事例24 請求していなかった配偶者加給年金

私は今月60歳になりました。夫は66歳。私たちは10年前に結婚しましたが、事実婚です。そしてふたりともずっと勤めていました。私が老齢厚生年金の手続きをするときになってはじめて気がついたのですが、60歳から老齢厚生年金をもらっている夫は、配偶者加給年金をもらっていません。籍が入っていないので、「配偶者なし」で年金を請求していました。
今からでも、請求できるのでしょうか。


事実婚であっても配偶者加給年金の対象となります。ただし、生計維持関係を証明することが必要です。
この事例の場合、厚生年金に20年以上加入していた夫は、60歳から特別支給の老齢厚生年金を受給しています。60歳から定額部分と報酬比例部分を受給できる世代なので、当然、妻がいれば、加給年金の対象となります。ただし、妻には収入が850万円未満という条件があります。
夫が60歳時点での生計維持関係を証明することが必要になりますが、要件に該当していれば、今から5年前までさかのぼって、加給年金分を受け取ることができます。
ただし、妻の厚生年金加入期間が20年以上あるので、妻が60歳になって妻自身の年金の受給権が発生したら、加給年金は支給停止となります。
この事例の場合、加給年金の権利が発生してから5年以上たっているので、できるだけ早く手続きをすることが大切です。
手続きに必要な書類については、社会保険事務所でよく確認すること。夫60歳時点での証明が必要ですので、所得証明なども、その時点のものを用意しなければなりません。

「生計を維持する」とは
受給権者(この場合は夫)と生計を同一にしていた人で年収850万円の収入を将来にわたっても得られないこと。

「配偶者」とは
事実婚関係にあたる人も含む。事実婚とは、婚姻の届出をしていないが、社会通念上、夫婦としての共同生活を認められる事実関係があること。

この事例からわかったこと

@事実婚であっても加給年金の対象となる。

A請求していなかった加給年金については、さかのぼって請求することができる。