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知っておきたい年金のはなし    第26号 2003年11月21日発行

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いよいよ、出てきましたね。厚生労働省の年金改革案!
これで決まったわけではありません。今から審議されます。来年の4月から実施したいという気持ちはあるようですが、これだけ、いろいろあれば、まとまるでしょうか。
今まで出された案については、5回にわたってお話してきて、今回からは、もとのお話にもどろうと思ったのですが、タイミングよく改革案の発表がありましたので、その内容をみてましょう。
いったい、何をどうしたいのか? 年金制度のあしたは?

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第26号 これからどうなる? 年金制度(第6回)
★★★ 03年11月の厚生労働省案 ★★★
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老後の生活を支える中心となるのは、やはり、年金でしょう。
収入の道を持っている人はいいかもしれませんし、生涯現役という方もおられるかもしれません。でも、いつかは働けなくなる。多くの人にとって年金は、セカンドライフを支えてくれるものですね。

●やはり、保険料固定方式

保険料と年金の水準については、ふたつの方式が出されていましたが、やはり、保険料固定方式が提案されました。
厚生年金の保険料は20%まで少しずつ引き上げて、そこで固定。そのかわり、保険料収入にあわせて年金の給付水準を決定するという方式です。
簡単にいうと、保険料は20%以上にしないけれど、少子化が進めば、年金額も下げますよといっているのです。

●保険料はいくら増えるの?

厚生年金保険料は2004年から毎年0.3%ずつ引き上げ。
30万円のお給料の人なら、0.3%増えるということは900円増、労使で折半します。つまり、450円の負担増、1年で5400円。もちろん、これ以外にボーナスからも同じ割合で引かれますよ。
国民年金は2005年から引き上げをます。毎年600円ずつ引き上げて、17300円で固定。(ただし、これは04年度の価格で換算したものですから、かわることもあります)

●積立金取り崩し方式

現在、厚生年金の積立金は給付の約5年分、約165兆8千億円。(帳簿上はこれだけあるということです。これだけの現金がどこかに保存してあるということではありません)
こんなに多く積み立てている国はめずらしいのです。(単純には比べられないと思いますが、イギリスで2ヵ月分、フランス、ドイツは1ヵ月分です)
つまり、こんなには積み立てる必要がないから、約100年程度の期間で考えて、最終年度で1年分残っていればいいのではないかという考え方です。
積立金を取り崩して使えば、若い世代の負担が減るというわけです。
でも、100年先の話、今の年金制度改革にかかわった人たちはみんないませんね。鬼が笑いそうな気がします。

●ますます複雑、マクロ経済スライド

マクロ経済スライドについては、 http://homepage2.nifty.com/miming2/magazin-top.html 21号をごらんください。

年金に加入している人が過去3年間どれくらい減ったかを示す平均減少率と、平均寿命の伸び率を用いて、これがプラスかマイナスかで、年金を上げたり下げたりという案です。今の計算では、マイナス0.9%になるということ。
となれば、0.9%ずつ年金が下がっていく?
ということではなさそうで、この調整で前年額を割り込むときは、前年額を維持するしくみも提案されています。
ただし、物価が下がったときは、今までどおり、物価が下がった分だけは年金を下げるという、なんとも複雑なしくみです。

●パートタイマーの厚生年金加入は?

週の労働時間、20時間以上を基本にすると言っています。ただし、ただちに実施ということではなく、「だんだんと」ということを言っています。「だんだんと」の内容は、まだよくわかりません。
それから、今のしくみだと、どんなにお給料少ない人でも98,000円を基準にして保険料の計算がされますが、「この98,000円は下げる、まだ、いくらまで下げるかはわからないけれど」ということです。
でも、保険料が下がるということは、それだけ、受け取れる年金も少なくなるということですからね。

●70歳以上も元気で働く高齢者は?

70歳になっても元気で働いている方も増えてきました。70歳になると、会社で働いていても厚生年金に加入する必要はなく、年金は全額もらえていました。
ところが、70歳以上にも保険料を負担してもらい、収入が多い場合は、年金をカットしようという案がでています。
お給料があればいいかもしれないけれど、ますます、もらう年金の総額は減ってしまいますね。

●女性と年金の問題は?

年金の夫婦分割制導入。65歳に達した時点で年金を分割する、離婚時に「保険料納付記録」を分割するとなっています。
まだ若い世代が離婚したとき、年金の権利って発生していません。だから、年金をその場でわけることはできません。「保険料納付記録」を分割するということは、たとえば夫の厚生年金期間を妻の年金記録の中に入れて、将来年金の権利が発生したときに妻が自分の年金として受け取れるようにしようということだと思います。
ただし、これは、「自動的」にではありません。「合意」が必要。はたして、離婚の騒動の中で、「合意」できるでしょうか。

●遺族年金

遺族年金は、男性に冷たく、女性にやさしい制度です。どんなに年の若い女性でも、サラリーマンの夫が会社に勤めている間に死亡すれば、遺族厚生年金をもらえます。これは子どもがいなくても大丈夫。(自営業の夫がなくなった場合、子どものいない妻はもらえませんよ)
再婚などしない限り、ずっともらえます。(再婚すれば、そこでおしまい)
でも、今度の案では、子どものいない20代の妻へは遺族厚生年金は5年間に限ろうという案が出されています。「あとは自分で働いてなんとかできるよね」ということなのでしょう。

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まとめて簡単にいうと、多くの部分が、私たちの負担が増える話。来年から厚生年金の保険料を上げると言っています。国民年金も2005年から上げると言っています。そして、受け取る年金は減ると言っています。
経済4団体は、さっそく「絶対反対」の声をあげました。一番の理由は、保険料の引き上げは、会社の負担になって、経営が大変になるということでしょう。
これから審議されていきますが、私たちの年金制度です。ひとりひとりが考えてみましょう。

なお、前回のメルマガで、国民年金滞納者への差し押さえはないということを書きましたが、1988年に5件差し押さえなどの強制徴収がありました。高額所得者で資産なども多い人でした。それ以降はありませんでしたが、今年の9月に所得や資産が多くて国民年金の保険料を払っていない人からは、徴収を強化しようという方針が出されています。
あなたのまわりにもやってくるというわけではありませんが、国民年金の保険料払っていない人に対しては、差し押さえも法律の上ではできるということで、前回の内容を訂正・補足します。申し訳ありませんでした。

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