★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

知っておきたい年金のはなし     第14号 2003年7月21日発行

★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

夏のボーナス、どうでしょうか。
私はボーナスには関係なくなってしまいましたが、すでにボーナスをもらっている方、ずいぶん、手取りが減っていませんでしたか。
健康保険料・厚生年金保険料が増えています。おまけに40歳以上65歳未満の場合、今までボーナスから引かれなかった介護保険料も引かれるようなりました。ボーナスの金額が昨年と同じであれば、「手取り」は必ず減ります。
全部でいくらかということも大切ですが、実際にもらう場合は「手取り額」が問題ですよね。
ところで、「手取り」の考え方が、実は、年金額の計算のところでも、影響しているのです。

……………………………………………………………………………………………
第14号の話題は、知っておきたい年金額(2階編 その2)
★★★ 年金が下がるからくりは? ★★★
……………………………………………………………………………………………

シングルマザーの良子さんは、ボーナスの明細をみてため息をつきました。金額はまったく昨年と同じ。ボーナスが出るだけまだいいのかなと思いますが、手取りが少なくなっています。よくみると、社会保険料は昨年の10倍以上です。
良子さんはこのボーナスを自分の好きなことに使うわけではありません。私立大学に通う子どもがいます。大学の後期分の授業料にボーナスは全部まわります。ほんとに、手元をすどおりするだけ。
今回のボーナスでは、授業料にもたりません。貯金を取り崩すか、毎月の家計をもっと節約するか、良子さんは頭を痛めています。
毎月の給料でもボーナスでも、「手取り」がいくらかが問題ですね。強制的に引かれる保険料や税金は、どうしようもないし、その分をマイナスして生活を考えないといけません。
老齢厚生年金を計算する場合にも、昔は(平成6年の年金制度見直しまで)は「手取り」という考え方はありませんでした。ところが、平成6年の年金制度見直しで、かわったのです。

●昔の給料、現在の給料

老齢厚生年金を計算するのには、厚生年金に加入した期間、最初から最後までの給料の平均が必要です。
でも、昔の1万円は、今の1万円と違いましたね。そこで、今の物価におきかえる、つまり、今の価値で評価しなおす、昔の1万円が今はいくらになるか見直すということをします。

●再評価率

「じゃあ、いったいどうして計算するの?」ということですが、「再評価率」というのが決められていて、期間ごとに倍率が決められています。
たとえば、昭和33年3月にもらった1万円の給料は、13.96倍することになっているので、今の価値になおすと、約14万円ということになります。(平成6年度再評価率)

●再評価率表をよくみると

1万円が14万円になるなら、ちょっと安心できますね。でも、よくよくみていると、おかしなことに気がつきます
平成5年5月よりあとの期間、再評価率が0.99となっています。平成12年4月よりあとは、0.917となっています。(平成6年度再評価率)
これはどういうこと? たとえば、現在の給料が20万円だとします。0.917をかけると、183400円。年金の計算をするときは、20万円の給料であっても、それより低い金額でしか計算されないということです。

●つまり、年金額が減るってこと?

そうです。低い評価をするので、金額も下がり、当然、年金額は減ります。1階部分の老齢基礎年金は給料の金額とはまったく関係のない計算式だけれど、2階部分の老齢厚生年金は、給料の平均が高くなればなるほど、年金額が増えるしくみです。

●平成6年度の制度見直しから

平成6年の年金制度見直しで、「1」より低い再評価率が現れました。それまでは、最低が「1」だったのです。つまり、もらっている給料は「そのまま評価しますよ」ということです。 ところが、「1」より小さいと数字が出てきたということは、「実際より低く評価しますよ」ということなんです。

●なぜ、そんなことになったの?

ここで「手取り」の考え方が登場するのです。もらっている分、全部、使えるわけではないでしょ、引かれているものがあるでしょ、だったら、年金も「手取り」の考え方でいきましょう、簡単にいうと、そういうことです。

……………………………………………………………………………………………
「知らないうちに」というと、国は「きちんと知らせているよ」というでしょう。確かに法律には書いてあります。こそこそと隠し事をしているわけではありません。
でも、こんなしくみ、誰にでもわかりますか。「再評価率」が変更になったといわれても、それがどういうことだかわかりません。結局「知らないうちに」なんですよね。
最評価率が下がれば、年金額も下がります。こういうからくりで、年金額が下がります。
良子さんのため息は、今だけのため息ではありません。年金をもらうときにも、もっとため息がでるでしょう。「なぜ、こんなに少ないの」って。
良子さんのように、ボーナスはあっても右から左へ動くだけ、それでも不足、そんな生活している人には、将来のことを考えてお金を貯めておくゆとりもなかなかできないでしょう。どういうふうに60歳以降の生活設計をしましょうか。

……………………………………………………………………………………………
■□■ おすすめコーナー ■□■
WAFP九州 「お金にまつわるエトセトラ」のご案内
お金のことはムズカシイって思いがちだけれど、案外、身近なところから発見あり!お金のプロのファイナンシャルプランナーたちが、大人も子どもも楽しみながら、賢くなっちゃうイベントを開きます。入場無料です

9月15日 10:30〜16:00
福岡市女性センター アミカス2階 視聴覚室
「ライフプランで未来をスケッチ!」「私ってどんなタイプ?」「マル得カード&マイバンクINふくおか」「ミニミニセミナー」小学生以下対象の「お宝をさがせ」など