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知っておきたい年金のはなし     第10号 2003年6月11日発行

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こんにちは。
メルマガを発行するようになってから、私に届くさまざまなメルマガをていねいに読むようになりました。みなさんのメルマガに学ぶことがたくさんあるからでしょうね。
読みやすいメルマガをめざしています。質問もどうぞ!

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第10号の話題は、年金の保険料を払いたくない人、必見!
★★★ 「魔法のさいふ」と「普通のさいふ」 ★★★
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「国民年金の保険料、払いたくないです。だって、ほんとに自分たちが年金もらえるかどうか、わかりませんよ」
若い世代からよくこんな話を聞きます。その心をみると・・・
世の中、信じられないよ!
なんだか、どんどん悪くなっていくような気する!
年金をもらいはじめる年齢だって今以上におそくなってしまうかもしれない!
いや、まったくもらえなくて、保険料の払い損になってしまうかもしれない!
こんな声が聞こえてきます。
また、国民年金の保険料を払い続けてきた人だって、これ以上悪くなるなら、もう払いたいくないよという気持ちになりますね。
今日は「払いたくない」という声に、耳をかたむけましょう。

●国民年金の保険料は高い?

毎月、13,300円。高いと感じますか。
国民年金の保険料は、どんなにたくさん稼いでいる人も、仕事がなくて収入のない人も同じです。収入の少ない人にとっては「高い」ですよね。高いと感じるそのわけは、国民年金の保険料が定額制、つまり、所得の多い少ないに関係なく、みんな決まった保険料を払ってもらうよということになっているからです。当然、収入の少ない人にとっては「高い」ものになってしまいます。

●お金を出すだけの価値がある?

ショッピングでも、これはいいな、役にたつなと思えるものなら、少々高くても買うけれど、よくわからないものは、買わないですね。損するかもしれないものに、私もお金を出したくありません。

●年金も?

年金も「よくわからないもの」と思われているのでしょう。
「自分が払った以上に年金もらえるなら、払ってもいいよ、でも、もらえないなら、払いたくないよ」ということ。年金制度は全然信用されていませんね。

●長生きは喜ばしいこと?

元気で長生きできる! 自分もそうありたいし、まわりの人もそうあってほしいと思います。元気で長生きすることそのものは喜ばしいことですが、長生きすると、お金がかかります。1年生きたら1年分、2年生きたら2年分、お金が必要です。

●年金制度は「魔法のさいふ」

今の年金制度は、「長生き」でお金が必要になったとき、必要なお金を出してくれるしくみです。年金制度は、どんなに長生きしても、生きている限り、お金が出てくる「魔法のさいふ」のようなものです。(ケガや病気で障害の状態になった場合、死亡の場合にも保障はあります)

●「普通のさいふ」もあるけれど

老後にむけて「さいふ」にお金をためていくとしますよね。そしてそのさいふから必要なお金を出す。いつかはからっぽになるでしょう? これは「普通のさいふ」です。
ところが年金の保険料を払うということは「魔法のさいふ」を買うということなのです。
生きている限り、「魔法のさいふ」からお金が出てきます。
「もうないよ。残念でした」ということはありません。

●そんな「魔法のさいふ」ほんとにあるの?

これはいい質問ですね。ホグワーツ(ハリー・ポッターの魔法学校)にならあるかもしれませんが、現実の世界に「魔法の財布」はありません。
さいふにお金を補給している人は必ずいます。さいふを使う人からすると、「魔法のさいふ」だし、実際にずっとお金は出てきますが、「お金のないところからお金はでない」これが原則です。

●年金制度は親への仕送り

魔法のさいふを手にいれることのできた人は、きちんと年金の保険料を支払ってきた人。でも、今まで自分が払ってきた保険料がさいふの中に貯めてあって、それを使っているのではありません。それは「普通のさいふ」の話。
年金制度は親への仕送りのようなものです。親への仕送りとは、親のさいふに子どもがお金を入れてあげるということ。現在私たちが支払っている保険料は、今、年金をもらっている人たちが使ってしまっているのです。将来、私たちがもらう年金は、子どもたちの仕送りにたよることになります。
決して自分のお金がプールされているのではありません。
●子どもたちが減っていったら

「魔法のさいふ」をささえる子どもたちが減っていくと、子どもたち、ひとりあたりの負担が大きくなります。
親の生活費が毎月10万円いるとしますね。子どもが10人いるなら1人1万円出したらいい。しかし、子どもが1人しかいないと、1人で10万円の負担。これは大変! 払えないです。

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保険料を払うということは「魔法のさいふ」を買うということなのです。あてにならないから、保険料は払わないで自分でなんとかするというのは「普通のさいふ」を利用するということなのです。
「魔法のさいふ」、どう思いますか。買いたくなりますか。やはりやめておきますか。
こんなふうにいうと、保険料を払わない選択があるみたいですが、今の法律では「強制加入」です。払っていない人は「滞納している」ことになっていますので、念のため。ただし、払わなかったからといって、税金の滞納のように、差し押さえとか、罰金のようなものはありません。