事例20 健康保険からの傷病手当金と在職老齢年金

63歳の男性。60歳定年後も働いていましたが、病気になって2月後半から休職。結局、3月31日で退職しました。会社に勤めている間は、一部カットされた、在職老齢年金をもらっていました。3月は休職して給料も出なかったので、健康保険の傷病手当金を申請しようと思います。自分の年金と傷病手当金は、両方もらえるのですか。傷病手当金と年金をくらべると、年金額の方が多いです。

健康保険からの傷病手当金は、病気やけがで仕事ができない、なおかつ、賃金が支払われないときに支給されます。金額は、1日分が標準報酬日額の3分の2です。
有給休暇を使っている間は対象なりません。賃金が支払われない場合です。また、入院していなくても、仕事ができない状態なら対象になります。医師の証明が必要です。
4日以上仕事を休んだ場合に、4日目から支給対象になります。3日間は支給対象になりません。この3日間は有給休暇を使っていてもいいのです。

在職中は、在職老齢年金と傷病手当金を両方もらうことができます。
退職後に傷病手当金がもらえるのは、退職前から引き続き傷病手当金を受けている場合です。ただし、退職後の老齢厚生年金・老齢基礎年金と傷病手当金は、両方もらうことができません。年金の方が多い場合は、傷病手当金はもらえません。
傷病手当金の方が多い場合、年金との差額が支給されることになります。
この場合は、3月分は傷病手当金と在職老齢年金両方もらえますが、4月以降は傷病手当金はもらえません。年金額が傷病手当金より多いので、年金だけをもらうことになります。

この事例からわかったこと

@在職老齢年金と傷病手当金は、どちらも受給できる

A退職後、傷病手当金と老齢基礎年金・老齢厚生年金は、併給できない。年金額が少ないときは、傷病手当金との差額が支給される。