★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

知っておきたい年金のはなし     第13号 2003年7月11日発行

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

暑くなりましたね。
7月3日に開催された社会保障審議会年金部会の資料を読んでいました。離婚時の年金分割… これはまたむずかしい! この話題もまたとりあげましょう。
今日は、老後にもらう年金額のお話、第2回目です。

……………………………………………………………………………………………
第13号の話題は、知っておきたい年金額(2階編)
★★★ がまんは今だけのがまん? ★★★
……………………………………………………………………………………………

今回は登場するのは、まだ20代の和夫さんです。
和夫さんのなげきは、給料が低いこと。友達にくらべて、それほど低いというわけでもないのですが、親元をはなれ、一人暮らしの和夫さんは、大変です。
結婚を考えている彼女がいます。彼女も仕事をしていて、ずっとふたりで働き続けたいと思っていますが、子どもができて、いろいろ大変になって、働き続けられなくなるということもあるかもしれません。もし、そうなったら、和夫さんは自分ひとりの給料でやっていけそうにもありません。
和夫さんは思っています。この給料に今だけがまんしよう、一生懸命仕事をして成績をのばそう、そうしたら、もっと給料も上がるだろうからと。
でも、和夫さんのがまんは今だけのがまんではないのです。低い給料は一生つきまといます。年金という形になって・・・

●厚生年金に加入した人は、年金をもらうときも2階分

厚生年金に加入している人は、2階建ての家に住んでいると、このメルマガでは何回もお話してきました。
年金制度は2階建て。1階は全国民共通の基礎年金、サラリーマンや公務員など、どこかにお勤めしている人には2階があるのです。2階建ての家に住んでいるから、払うお金も2階分だけれど、もらう年金も2階分。
(はじめての方はバックナンバーを読んでください)

●2階の年金額はどうして決まる?

むずかしい計算式を書かずに簡単にいえば、働いていた間の給料の平均と、全部で何カ月厚生年金に加入していたかで決まります。
今年の4月からは、それまで関係のなかったボーナスも関係してきます。つまり、今年4月以降にもらったボーナスは、年金額に反映されるということなのです。
原則は、給料やボーナスが多ければ多いほど、加入していた期間が長ければ長いほど、年金額は多くなるということです。(今回は省略しますが、例外もあります)

●給料の平均って、最初からの平均?

そうです。たとえば、20歳で就職して60歳まで会社に勤めていたとしますね。その間の平均です。若い頃の安い給料も、やめる直前の給料も、全部計算に入ります。
だから、和夫さんのなげきは今だけではないのです。
低い給料は、全体の平均を下げますよね。

●これは大変。ずっと昔の給料、1万円もなかったよ。

「年金には昔の給料も関係します」というと、みなさん、さっと顔色がかわります。昔は、給料が7000円だった、8000円だったということを、思い出すのです。それが計算に入ったら、たまらない! 平均が低くなる、年金額は低くなる!

●そのまま計算されるわけではありません

ほんとに、1万円もない、忘れかけていたころの給料がそのまま計算されたのでは、たまりません。これはおかしいですよね。
そこで、昔のお給料を今の水準におきかえるということをするのです。今の時代にあわせておきかえて(これを再評価といいます)そのあとで、平均を出します。

●じゃあ、私の1万円はいくらになるの

昭和30年にもらっていた1万円の給料は、約14万円におきかわります。こうなると、ちょっと安心しますね。1万円のままではないのですから。
この計算方法は、再評価率表で、期間ごとに細かく決められています。

●正義の味方ではない「再評価」

昔の安い給料でも今の水準におきかえて計算してくれるというと、「再評価」は、正義の味方のような感じがしますね。
しかし、そうではありません。この「再評価率」は、実は年金額を下げる影の「悪役」なのです。「悪役」というのは、年金をたくさんもらうほうがいいという立場からみてのことですよ。
この「悪役」のお話は次回にしましょう。素顔をみるのは、けっこうむずかしいのです。

……………………………………………………………………………………………

お給料が多ければ多いほど、加入していた期間が長ければ長いほど、2階の部分の年金は増えます。
年金少ないなあと思う人は、とにかく加入期間をのばさないと、年金額は増えません。この時代、お給料だって、そんなには上がらないですものね。となると、あとは期間で稼ぐしかないのでしょう。
一生つきまとう、低い給料。忘れていたころに、年金という形になって、つきまとうとは、考えてみれば、ストーカーよりも、こわいかもしれません。一生、死ぬまで、つきまとうのですからね。
でも反対に、一生つきまとってほしいほど、多いのならいいですね!