事例26 受給辞退の申出と加給年金

35歳以降の厚生年金加入期間が15年以上ある女性です。在職老齢年金により年金額はカットされるので、年金額としては期待できません。さらに、60歳から報酬比例部分の年金を受給すると夫の加給年金が支給停止されてしまうと聞きました。受給辞退の申出をすれば、夫の加給年金は減額されませんか?

平成16年の法改正で、19年4月から受給辞退の申出が可能となりました。年金の受給を辞退したいという意思のある人は、自らの意思で、年金を支給停止することができます。

受給の申し出が可能な年金給付は、国民年金および厚生年金保険法に規定する年金給付(他の事由により既にその全額につき支給が停止されている年金給付を除く)です。

ただし、次の規定に注意してください。

受給辞退の申出により、その支給停止されている年金給付は、政令で定める法令その他の規定の適用について、その支給を停止されていないものとみなす。

これは、夫婦で各々に加給年金が発生する場合に、一方が受給辞退を申し出ても、支給停止されていないとみなされるので、結局、各々の加給年金は支給されないということを意味します。
つまり、加給年金をもらうために、受給辞退の申出をするのは、まったく意味がないということです。

この事例からわかったこと

@受給辞退の申出をしても、加給年金については、年金給付が支給停止されていないものとみなされる。