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知っておきたい年金のはなし     第3号 2003年4月1日発行

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4月になりました。
だんだんあたたかくなっていく春! 大好きです。
いい季節なのに、暗い話題も多いですね。
健康保険の本人3割負担、それから、年金額もさがります。ますます、財布のひもはかたくなるでしょうね。
第2号にもいろいろな感想をいただきました。それから、相談も!
ご質問がある場合は、ご遠慮なく、メールください。必ずお返事しますので。
なお、第3号がはじめての配信となる方は、バックナンバーをWebページに掲載していますので、ごらんください。
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第3号の話題は、年金の保険料
★★★ サラリーマンの妻は年金でお得? ★★★
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前回登場した、心の中に離婚願望のあるゆみこさんは、サラリーマンの妻でした。
ゆみこさんは、国民年金の保険料を自分で払う必要のない、サラリーマンの妻です。つまり、自分ではお金を出さないのに、年金という「家」がどんどんできあがっていくというしくみです。このしくみ、どうなっているのでしょう。
ここではわかりやすいように、「サラリーマンの妻」という表現をしますが、その逆でもいいのです。妻が働いていて、夫が主夫している「サラリーマンの夫」でも可。その場合は、夫と妻を入れ替えて読んでくださいね。

●サラリーマンの妻は保険料を払わなくていい
そうなのです。夫がサラリーマンで厚生年金や共済年金に加入している場合、その扶養家族となっている妻は、自分で国民年金の保険料を払わなくてもいいことになっています。「第3号被保険者」という制度です。

●妻の分は夫が保険料を払っているのですね?
それは違うのです。夫は妻の分を上乗せして保険料を払っているわけではありません。妻のいる男性も、独身の男性も、お給料が同じなら、払っている厚生年金の保険料は同じなのです。会社が上乗せして払っているわけでもありません。

●では、誰が負担しているのでしょう
大きなプールがあると考えてください。年金の保険料というプールです。その中に、会社に勤めているあなたも、あなたの横にすわっている同僚も、うるさい上司も、そして社長も、みんなが支払った保険料がどんどんたまっていきます。そのプールの中から、「はい、これはサラリーマンの妻の分ですよ」とバケツで決められた分だけ汲み出している…そんなイメージしてください。
つまり、サラリーマンの妻の年金は、みんながそれぞれ出し合っていると考えていいのです。もちろん、国もお金を出していますが。

●ということは、自分でお金を出さないけれど、家が建つわけですね。
年金制度は2階建ての家です。サラリーマンの妻は、自分でお金は出さないけれど、平屋の家が手に入るということになるのです。

●20歳から60歳までずっとサラリーマンの妻だったら?
一度も保険料を払うことなく、国民年金としては一番大きな家が手に入ることになります。年金額は満額になります。

●お得なんですね、妻の立場。
自分のお金を出さずに家が手に入るということだけ考えれば、そうかもしれません。でも、この家には2階がありません。1階だけの家では、将来が心配。となりに大きな夫の家があって、いつでも利用できるならいいですよ。でも、もし通路に鍵がかかったら・・・

●サラリーマンの妻も2階がほしいな。
なんとか2階を自分の手で建てておこうと思ったら、どんな方法があるのでしょう。公的なものを利用してと思っても、自分で保険料を払っていない妻は、付加年金も国民年金基金も利用することができません。自分で私的保険に入るしかないのです。(付加年金や国民年金基金については、のちほどお話しますが、国民年金加入者の上乗せ制度です)

●あっというまに、消えてしまう家
20歳から60歳までずっとサラリーマンの妻だった人が、自分の年金をもらうことなく、死亡したらどうなるか。残された夫には、何もありません。死亡一時金もありません。なぜなら、自分で保険料を払っていないから。家は妻といっしょに消えてしまいます。建物の家なら、その人が亡くなったあとも家だけは残りますね。しかし、この場合は、あとかたもなく、消えてしまいます。

●これからも続くのでしょうか、このしくみ!
たぶん、続かないでしょう。今、見直し案がいくつか出されています。どの案になるかわからないけれど、来年の年金制度の改訂では、きっとかわるでしょう。

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お得かどうか、それは誰にもわかりません。なぜなら、人生はわからないものだからです。目の前の保険料だけで損得を考えられないのです。保険料を支払っていてよかったと思うこともあるかもしれません。支払って損したじゃないかと思うこともあるかもしれません。
わからないから、わからないときに備えておくのが年金です。それだけは言えると思います。

最後に、ご報告。
まぐまぐの新作メールマガジン、コミュニティ部門で「知っておきたい年金のはなし」が登録数第1位となりました。これからだと思っています。