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知っておきたい年金のはなし    第32号 2004年1月21日発行

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今日はまず、お知らせです。
55歳以上の人は、インターネットで年金見込み額の問い合わせができるようになりました。
社会保険庁のHPをみてください。
https://www2.sia.go.jp/mg000.php
ただし、お返事はメールではなく、郵送です。
1月13日からこのシステムが利用できるようになりました。
55歳以上の方、利用されてみてはいかがでしょう。55歳未満の人は利用できません。

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第32号 加給年金、年上の妻の場合
★★★ 一度ももらえない夫もいる! ★★★
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前回のメルマガを送ったあと、こんな相談がありました。
「やはり、私は一度ももらえない夫になるのでしょうか」
昭和35年2月生まれの男性、会社員Bさんです。厚生年金に加入しています。
その生年月日の男性は、64歳から報酬比例部分の年金(2階)をもらい、65歳になって老齢基礎年金(1階)が加わります。
配偶者加給年金は1階と手をつないでいるのでしたね。だから、配偶者加給年金はBさんが65歳からです。 ところが、Bさんの妻は年上。昭和30年2月生まれです。
ということは、どうなるのでしょうか?

●加給年金は配偶者が65歳になれば終了

妻が65歳になれば、妻自身の老齢基礎年金をもらうことができますね。(もちろん、年金をもらうだけの条件をみたしている場合です)
「自分の年金があるでしょ、では、妻へのプラスはいらないね」
そういう意味で、妻が65歳になれば、加給年金は終わりです。

●Bさんが加給年金をもらうとき、妻はすでに70歳。

Bさんは65歳になってやっと加給年金をもらえるようになるのですが、そのとき妻は「65歳」以上。せっかく加給年金がプラスされるようになるのに、権利が発生したと当時に、終了となります。Bさんは一度も加給年金を手にすることはありません。そして、妻自身の年金にプラスされます。(振替加算)

●自分で納めたのに・・・

Bさんは言いました。
「私の手元に一度もこないというのは、あんまりではないのですか。妻が納めた保険料ではないのですよ。私が納めたものなのに・・・」

●妻の条件

Bさんの妻は昨年会社をやめて自営業をはじめました。でも130万円も所得がないので、夫の扶養に入り、第3号被保険者となっています。
実は、Bさん夫婦は、再婚どうしで、事実婚という形式をとっています。戸籍上の妻ではないけれど、事実上の「妻」なので、Bさんの妻は第3号被保険者になれるのです。
第3号被保険者とは、サラリーマンの配偶者が、自分で保険料を納めなくても納めたことになるしくみでしたね。

●第3号被保険者と寡婦控除

Bさんの妻には、子どもがひとりいます。だから、再婚前は、税法上は「寡婦」。しかも子どもがいるので、「特別の寡婦」の条件にあてはまっていました。「特別の寡婦」になると、所得税はその分、少なくなります。
「寡婦控除」とは、「夫がいなくて収入も少なくて子どもを扶養していて大変ですね、所得税を少なくしてあげましょう」という税法上のしくみです。
ところが、結婚しても、籍を入れない事実婚なら「寡婦」のままなのです。Bさんの妻は夫の健康保険の扶養に入り、年金は第3号被保険者になっているけれど、同時に、税法上では「寡婦控除」もうけられるのです。
法律上は何の問題もないのですが、扶養されている妻が「寡婦」だなんて、どう考えてみても矛盾がありますね。

●Bさんの言い分

「健康保険料も介護保険料も国民年金の保険料もはらわなくていい、それだけで得しているのに、おまけに寡婦控除まで受けられるなんて!」
なんだか、Bさんは、この制度に納得できません。
でも、Bさん夫婦が法律婚を選んだら、Bさんの妻の寡婦控除はなくなるかわりに、Bさん自身が「配偶者控除」か「配偶者特別控除」の対象になるのです。
もし、妻の所得が今と同じくらいなら、Bさんの所得税は、もう少し、少なくなります。

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よく考えてみれば、加給年金を一度ももらえないということは、もらえる人と比べてみると、受け取る年金総額にずいぶん違いがでています。
加給年金は約40万円。昭和30年2月生まれのBさんの妻は振替加算を70歳からもらえるけれど、58,000円。58,000円は1月ではありませんよ、1年間の金額です。
1年間に約40万円という加給年金の金額は大きいですね。でも、いったい何年間もらえるでしょうか。年の差によっては、このBさんのように、一度ももらえないこともあるのです。ずっと年下の妻であれば、加給年金をもらえる期間も長くなります。
保険料は同じです。なんだか、やっぱり、これもすっきりしないしくみですね。

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