★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第21号 2003年10月1日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 最近の週刊誌、年金の話題が多いですね。 私は週刊誌を買いませんが、新聞でその宣伝をみていると、「年金が消える日」とか「離婚時の年金分割」とか、気になって買ってしまいそうになります。 「年金が消える日」なんてみると、ほんとになくなってしまうのではないかと心配になりますね。(今の制度では、消えてしまいませんよ) しかし、ほんとにどうなるのだろう、私の年金・・・それが正直な気持ちです。 今回からは、数回、年金改革の方向性をみていきましょう。ただし、これは今出されている「案」です。決まったことではありませんので、今後の動きにくれぐれもご注意を! …………………………………………………………………………………………… 第21号 これからどうなる? 年金制度 ★★★ マクロ経済スライド ★★★ …………………………………………………………………………………………… お時間のある方は、↓から年金部会をクリックしてください。 http://www.wam.go.jp/ca70/ca70b10.html 社会保障審議会、年金部会の資料があります。 ちょっと読むのが大変なので、お時間のない方は次にすすみましょう。 ここには、来年度の年金改革にむけてのいろいろな資料があるのですが、いったい何がどうなるのか、よくわからないところもあると思います。 来年は年金制度見直しの年。年金制度改革案、いろいろありますが、まず、この5つに注目してみましょう。 保険料と年金額、マクロ経済スライド、パートタイマーの厚生年金加入、国民年金保険料の滞納者対策、年金への課税強化 ところで、「マクロ経済スライド」って、いったい、なんでしょうね? 意味不明? 今日は、「マクロ経済スライド」にスポットをあててみます。 ●年金額の改訂は? 「マクロ経済スライド」の話の前に、年金額の改訂はどんなときにされるのか、説明しましょう。 言葉はむずかしいのですが、「財政再計算」といって、年金は5年に一度、見直されることになっています。 5年もすぎると、世の中の状況がかわってくるから、「年金額そのものを見直そう」ということになっているのですね。 ●5年に一度で大丈夫? 5年、長いですね。その間ずっと同じ年金額でいいのでしょうか。 毎年の見直しも必要だよということで、対応できるようになっているのが、物価スライドです。簡単にいうと、物価が上がれば年金額も上がる、物価が下がれば年金額もさがるというしくみです。 物価が上がったり下がったりしたときに、いちいち相談して決めなくていいように、自動的に上がり下がりするようなしくみになっています。ただし、年1回。4月にかわります。 ●今年の4月から年金が下がったのは すでに年金をもらっている人、今年の4月から年金は下がりました。これは物価が下がったからです。0.9%物価が下がったので、その分、年金も下がりました。 ●ここ3年ぐらい年金額は同じだったような気がするけれど そうなのです。過去3年間、年金額は同じでした。ほんとは、この3年間、毎年物価は下がっていたのです。くらしがらくになったような気はしないかもしれませんが、統計上では、物価は下がっていました。となると、年金も下がったはず。ところが年金はそのままでした。 ●特別に下げなかっただけ ほんとは物価が下がると年金も下がるのだけれど、この不況の中で、それは影響が大きいだろうということで、特別に年金を下げなかったです。あくまでも「特別」のことで、今年の4月、「特別はもうやめた!」ということになりました。 だから、すでにもらっている人を含めて年金額が下がりました。 ●今は物価できまるけれど つまり、現在は、毎年の物価の上がり下がりによってだけ、年金額はかわるのです。ところが、「マクロ経済スライド」はそうではありません。 ●マクロ経済スライドとは 少子化がすすむ、経済成長率が下がった、平均寿命がのびた、賃金が下がったなど、社会全体のうごきで、年金額を変更するといいうのが、マクロ経済スライドです。つまり、平均寿命がのびたので、年金額を下げるということができるようになるのです。 現在は物価スライドだけですが、 マクロ経済スライドが導入されたら、物価以外の要因で、自動的に年金を下げることができるというものなのです。もちろん、上がることもあるのでしょうが、「下げる」ことをがねらいであるような気がします。 …………………………………………………………………………………………… 今回の年金制度改革で「女性と年金」の問題は最初から大きくとりあげられています。確かに大きな問題です。でも、この「マクロ経済スライド」も実は大変な問題です。 少子化が進んだから年金が下がる、平均賃金が下がったから年金が下がる、寿命が延びたから年金が下がる、そんなふうに「年金を下げる理由」がいっぱい入ってきたら、どんなことになるのでしょう。ただでさえ、少ない年金で、若い人にとっては計算式も悪くなっているのに! 「下限」が必要とは案の中にもありますが、それ以前に「マクロ経済スライド」の導入は問題だと思います。わかりにくい年金のしくみは、ますます、わかりにくくなります。 「給付水準を見直す」という言葉は、なんだかきれいですね。見直しなら必要なことだと感じるでしょう。でも、ちょっと別な角度から考えてみると、「年金を下げるための方法」を増やしていることになるのでは? これから年金をもらうのは、私たちなのです。ほんとに私たちにとっていい制度になるのかどうか、しっかりみていきたいものです。 |