事例22 死亡した人の未支給の年金

生活保護を受けていた弟が7月15日に死亡しました。弟は10年以上入院していて、入院先の病院で死亡しました。姉である私は、弟の身元引き受け人となっていましたが、経済的な援助はしていません。
弟は、老齢基礎年金と老齢厚生年金をもらっていました。未支給の年金を、姉である私がもらうことはできるでしょうか。


年金は後払いです。
年金は死亡した月の分まで支払われます。死亡した人に支払われるはずであった年金が残っているときは、遺族にその分の年金(未支給年金といいます)が支払われます。 この場合、死亡が7月15日ですので、本人が受け取れる年金は7月分までです。6月分と7月分が8月15日に振り込まれる予定でした。その年金をもらわずに、死亡してしまったわけですが、当然本人がもらえるべき年金が残っているのです。
このように、年金をもらっている人が死亡した場合は、未支給年金が発生します。
ただし、死亡した人に年金は支給されませんので、残された遺族が未支給の年金を受け取ることになります。 未支給年金を受け取ることのできる遺族は、年金を受けていた方の死亡当時、その方と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹です。未支給年金を受けられる順位もこのとおりです。
「生計同一」ということが必要です。同居・別居は関係ありません。

生活保護を受け、入院していた弟と、姉が生計同一関係にあるかどうかということが、この場合は問題になります。
この事例では、入院先の病院で「生計同一」証明を書いてもらい、姉は未支給年金をもらうことができました。

未支給年金は、遺族が自分の名前で請求します。亡くなった人の口座に振り込まれるわけではありません。 ただし、手続きがまにあわず、死亡した人の口座に振り込まれてしまう場合もあります。通常、死亡がわかった場合、死亡した人の銀行口座は、入金・出金ともストップされますが、年金だけは、振り込まれることになっているようです。(すべての銀行のことはわかりませんが)
すでに振り込まれた年金を、未支給年金を支給したものとみなされる場合もあります。もちろん、未支給年金の請求は必要です。
ただし、未支給年金を請求できる遺族が誰もいない場合は、すでに振り込まれた年金を返還することになります。

この事例からわかったこと

@年金を受給していた人が亡くなった場合は、未支給年金が発生する。

A未支給年金を受け取ることのできる遺族は、年金を受けていた方の死亡当時、その方と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母または兄弟姉妹である。