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知っておきたい年金のはなし    第18号 2003年9月1日発行

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今日から9月。これからは、だんだんいい気候になってきますね。
前回のメルマガのあと、こんなご意見をいただきました。
確かに国民年金の保険料を払わない人もいるけれど、ほんとは社会保険に入れる人を入れない会社にも問題がある、派遣やアルバイトの人は、社会保険に入れる条件なのに、入れてもらえず。おかしいと思っても強いこともいえず、入れないまま。そういうことも国民年金の滞納者を増やしている原因になっているのではないかと。
確かにそうですね。当然社会保険に入れる人を入れていないこと、たくさんあります。また、アルバイトを繰り返しているうちに、結局、入社と退社の間にすきまができて、よくわからず、そのままになってしまったりすることも。
今日は、保険料納付が遺族年金にどう関係するかというお話です。

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第18号 保険料支払いと遺族年金
★★★ たったの3日が大きな差に! ★★★
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花子さんには3人の子どもがいます。小学2年生のおにいちゃんを先頭に、5歳、2歳と続きます。花子さんの夫は会社を経営しています。といっても小さな有限会社です。花子さんも夫の会社を手伝っていました。
ところが、不況で仕事が少なくなり、経営が苦しくなりました。夫の会社は社会保険料を滞納するようになってしまい、とうとう、社会保険(健康保険・厚生年金)を強制的にやめさせられてしまいました。
夫は健康保険・厚生年金に加入していました。健康保険は「任意継続」といって、それまでの健康保険を続けていました。でも、国民年金まで払えないと滞納していました。
そうしているうちに、大変な経営の中を、がんばっている夫がたおれ、がんを宣告されました。しかも、相当無理していたらしく、末期の状態でした。
夫は入院しましたが、ほんとに危ない状態になってきました。花子さんはもう看病に必死でした。それをみかねた花子さんの妹さんからの相談でした。

●花子さんは遺族年金をもらえますか

遺族年金にも障害年金と同じように、「保険料をきちんと納めていないとあげないよ」という決まりがあります。
花子さんの夫は、過去に国民年金を納めていない期間が長く、当然おさめるべき期間の3分の1滞納があればだめだよという、「だめ」の条件にあてはまっていました。
●では、もらえないのですか

この「だめ」の条件の人でも、亡くなるまえの1年間、滞納がなければ「いいよ」ということになるのです。では、花子さんの夫の条件は?
すでに9ヶ月滞納がありました。今、なくなったら、あとの「いいよ」の条件にもあてはまりません。
●どうしたらいいのですか

今すぐ、9か月分の国民年金保険料を納めることです。10万円以上の保険料、大変かもしれませんが、なんとか、お金を作れませんかとお話しました。今、納めておかないと手遅れになるのです。

●保険料については死亡日の前日で判断

夫の看護で必死になっている花子さんには言いにくいことでしたが、死亡してから遺族年金の相談に来られても遅いのです。保険料をきちんと納めているかどうかは、死亡日の前日で判断します。亡くなった日にあわてて納めても、もう遅いのです。

●花子さんはどうしたでしょう

なんとかお金を準備して、たまっていた9ヶ月分の保険料を納めました。それが週末の金曜日でした。そして夫は翌週の月曜日に亡くなりました。

●花子さんは遺族基礎年金をもらえます

亡くなる前に、国民年金9ヶ月分が滞納ではなくなりました。それ以前は3年ほど、自分の会社での厚生年金があります。だから、保険料はなくなる以前の1年間きちんとおさめています。亡くなったのが国民年金に加入中だたったし、子どもが3人いるので、遺族基礎年金をもらう条件にあてはまりました。

●ところが、意外なことがわかりました

花子さんの夫は、ずっと前から具合が悪かったのでしょう。まだ、会社で厚生年金に加入していたときに病院にかかっていたのです。そのときからがんだったのですね。
結局、厚生年金加入中に病院にかかった病気がもとで、厚生年金をはずれて10ヶ月目になくなりましたので、遺族厚生年金ももらえることがわかったのです。

●遺族厚生年金は一生もらい続けることができます

花子さんは子ども3人が対象になるので、遺族基礎年金を約133万円、遺族厚生年金を約50万円受け取れることになりました。

●もし、あのとき、保険料を納めていなかったら

何ももらえません。土日は金融機関がお休みですね。金融機関の窓口で納めようと思っていて、月曜日まで待っていたら、花子さんは遺族年金をまったくもらえなかったのです。月曜日が死亡日。その前日で判断します。金曜日、ぎりぎりでした。たった3日前に保険料を納めたことによって、花子さんには大きな違いができたのです。
遺族基礎年金は下の子が18歳になる年度末まで、遺族厚生年金は終身です。
何ももらえないのと、大きな違いがありませんか。

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それからの花子さん、パートの仕事をみつけました。下のふたりの子どもたちは保育園に通っています。パートの収入と遺族年金、それから夫が残してくれた生命保険。夫の借金返済のために生命保険を使いましたが、それでもいくらかは残ったので、なんとか、生活していけそうです。
花子さんは子どもたちが大きくなったら、フルタイムの仕事にかわりたいと思って、仕事に取り組んでいます。そのために資格をとろうと、勉強もはじめています。
それまで遺族年金が支えてくれます。遺族年金は収入がどんなに増えてもカットされることはありませんから。

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