★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

知っておきたい年金のはなし     第4号 2003年4月11日発行

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

福岡ではもう桜の花もおわりです。
桜をみていると、ふわふわしてとてもあたたかい気持ちになりました。
では、今回もどうぞお読みください。
第4号がはじめての配信となる方は、バックナンバーをWebページに掲載していますので、ごらんください。
……………………………………………………………………………………………
第4号の話題は、男性必読!
★★★ 年金制度は男性に冷たい!! ★★★
……………………………………………………………………………………………
私は年金相談員として、たくさんのお客様にお会いしましたが、女性からよくあるのは「夫が死亡したときに私は年金をもらえますか」という質問です。
男性からは「私が死亡したら妻は年金で暮らしていけますか」という質問もあります。
だいたいの金額をお知らせすると、「安心しました」と言われる方も。やさしいですね。
ところが、いまだに聞かれたことのない質問。
それは、妻からの質問です。「私が死亡したら、夫は遺族年金をもらえますか」
そういえば、男性からもほとんどないような気がします。「妻が死亡したら、私は年金をもらえますか」と。
聞きにくいのか、思ってもみないのか、ほんとは気にしているのか、どうなのでしょう。(男性の方、教えてくださいね)
「妻が死亡した場合、残された夫は遺族年金をもらえるか」今回の話題です。

●共働き、厚生年金に加入、稼ぎのいい妻の場合(子どもは20歳をすぎました)
2人の収入で生活していたのですよね。稼ぎのいい妻がいなくなったら困るなあというのは本音。でも、妻がなくなったときに55歳未満の夫だったら、何ももらえません。遺族年金の権利そのものが発生しないのです。(これとは逆に、死亡したのが夫であれば、妻は年齢に関係なく遺族年金をもらうことができます)
妻がかつて自分で国民年金の保険料を支払っていた期間が3年以上あれば、わずかな死亡一時金は出ますが、それはお葬式代のたし(?)になるぐらいです。

●55歳以上の夫が登場しました
55歳以上の夫には、妻の遺族厚生年金の権利が発生します。でも、すぐにはもらえません。60歳になってからです。

●よかった! 55歳以上の夫ならいいのですね
ところが、60歳になると、自分の年金、もらえますよね。自分の年金と妻の遺族年金、両方もらえないのです。どちらか多い方! 自分の年金を選んだほうが有利になる場合、結局、遺族年金はもらえないことになってしまいます。
でも、ここで注意してくださいね。年金をもらう年齢は、若い人ほど遅くなります。例えば、62歳から自分の老後の年金をもらえる人なら、60歳から62歳になるまでは遺族年金をもらって、62歳以降は自分の年金をもらうということができます。

●妻の掛けた年金が全くもらえないなんて、詐欺みたいなものじゃないですか
何のために妻は長い間保険料を払ったのかという気持ちになりますね。妻自身ももらわず、残された夫ももらえず。今までの保険料はどうなったの? あえて言うならば、みんなのためにはなりました。

●子どもがいたらもらえますか
高校生を卒業するまで(正しくは18歳の年度末まで)の子どもがいる場合、夫はもらえないけれど、子どもには権利が発生します。
遺族年金も2階建ての家。厚生年金に加入していた妻は2階建ての家にすんでいたので、遺族年金も2階建てです。

●子どもがもらえるならいいかな。そのお金を生活費に使えるし。
ちょっとまって! 残された子どもがおとうさんといっしょに生活する場合、1階の遺族基礎年金はストップします。子どもがもらえるのは、2階だけ。

●おかしいですよ。1階がなくて、2階しかない家って・・・
年金制度はこう言っているのです。ちゃんとおとうさんがいるでしょ。おとうさんが1階を用意しなさい。2階だけは手助けしてあげましょうと。
(母と子で生活する場合には、1階と2階が用意されます)

●でもうちは、妻の方が稼ぎがよかったのですが
年金制度は、なかなか修理のきかない、昔ながらの古い家なのでしょう。「男は働いて稼いでくるものだ、女は家にいてもいいよ」とそんなことを思っているのです。ほら、ひそひそささやく声が聞こえてきます。

……………………………………………………………………………………………
年金制度は、男性に冷たいのです。もっと他にもありますよ、冷たい仕打ち。
年金制度をかばってあげるわけではありませんが、年金制度はひとりわがままして、男性にいじわるしているわけではないのです。今までの歴史があるからです。昔ながらの家をしっかり守っているわけです。でも、そろそろ修理が必要になってきたような気がしませんか。