事例15 老齢厚生年金の退職時改定

60歳以降も会社に勤務し、65歳で退職する予定です。60歳から65歳まで厚生年金に入るけれど、その期間分、年金は増えますか。増える場合は、いつから年金額が変わりますか。

 まず、60歳時点で年金額を計算します。それ以降も厚生年金に加入した場合、もちろん、その加入期間分、年金は増えます。しかし、次に退職する(厚生年金の資格を喪失する)ときまで、年金額は変わりません。65歳まで働き続けるのなら、65歳までは同じ年金額。65歳で退職したときに、5年分が追加されることになります。
 では63歳でいったん退職すればどうでしょうか。年金額は改定されて、その時点で3年分の年金が増えます。
 それでは途中でいったん退職して、また厚生年金に加入したほうが得ではないかと思われますが、そのとおりです。ただし、厚生年金の資格喪失から取得まで、1ヵ月以上の期間が必要です。資格を喪失した日から起算して1月を経過した日の属する月から、年金の額を改定すると定められています。(厚生年金保険法第43条)
3月31日に退職した人は、翌日4月1日が喪失日ですので、退職改定は、5月分からです。3月30日に退職した人は、資格を喪失した日かた1ヵ月を経過した日は4月30日ですので、4月分から改定されます。
年金を増やすために、いったん退職、資格喪失という手続きを取ることの是非はあると思いますが、退職時改定のしくみはそうなっています。

この事例からわかったこと

@60歳以降の厚生年金加入期間分は、次に退職したときに、年金額が改訂されます。

A退職時改定は、被保険者の資格を喪失し、その翌日から再就職せずに1ヵ月経過した日の属する月から。