか多い方を選択するようにします。

この事例からわかったこと

@60歳〜64歳まで、老齢厚生年金と遺族厚生年金はどちらか、選択します。

A遺族厚生年金をもらっている人が60歳以降厚生年金に加入しても、65歳からの年金がまったく増えないこともあります。

B老齢厚生年金と雇用保険の基本手当は両方もらえませんが、遺族厚生年金と基本手当は両方もらうことができます。