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知っておきたい年金のはなし    第24号 2003年11月1日発行

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こんにちは。
先週の「高齢化社会のくらしを考える講座」は年金の話。今の年金制度改革案についてお話しました。
セミナーが終わってから、ある男性が言われました。
「うちの会社は300人ほどのパートタイマーがいる。その人たちがみんな社会保険加入となったら、これは大変なことだ。社会保険料で会社は赤字になってしまう」
ほんとにそうなのです。彼が考え込むのは無理もないのです。
同じように困る企業もたくさん出てくると思います。
ところが、ある人からの意見です。
「大企業はそう困らないと思いますよ。今までもリストラなどをすすめてきて、派遣社員に切りかえてきている。そういうふうにちゃんと準備している大企業は、困らないから、パートタイマーの厚生年金加入に反対しないのではないでしょうか」
この指摘にいろいろなことを考えさせられました。どう思いますか?
さて、今回は離婚時の年金分割についてです。

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第24号 これからどうなる? 年金制度(第4回)
★★★ 離婚時の年金分割 ★★★
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実際、年金分割を待ち望む声って、けっこう聞こえてくるのですね。もちろん、女性から。男性からはひとりも聞いたことはありませんよ。
ということは、それだけ、離婚願望をもった女性が多いということでしょうか。年金分割ができるようになったら、さあ今だ!と、離婚に踏み切りたいのでしょうか。
何もしらない夫にとっては、おそろしい話ですね。
ところで、年金分割って、どんな制度なのでしょう。
もちろん、これも決まったことではありませんが、どんな「案」なのか、ちょっとのぞいてみましょう。

●年金分割ってなあに?

サラリーマンの夫、専業主婦の妻という組み合わせとしますね。
そのとき年金はどうなったでしょう。夫はサラリーマンとして2階のある年金をもらいます。妻は厚生年金に加入したことがなければ、国民年金だけ。第3号被保険者として保険料を支払う必要はありませんが、年金は1階だけです。
確かに夫は働いていますが、妻だって、育児・家事で働いているわけです。夫の2階の年金は、妻のおかげ、もし、離婚するときには、他の財産分与と同じように、妻にも分けていいのではないかということなのです。

●その背景には

年金分割が取り上げられてきた背景には、離婚の増加があるでしょう。最近は、熟年離婚が増えてきていることも。
夫の定年退職と当時に、妻の「妻の座退職届」が出たりするのです。定年退職後。夫の三度の食事を用意したくないといって。ちなみに、私はいやなものをがまんしてまで結婚生活を続けることはないと思います。ただし、離婚を考えるときには、女性にとっては経済的な問題が大きいです。お金の問題に目処がたたないと離婚にふみきれないという気持ちも、よくわかります。

●年金の権利とは

年金をもらう権利は、その人だけのものです。人に譲ったりすることができないと、現在の法律では決まっています。もちろん、死んでしまえば、そこまで。遺族年金とは、亡くなった本人の権利ではなく、対象となる遺族自身の権利です。つまり、夫がなくなって妻が遺族年金をもらう場合は、夫の年金の続きをもらっているのではなく、年金の権利を相続しているのでもなく、妻が自分の年金としてもらっているのですよ。

●離婚するとき

今の法律では、「離婚するから、あなたの年金ちょうだいよ」とはなりません。
「私のおかげで、子どものことも親の介護も心配なく、会社人間として働くことができたのだから、その年金半分ちょうだい」
と妻がいっても、当然にはそうなりません。
できることは、結婚している間にふたりで協力してつくった財産をわけることです。

●話し合って決めるのです!

今の案では、離婚したら年金が自動的に分割されるわけではなかく「合意にもとづいて分割手続きをおこなう」ということになっています。合意ができない場合に、裁判所で手続きをということになります。

●半分くらいはもらえるの?

夫から妻に年金を分割する場合、夫の年金の半分以上を請求しても、認められないということになりそうです。簡単にいうと、最高でも半分ずつ、それ以下もありえるということです。割合をどうするかについは、話し合いできめてくださいということです。
ただし、対象となる年金は2階部分の年金だけですよ。報酬比例部分だけ。1階の老齢基礎年金は対象となりません。

●すでに離婚してしまった人は?

この質問もよくあるのです。数年前に離婚しているけれど、この法律が通ったら、元夫の年金を半分もらえるのかしらと。
これについては、「法改正以降の離婚を対象とすることが適当ではないか」とされています。すでに離婚してしまっている人は、対象としないみたいですね。

●続々疑問が・・・

厚生労働省の資料をみているのですが、ちょっと考えただけでも、いろいろ疑問がわいてきます。
日本では協議離婚が多い中で、年金の分割まで話し合えるのでしょうか。合意が必要となれば、もっと離婚に時間がかかるのではないでしょうか。
分割を合意しても、夫が亡くなってしまったら? 離婚した妻は遺族年金をもらえないが、分割した年金だけはもらえるしくみをつくるのでしょうか。
もし、そのとき、亡くなった夫が再婚していたら、再婚した妻に支給される遺族年金の計算はどうするのでしょうか。分割した分、少なく計算するのでしょうか。それじゃあ、再婚した妻はたまらないですね。
分割することにしても、夫がその後会社をやめ、国民年金を滞納して、結局年金の権利が発生しなかったら? 夫は働かない、妻が働いて収入を得て生活を支えているような例。その夫にあいそをつかして離婚した場合、夫が妻に年金分割を要求したら、どうなる? 妻は拒否できるのでしょうか。私なら絶対に分割したくないなあ。
夫が障害年金をもらったら? 
年金分割したけれど、妻のほうが年金をもらう前に死亡したら、夫は全部もらえる?

考え出したら、とまりません!

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離婚時の年金分割の話をきくたびに、私はこう思います。
例えば夫が10万円の老齢厚生年金をもらえるとしますよね。その10万円をどう分けますかということなのです。5万円ずつ半分に分ける方法を選びますか、それなら、ふたりで話し合ってきめましょう、そういう提案をしているのです。
ちょっと考えてみると、これはお金の分け方の問題であって、年金制度というサイフからでるお金はかわりません。
離婚後の女性のくらしを考えたとき、年金分割だけでは解決できない問題がたくさんあります。年金分割が実現したら安心して離婚できるかというと、そんなに簡単なものではないはずです。
誰もが安心して暮らしていける年金制度とは、どうあるべきか、別の視点からもっともっと考えてみたいと思います。

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