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知っておきたい年金のはなし     第5号 2003年4月21日発行

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こんにちは。
早いもので第5号。

夜中、パソコンを前にしてメルマガを書いているように思われますが、実はそうではないのです。歩いているとき、ごはんを作っているとき、お風呂に入っているとき、そんなとき、頭の中で文章を書いているのです。ふっとひらめいたら、それでよし! 今日のおはなしも台所から誕生しました。

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第5号の話題は、男と女のちがい
★★★ 男と女はここが違う! ★★★
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今度生まれるとしたら、男がいいですか。女がいいですか。
私は、やっぱり女かなあ。「女に生まれて損した」と思っていないからでしょうか。
「男である、女である」ただそれだけで差別することはやめようと、今ではいろいろな法律がつくられています。でも、年金制度は違うのです。
前回にもお話しました。修理が必要かもしれない古い家。今回は、いくつかある部屋をまわって、いろいろとチェックしてみましょうね。くれぐれも迷子にならないように!

●リビングルームはみんな同じ

玄関のドアをあけると、まず、リビングルーム。みんなの部屋。
「老後の年金」は誰もが対象となる年金です。リビングルームのようなもの。
これには男女の差がありません。年金をもらうのに必要な加入期間や、年金額の計算とか、こういったものは同じです。

●でも、よく探してみれば、ちがうところがありました。

みんな同じソファーでくつろぐリビングルームですが、ひとつだけ女性専用ソファーがありました。厚生年金に15年加入していれば年金をもらえる権利が発生すると言う特例がありますが、これは、男性は40歳以降15年、女性は35歳以降15年。ちょっとだけ女性のほうが有利です。
この特例、まったく年金の保険料を払ったことがない人で、たとえば45歳から60歳まで会社勤めをすると、それだけで年金をもらえる権利ができるというしくみです。(生年月日によって違ってきます。誰にでもあてはまることではありませんので、要注意!)

●リビングルームの階段をあがっていくと、そこは2階。

この家の造りはちょっとかわっています。リビングルームの中に2階へ上がる階段があります。そこから2階へあがってみましょう。
この2階、男性と女性とでは、ちょっとちがいます。
老後の年金の2階部分、つまり老齢厚生年金は、もらいはじめる年齢が男女で異なります。女性のほうがちょっとお得。いずれは男女とも65歳からしか年金をもらえなくなるのですが、女性は男性よりも5年おくれで、その分有利!

●どうしてこんな違いがあるの?

ちょっと昔、年金をもらうのは、女性は55歳から、男性は60歳からというのが、決まりごとでした。「女はそんなに長く働かない」と年金制度は考えているので、女性には男性より少し早くあげましょうということだったのです。
ただし、今後は男性も女性もまったく同じになります。

●おとなりは、ゆっくり休養するための部屋

ここは何の部屋かって? 病気やケガで働けなくなったとき、治療したり、リハビリしたり、ゆっくり休養したりするための部屋です。つまり「障害年金」。これには、男女の差はありません。

●そのおとなりの部屋、カーテンがしまっています

この部屋は、遺族年金。これが男と女では、決定的に違うのです。
遺族年金の1階部分「遺族基礎年金」をもらえるのは、「子のある妻」と「子」だけです。夫はだめ! 2階部分の遺族厚生年金は、夫も対象になるのですが、55歳以上の夫でしたね。

●これも差がある、「寡婦」と「寡夫」

どちらも「かふ」。配偶者に先立たれた人。所得税には「寡夫控除」というのがあって、妻に先立たれた夫を援助してくれますが、年金制度には「寡夫」という言葉さえありません。

●ずっと国民年金に加入していた夫が亡くなったとき

国民年金に加入していた夫が亡くなって、しかも子どもは大きくなって独立してしまったというとき、妻は遺族基礎年金をもらえません。でも、条件にあえば60歳から「寡婦年金」がもらえるのです。
ただし、妻を亡くした夫に「寡夫年金」はありません。妻を亡くした男性を助けてくれないのが、年金制度です。

●夫を亡くした40歳以上の妻にはプラス分があります

遺族厚生年金をもらっている40歳以上の妻には中高齢寡婦加算という加算があります。これにも条件は必要ですが、「少ない年金で大変だね、40代にもなるとなかなか仕事もないだろうから、上乗せしてあげようか・・」というのが、年金制度の本音かも。
女性にとっては大変失礼な態度かもしれませんが、プラスになるのは事実です。でも、妻を亡くした夫には、これまた、何のプラスもありません。

●やはり、修理だなあ

だれにもやってくる老い。そのくらしを支える年金と言う家は、男性でも女性でもほんとうは同じであるべきなのでしょう。
でも、平等にするということは、低い基準にあわせるということではないはずですよね?

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「遺族年金を無くせば!」という声もあります。
でも、ひとりで子育てしながら、大変なくらしをしている人には、男でも女でも、同じように手をさしのべていいのではないでしょうか。それも、もっとあたたかい手が必要なのかもしれません。(これは年金制度に限りませんが)
かなり古くなった家。しかし、ほんとに修理をするなら、安心してくらせる、気持ちのいい家にしたいものです。
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