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知っておきたい年金のはなし    第27号 2003年12月1日発行

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もう12月ですね。早いものです。
来年の4月からは、新しい年金制度を施行したいと、国は思っていますが、最終的にはどうなることでしょう。
今の改革案をみていると、「私の年金、大丈夫?」と心配になってきます。2階建ての家にすんでいる人も、安心していられない時代です。
3階がほしいなあ・・・  今日は、2階の上のお話です。

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第27号 厚生年金基金とは?
★★★ 3階になれるか、屋根裏部屋か? ★★★
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年金制度はとても複雑ですが、理解するためのポイントは、それぞれのしくみには「わけがある」ということです。わけもなく、取り入れられたしくみではありません。
理由というか、見えない秘密というか、ちゃんとわけがあるのです。そのわけがわかれば、年金のしくみもわかると言ってもいいかもしれません。
これから登場する「厚生年金基金」もそうです。制度の誕生にはわけがあります。
そして今、厚生年金基金が解散した、代行返上するということもよく聞きますね。どうしてそんなことがおこるのか、それにも、やはり、ちゃんとわけがあるのです。

●厚生年金基金ってなんだ?

簡単にいうと、厚生年金基金は、企業年金のひとつです。会社に勤めている人は、2階建ての家に住んでいましたね。厚生年金基金に加入するということは、もう少し、広い家に住みたい、2階の上に建て増ししようというイメージです。

●3階建ての家ですか?

3階建ての家といいたいところです。ところが、3階といえるかどうか、それはちょっと疑問です。確かに2階から上に上がる階段はついています。
ところが、その階段をあがってみれば、屋根裏部屋だったということも。
上乗せ部分がびっくりするくらい多くて、りっぱな3階建ての家に住んでいる人もいます。でも、屋根裏部屋の場合もあるのです。もっと言えば、「天井裏のネズミのおうち」の場合もあるのです。

●単なる企業年金ではありません

「厚生年金基金は企業年金の仲間だ」とはいっても、他の企業年金とは決定的に違うところがあります。それは、2階部分の年金を、国にかわって支給していることです。「かわりにやってあげるよ」と、ほんとは国が支給することになっている2階部分も支給するしくみです。これを「代行」といいます。でも、代行するのは、2階全部ではありません。

●必ずプラスアルファ

代行するだけで年金額は国と同じというなら、わざわざ基金に加入する意味がありませんね。基金には必ず、プラスアルファがあって、国の厚生年金にだけ加入していた人より、年金額が多くなるしくみになっています。
つまり、そのプラスアルファが「3階になるか、屋根裏部屋になるか」なのです。

●2階しかないよりはいいですね

少ないより、多いほうがいい! 年金に関しては、どんなに少しでも、上乗せがあるほうがいいですね。
しかし、厚生年金基金には、基金に加入している会社に勤めないと入れません。

●3階の大きさはどのくらい?

3階になれるか、屋根裏部屋か、つまりどのくらい年金が増えるのか、残念ながら、ここではわかりません。
厚生年金基金は、それぞれの基金で、決まりを作っています。最低これだけはという約束ごとはありますが、決まりは「みんないっしょ」でなくていいのです。よその家の約束事は、他の家の人にはわかりませんね。加入している基金で確認しましょう。

●3階があるということは、保険料も3階分、たくさん払っているの?

厚生年金基金に加入している人は、給料明細をみてください。「厚生年金」と「厚生年金基金」と両方、保険料が引かれています。「ふたつも払っているの! これは損だ!」と思うかもしれませんが、そうではありません。原則として、合計すると、厚生年金にだけ入っている人と同じになります。基本的には、会社がその他必要な掛け金を負担しています。(ただし、なかには、個人負担の掛け金を徴収している基金もあります)

●なぜ、企業がそんなことしたいの?

そこです! わけがあるのです! 社員の福利厚生を考えて、「厚生年金だけじゃ少ないね、うちの社員にはもっとたくさんのものを保障してあげよう」という、気持ちもあったかもしれません。しっかりした福利厚生で会社の信用もあがるし、いい人材も集まるということもあったでしょう。
厚生年金基金の導入には、いろいろな論議がありました。しかし、企業にとってメリットのある制度ではないと、取り入れられません。赤字になりそうな制度は最初から見向きもされませんね。税金などのお金の面でのメリットがあったり、お金の運用がうまくいくということが条件です。

●では、今、はやりの「代行返上」って?

代行している2階部分を、国に返すというのが、「代行返上」です。
では、どうして今さら返したくなったのでしょうか。
これは、ずばり、お荷物になってしまったからです。金利も高く、資産の運用がうまくできているときはよかったのです。でも、金利は低い、加入者が減る、年金をもらう人が増えるなど、状況が悪くなっています。お金がたりなくなってきます。穴埋めの責任は加入している企業です。基金が、やっかいものになってきたのです。上乗せの分だけならなんとかなりそうだけれど、国の分までとてもやれない、負担が多きすぎる、国に返してしまおうと考えるのです。

●代行返上したらどうなるの? 年金減るの?

国からもらえる年金はちゃんともらえます。代行返上するときに今までのプラス部分の精算のしかたはそれぞれによって異なると思います。一時金でもらうとか、将来年金でもらうとか、提案があるでしょう。

●もし、厚生年金基金がつぶれたら? 

国からもらえる厚生年金分(代行部分)は保障されます。ただ、上乗せ分は期待できません。これも、そのときの基金の状況によって異なります。

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少し、むずかしい話でしたか?
最近、代行返上の話は多いです。
代行返上には、これからの企業の存亡がかかっていると場合もあります。簡単に、そして単純にいえることではありませんが、いいときはいいけれど、悪くなったら、やっかいものとして、国に返してしまおうというのは、ある意味では「身勝手」だとも思えます。
しかし、いきなり、会社で「代行返上していいですか?」なんてきかれても、わからない場合が多いですね。それも難しい言葉がいっぱい出てきます。「年金制度は2階建ての家ですよ」なんていう説明は、ないかもしれません。
でも、まず、2階建て年金制度をよく理解しないと、なんのことだか、わからないですね。わからないけれど、「しかたないや」と同意の印鑑だけは押してしまうということになりかねません。
大事な自分の年金、よくわかった上で、判断したいものです。

※ くれぐれも、基金の内容は、自分の加入している基金で確認してくださいね。

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