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知っておきたい年金のはなし    第19号 2003年9月11日発行

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こんにちは。
このメルマガをお届けしていると、これからの年金制度はどうなっていくのでしょうというご質問、よく受けます。
不安材料、たくさんあります。自分はもらえるのかどうか、心配になります。
私は、これからの年金制度の行方は、ひとりひとりの声にかかっていると思います。そのためには、今のしくみをよく知って、隠された秘密も知って、おかしいことは「おかしいよ」、「こんなふうにしてほしいよ」と声をあげることが必要だと思っています。
それにしても、年金制度は複雑怪奇! むずかしい言葉で説明されても、さっぱりわからないですよね。それをわかっていただくお手伝いを、少しでもこのメルマガでできればというのが、私の思いです。
いろいろお話してきましたが、年金はいつからもらえるのかという大事なお話がまだでした。

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第19号 年金をもらいはじめる年齢
★★★ 年金は60歳からもらえない? ★★★
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今年の12月に60歳になる茂さんと妻の幸子さんが年金の相談に来られました。20歳からずっと会社つとめで、今年定年退職です。ほんとはもっと働き続けたいのです。給料が下がっても働き続けたいという希望を出していましたが、会社には定年後の再雇用を断られました。急に退職後の生活が心配になってきました。
「私は62歳から年金をもらうのでしょう?」
「いいえ、全部ではないけれど、60歳からもらえますよ」
との説明に、茂さんと幸子さんはけげんな顔。
「ほんとうですか。だって、昭和18年生まれは62歳からだって、聞きましたよ。60歳からもらえないのではないですか」
このおふたりの質問は、年金相談で一番多い質問であって、誤解です。

●厚生年金をもらいはじめるのはいつ?

年金制度を家にたとえると、2階建ての家でしたね。厚生年金や共済年金に加入している人は2階建ての家。1階部分の年金と2階部分の年金、両方もらえます。
ただし、昭和16年4月2日以降生まれの人からは、60歳から両方もらえなくなってしまいました。(厚生年金加入の女性は5年おくれ、共済年金の場合は男女同じ)

●60歳から64歳までは特別の年金

老齢厚生年金をもらいはじめる年齢は、ほんとは(法律では)65歳からとなっています。 「あれ? でも、60歳からもらっているよ」と思うでしょう? 
昭和61年4月、法律がかわったときに、老齢厚生年金は65歳からと決められたのです。
法律がかわったとはいっても、急にもらえなくなったら、困りますね。それで、60歳から64歳まで年金をあげるけれど、それは「特別のことなんだよ」ということになりました。だから、60歳から64歳までの間にもらう老齢厚生年金には、「特別支給の老齢厚生年金」という名がついています。

●みかけは同じでも、中身が違う

昭和61年4月にかわった年金制度。それまでと同じように、60歳からもらえるなら、何もかわったようにみえません。でも、問題は大きくかわっていたのです。それまで「あたりまえ」にもらえていた年金が「特別」にもらうことになったのですから。
「あたりまえ」と「特別」は大きな違い。でも、みかけがかわらないと、人はその重大さに気がつかないものです。

●年金をもらいはじめる年齢はだんだんおそくなっていく

年金をもらいはじめる年齢は、生年月日ごとにかわっていきます。1階がけずられ、そして2階がけずられていく。最後はとうとう65歳からしかもらえない。つまり、65歳までは、年金という家に住めなくなってしまうのです。

●スタートラインの確認を!

運動会での100メートル走をイメージしてみてくださいね。トラックを走る場合、スタートラインが違います。そう、あんな感じ。
あなたはどこからスタートですか。ただし、2つのスタートラインがあります。1階部分の年金と2階部分の年金。それぞれのスタートライン、わかりますか。
運動会と違うところは、ゴールが一定ではないということです。ゴールは自分の「死」。スタートも違うし、ゴールも違う。ゴールは誰にもわかりせん。
スタートラインはここから確認を↓

http://homepage2.nifty.com/miming2/situmon-top.html Q5をみてください。

●茂さんの場合は

昭和18年12月生まれの茂さんは、60歳から2階部分の年金(報酬比例部分)をもらえます。そして62歳になったら、1階部分(定額部分)もあわせてもらえます。
ここで誤解をうむのです。1階と2階のスタートラインが違うのに、同じだと思ってしまうのですね。「年金をもらうのがおそくなったよ」という宣伝は、確かによく行き届いています。

●60歳からもらったら年金が少なくなるのでは?

茂さんと幸子さん、こんな質問をしました。これも、よくあるカン違いなのです。
確かに、国民年金だけの人は60歳から年金をもらうと年金額が減ります。でも、茂さんのような場合、厚生年金に加入していて、当然60歳からもらえる人は、もらえる年金をもらっても、減ることもないし、損することはありません。

●茂さんがもし62歳まで手続きしなかったら

62歳ではじめて年金の手続きをしたとしますね。そうしたら、60歳から62歳になるまでの本来もらえるはずの年金が一時金でまとめて振り込まれます。
結局、茂さんのもらう年金はふえません。損もしません。

●年金のスタートラインにたったら、手続きすること

茂さんにとって一番大事なことは、60歳で手続きすること。
62歳で手続きしても、それまでの分まとめてもらえるのなら同じではないかと思われるかもしれませんが、あとでもらっても定期預金のように利息分が増えるわけでもないし、そのときに手続きしておかないと、手続きがめんどうになります。

●ちょっと安心した茂さん

60歳から何ももらえないのではありません。2階の部分の年金、もらえます。本来の年金額の半分ぐらいだけれど、生活費として考えられます。
退職してからの生活費、どうしようと思っていた茂さん、少しでも年金がもらえるとわかって、ほっとしました。

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ここまでお話をしたとき、茂さんの携帯電話がなりました。茂さんが席をはなれたあと、幸子さんがこんなふうに言われました。
「やっぱり、就職先を探してもらわないと。年金はもらえるということで安心したけれど、1日家にいられると、私が困るの。だって、3食作るの、たまらないわよ。働きにいってもらわないとね」
これは、多くの妻の本音でしょうね。
電話がおわってもどってきた茂さん、そうとは知らずに、こんなふうに言われました。
「何ももらえないと思っていたので、もらえることがわかってよかった。個人年金もあるし、62歳まではなんとかやっていけそうだ」

※ 実はおふたりの相談はこのあとも続きます。続きは次回をお楽しみに!

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