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知っておきたい年金のはなし     第6号 2003年5月1日発行

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ゴールデンウィークはいかがおすごしですか。
今年はカレンダーのせいで、「ゴールデン」ではないようですね。
私は有田の陶器市(佐賀県)が大好きです。何回か行きました。今年も行きたいなあと思いつつ、行けないままにおわりそう・・・

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第6号の話題は、これからの年金制度です
★★★ 女性と年金、どうなるの? ★★★
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修理が必要な年金制度という家、どんなふうにリフォームしようかと、検討されています。ひとことで言ってしまうと、「どの部屋を小さくしようか、どれだけ小さな家にしようか」という計画です。

「広いリビングのある、ゆったり暮らせる家を用意しよう」ということではありません。

その中でも、女性と年金について、いろいろな案があるんです。つい先日の4月22日も、厚生労働省の社会保障審議会で、サラリーマンの妻の年金問題について、話し合われました。そこでも、新しい提案がありましたが、それはひとまず横において、どんなリフォーム案があるのか、みてみましょう。
(昨年12月に出された、厚生労働省「年金制度の骨格に関する方向性と論点より」)

●夫の年金をふたりで分ける

夫が会社勤めで、妻は専業主婦という家庭。妻は国民年金の保険料を払わなくていい、夫だけが2階建ての家、妻は平屋に住んでいるということでしたね。
まずは、夫の2階をふたりでわけようという案です。夫の2階に2部屋あるとする。その1部屋をよいしょと運んで、妻の家の2階に1部屋をつくる、そんなイメージです。

●ふたりでわけるとなると、夫の年金は減って妻の年金は増えるの?

そういうことです。夫が元気で働けるのは妻のおかげということで、年金の半分は妻のものになるのです。たとえば、10万円のお金があるとすると、5万円ずつ、ふたりでわけましょうということです。 ●もし、そうなったら、離婚したらどうなるの?

いつ年金を分けるというのでしょうか。これが問題ですが、そこまでは、まだわかりません。
夫の年金の権利が発生するときに分けるのだとしたら、それまで離婚できなくなるでしょう。たとえば60歳になってはじめて分けるのだとしたら、それまで別れられないことになってしまいます。
そのつど、妻の年金期間に加えていくような方法をとるなら、いつ離婚してもいいでしょう。

●こんな心配も

離婚したくても、話し合いが成立して離婚できないような夫婦。夫も離婚したくてたまりません。そんなとき、もう妻に対する愛情って少しもないですよね。
いざ、分かれるとなると、妻にはごっそり年金をもっていかれ、そのあと再婚したら、新しい妻には年金が少ない。こんな夫も登場するのかなと思うと、複雑な気がします。
夫の側にたつと、年金の分割なんてしたくないでしょうね。
妻はしっかり年金をもっていきたいものですが。

●サラリーマンの妻も保険料を払ってね

ふたつ目の案は、サラリーマンの妻も、ちゃんと保険料を払ってもらうようにしようという案です。保険料の決め方はいろいろあるでしょう。みんなと同じ国民年金保険料を払うとか、夫の保険料に上乗せするとか。とにかく、「ただはダメ! ちゃんと払ってね」ということなんです。

●払わなくてもいいけれど、年金を少なくするよ!

それから、その次の案は、「今までどおりで保険料払わなくていいよ、でも、保険料を払っていないのだから、年金額を少なくするよ」という案。
ただでさえ少ない年金が減ってしまったら、これまた、たまりません。
そうそう、この4月からも、年金額が下がってしまいましたものね。

●保険料を払う人を増やそう!

サラリーマンの妻として保険料を払わなくていいのは、収入が130万円未満の人。だから、パートで働いているとき、収入を130万円未満におさえて、扶養に入っていたほうが得!というのは、このためです。
仮に150万円働いたとします。年金や健康保険の保険料を負担して、おまけに税金まで増えるとなると、ほとんど残らないかもしれません。逆にマイナスになることもあります。130万円未満にしておいたほうがいいということ、誰だって、考えます。
そこで、パートで働いていても、収入が65万円以上になったら、厚生年金に加入してもらおうという案が登場します。そうすれば、第3号被保険者、つまり保険料を払わない人を減らすことができますよね。

●私は小さな会社の経営者。パートの厚生年金加入は困るよ。

そうですね、厚生年金に加入すれば、会社も半分は保険料を負担しますから、会社の経費もぐっと増えます。パートタイマーをたくさん雇っている会社では、負担が増えて、苦しいことにもなりかねません。もう少し、景気がよければいいのだけれど。

●いったい、家はどんなふうに修理されるの?

こればかりは、わかりません。でも、年金は夫婦で分ける、パートで働く人にも加入してもらう、こんなふうに決まるかもしれません。

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あなたなら、どんなリフォームプランを選びますか。
確かに第3号被保険者というしくみは、不公平かもしれません。
「母子家庭なのに保険料を払って、夫がいるからといって保険料を払わないしくみはおかしい」 「自営業の妻は払っているよ、サラリーマンの妻も払うべきだ」
そんなにいわれると、サラリーマンの妻は、小さくなってしまいますよね。
確かにそうだろうし、修理も必要だと思いますが、私には弱いものどおし、足のひっぱりあいをしているようにもみえます。もっと大きな問題があるのです。
安心して暮らしていける家がほしいよ、大きな家はほんとうに作れないの? どうしたら作れる? そんな議論がもっとあってもいいのではないでしょうか。