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知っておきたい年金のはなし     第7号 2003年5月11日発行

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こんにちは。
このメルマガに、たくさんのメールをいただいて、とてもうれしいです。すぐにお返事できないときもありますが、ご質問には必ずお答えしますので、どうぞ、よろしく。
ご質問をいただいて思ったのですが、まだ、年金の基本的なしくみ、お話していなかったですよね。「年金って誰でももらえるの?」 とか「いつからもらえるの?」等々。

今回から少しずつ、お話していくことにします。まずはその誕生から。

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第7号の話題は、出生の秘密!!
★★★ 年金制度はどのようにして生まれたの? ★★★
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現在の年金制度、あるのが当然みたいな気もしますが、最初からあったわけではありません。
いつ生まれたのでしょう。どんなふうにして大きくなってきたのでしょう。
実は、出生の秘密があるのです。「年金誕生秘話」なんていうと、なんだか、女性週刊誌みたいですね。

● そもそものはじまりは、明治時代です

「恩給」という言葉、聞いたことがあるでしょう。明治時代にはじまった「恩給」という制度が、年金制度のはじまりです。「明治時代なんて、そんな古い話!」と思うかもしれませんが、今でも「恩給」をもらっている人はいるのですよ。

●「恩給」って何?

共済組合に引き継がれるまで、公務員とその遺族を対象とした、「年金制度」だったのです。「恩に報いる」という意味でしょうね。「国のためによく働いてくれた、年をとったり、亡くなったりしたら、あとのめんどうをみますよ」というしくみなのです。

●それからいろいろありました。

最初にできた「恩給」が同じ形のまま続いていたのではありません。人生いろいろあるように、まあ、いろいろとありました。ここでは、今さら細かいことにはふれず、いろいろあったということだけで、次の時代に行きましょう。(学校での歴史の勉強、こんなふうにずぼらにとばすことができたら、らくだったかもしれませんね)

●厚生年金のしくみができたのは、昭和17年

いっきに時代はとびます。当時は「厚生年金保険」という名前ではなかったけれど、昭和17年に民間で働いている人を対象とした厚生年金のしくみができました。公務員以外の一般の人が対象になったのです。(公務員以外が対象になる船員保険はその少し前からありましたが)
でも、最初は、工場などの現場で働いている男性だけ。事務職の男性と女性が対象になったのは、昭和19年でした。

●ときは戦争のさなか

私は生まれていませんが、暗い時代だったでしょう。一般の人には隠されていましたが、「敗戦」の色が濃いことも、国はわかっていたはずです。そんな大変な時代だから、年金制度をつくって、国民の福祉を考えようとしたのでしょうか。

●実はこんな秘密が・・・

それはちょっと違うようです。「戦争に負けるかもしれない」時代に、厚生年金のしくみを入れたのは、実は「戦争費用がほしかったため」だと言われています。年金制度で保険料が入ってくる、出ていく年金はずっとあとのことだから、とにかくお金を集めて、戦争の費用をつくろうという意図があったということなのです。

●不純な動機じゃないですか。

導入の理由はそれだけではなかったでしょうけれど、確かにそれは「不純な動機」ですね。
厚生年金の誕生には、実はこんな隠れた秘密があったのです。

●その後で国民年金が生まれました

厚生年金が誕生したあとも、年金というと、公務員や会社員など、どこかに勤めている人が対象となっていました。自営業など、勤めていない人は、制度の外だったのです。「みんなに必要なことなんだよね」と、昭和36年から、今まで対象とならなかった自営業や働いていない人も加入できる国民年金が誕生したのです。

●そして大改築

昭和61年は、家の大改築。いや、建て直しといってほうがいいかもしれません。それまでは、国民年金、厚生年金、共済年金と別々の家が並んでいたけれど、同じつくりの家にしようということになりました。
つまり、どの制度に入っていても、1階はみんな同じだよいう2階建ての年金制度になったのです。

●改築するたびに

誰でも、今よりももっと住みやすくするために、家の改築しますよね。ところが、年金制度は改築されるたびに住みにくくなっていくような気がします。見直しされるたびに、一部の部屋をのぞいては手狭になっていくようです。人でいうと、成長がとまってしまった、いえいえ後退していくような感じです。

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誰にも人に知られたくない過去があるものです。厚生年金も、過去を知られたくないのかもしれません。でも、過去は過去でいいのです。これからどんなふうにして、私たちにとって住みやすい家にしていくかが問題です。

ただ、過去を振り返ることで、未来への警告ができると思いませんか。同じことを繰り返さないために。