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知っておきたい年金のはなし    第29号 2003年12月21日発行

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今年もあとわずか。
「知っておきたい年金のはなし」も今年最後の配信となります。
さて、年金制度改革案で、保険料の上限は、18.35%にしようという案が出てきました。当初の20%よりは、少し下がるのですが、どんなふうに感じますか。
私には、少し下げて安心させて、一気に「改悪」してしまうのではないかという気がします。
今日は厚生年金の保険料の話です。

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第29号 厚生年金保険料のしくみをさぐる!
★★★ どのように計算するの? ★★★
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厚生年金に加入している方、お給料から引かれている保険料は、どのように計算されるか、知っていますか。
「いろいろ言っても、引かれるものは引かれるさ、でも、なんだか、引かれる金額が多いなあ」
そんなふうに思っている人もたくさんいます。
厚生年金の保険料は、どのように計算されているのでしょうか。

●毎月変わると複雑になる!

毎月のお給料、ずっと同じ人もいますが、残業代があるとか、ないとかで、金額が変わりますね。
毎月の支給額にあわせて、毎月ごとに保険料を決めればよさそうなものです。実際、雇用保険料はそうですね。
ところが、厚生年金の保険料はそういうわけにはいきません。なぜかというと、保険料の対象となるお給料の額は、保険料だけではなく、年金額にも影響するからです。毎月毎月、計算の元となる金額が変われば、複雑になりすぎ、手間もかかります。

●そこで、登場!「標準報酬月額」

「標準報酬月額」といって、保険料の計算の基礎となるお給料を決定します。
それをもとにして、保険料が計算されます。

●4月と5月と6月

この3ヵ月のお給料を足して3で割る!(原則ですが)この金額を使って、その年の9月から1年間の「標準報酬月額」が決められます。
たとえば、6月決算の会社で、決算前の4月から6月は残業が多い、そのほかは、ほとんど残業なしという人は、たまたま残業代の多い月で、計算するので、「標準報酬月額」も高くなってしまいます。
ただし、この見直し以外に、基本給が変わったなどで、標準報酬月額が見直しされる場合があります。

●実際の保険料は?

その標準報酬月額に、保険料率をかけます。現在は厚生年金13.58%。会社と働いている人で、半分づつします。

●お給料の多い人ほど、保険料は多くなるの?

基本的にはそうですね。
ところが、ここで考えておきたいのが、標準報酬月額の等級。最低は1等級で、98,000円。つまり、どんなにお給料が少なくても98,000円もらっているものとして保険料を計算します。
最高は30等級で、62万円です。

●給料が、62万円以上ある人は?

62万円以上、お給料をもらっていても、それ以上、どんなにたくさんもらっていても、保険料の計算では、62万円として計算します。
●では、たくさんもらっている人はお得?

同じ13.58%をかけるといっても、100万円のお給料であっても、62万円として計算するのですから、62万円以上もらっている人は、保険料においては、お得でしょう。

●健康保険料と比べてみれば

健康保険料も、しくみは同じです。
でも、違うところがあります。健康保険料は最高が62万円ではありません。39等級まであって、最高は、98万円なのです。厚生年金は最高でも62万ですが、健康保険にはその上があります。

●たくさんお給料をもらっている人からたくさん取れば?

お給料にあわせて保険料を負担するということなら、厚生年金も62万円でストップしないで、健康保険のように、もっと上まで等級を作ればいいという気がします。財源が不足しているのなら、「たくさんある人から、集めればいいのに!」という声も聞こえてきます。

●なぜ違う? 厚生年金と健康保険

厚生年金と健康保険では等級が違う! これにも、ちゃんとわけがあるのです。
毎月のお給料が98万円! これは多いですね。こんなにたくさん、あればいいなあ!(私の実感ですが)
ここまで等級を作っておけば、たいていの「普通のサラリーマン」はこの範囲に入るでしょう。
健康保険、たくさんお給料をもらっている人からはたくさん取ろうと思っています。ほんとは、厚生年金も同じ思い。でも、62万円でストップしている。なぜでしょう。
年金の場合は、標準報酬月額を上げれば、それだけ、年金額も増えるというしくみだからです。
お給料の多い、少ないによって、年金額にどんどん差が出てしまうからでしょう。

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厚生年金の保険料は13.58%ですが、実際には、その割合にならない人もいるのです。62万円よりたくさんお給料のある人は、もっと低い割合になりますね。
反対に、お給料が98,000円なくても、98,000円として計算されます。お給料の低い人は、割合が高くなるということになります。
(これについては、メルマガ22号をごらんください)
お給料からの引かれ物、もう一度、よくみてみましょう。

※健康保険の話は、政府管掌の健康保険の場合です。健康保険組合の場合は、それぞれの組合で確認を!
今年の途中から発行したメルマガですが、読者になっていただいたみなさま、ありがとうございました。
また、質問のメールもたくさん寄せていただいて、うれしく思いました。
来年も、月に3回を目標にして、読んでいただけるメルマガを発行したいと思っています。
次回は、1月1日発行です。お正月も休まないメルマガです。
どうぞ、よいお年を!

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