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知っておきたい年金のはなし    第34号 2004年2月11日発行

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年金制度改革案、いろいろな情報が届きます。
離婚時の年金分割は法案の中にありますが、実施は2007年4月からという案です。
まだどうなるかわかりませんが、今の考え方では、2007年3月までの離婚はだめで、2007年4月からの離婚はOKということです。(これらについては案ですので、今後かわることがあります)
国民年金の保険料も最初600円アップだったのが、280円ずつアップになっています。
上げ幅が下がればいいということではなく、もっと本質的な問題があると思います。
今日は、年金制度改革を考えるうえで、絶対に知っておきたい「モデル年金」についてです。

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第34号 知らなければ大変なことになる!
★★★ モデル年金のモデルとは? ★★★
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もうすぐ60歳になる裕二さんは、年金額を社会保険事務所で問い合わせてみました。その結果をみておどろきました。
60歳からは約120万円、62歳からは約200万円。数年前に妻とは離婚したので、加給年金はありません。
60歳からは2階部分の年金しかもらえないことはわかっていても、62歳からの200万円というのは、少なすぎると思いました。裕二さんの毎月の収入は60万円。
「確か、年金額は現役世代の60%近いと聞いたことがあるな、モデル年金は23万円ぐらいだと言っていたな」と裕二さんは思い出しました。
どちらから考えても年金額は少なすぎる、収入は多いので、モデル以上の年金があってもいいでのはないか、そう思いました。
だから、この年金額に、どうしても納得できません。
では、年金の計算が間違っているのでしょうか。いいえ、違います。
年金額は正しい、でも、裕二さんの情報とはあいません。それは、こういうしくみになっているからです。

●モデル年金は夫婦ふたりの年金

モデル年金は約238000円です。このうちわけは、夫の老齢厚生年金が104000円、夫の老齢基礎年金が67000円、そして、妻の老齢基礎年金が67000円。
夫ひとりの年金ではありません。夫婦がともに65歳になったときの年金額です。

●モデルはどんなモデル?

夫は40年間ずっと会社員で、給料の平均が約36万円。そういう男性がモデルです。
妻はずっと専業主婦。第3号被保険者の期間はもちろん、それ以前の任意加入の期間もきちんと、国民年金の保険料を支払っていた人。満額の老齢基礎年金がもらえる女性です。
こんな夫婦がモデルです。

●モデルはモデル!

モデル年金とは、もらえる年金の平均額でもなく、これだけはありますよという最低保障額でもありません。 そんな条件の夫婦の場合の話です。だから、実際に誰もがもらえる金額ではありません。
妻のいない裕二さんは、「妻がいない」というそれだけのことで、すでにモデルからはずれています。

●そんなモデルっているの?

40年間ずっと厚生年金に加入で、しかも給料の平均が36万円もある人、どのくらいいらっしゃるでしょうか。大学を卒業して60歳まで働いた場合は、がんばっても38年ですね。40年間1月もかけることなく会社員だったという人は今後少なくなるでしょう。終身雇用制度もくずれていっています。転職のときに、ブランクが起きることもありますね。
それから、給料の平均が36万円というのも、どうでしょうか。
若いときからの平均です。
ここで、注意を! 現在は総報酬制になっていて、ボーナスも年金額に反映されます。モデル年金の設定は、ボーナスの入らない総報酬制導入前の計算方法で計算されています。

●現役世代の平均的な手取り年収

年金改革案をみていると、「将来の年金の給付水準は、現役世代の手取り年収の○%」という言葉がよく出てきますね。(○%の○には具体的な数字が入ります)
現役世代の平均的な手取り年収は、現在「401,000円」という金額です。これは総務省の統計から出したもので、社会保険に加入している男性労働者の標準報酬月額の平均です。ここでも、疑問! なぜ、女性は入らないのでしょうね?

●給付水準

給付水準○%というのは、この平均的な手取り年収とモデル年金を比べたものです。
決して今もらっている給料の○%というのではありません。最低でも50%をくだらないようにしたいと言われたら、今もらっている給料の半分は年金が保障されるのかなあと思いますね。そうではないのですよ。
そう考えてしまったのが裕二さんです。

●給付水準ではわからない

例えば、給付水準が50%になるからといって、自分の年金を推測することはできません。
平均的な手取り年収にもあてはまらず、まして、モデル年金にあてはまらないのなら、まったく違ったものになってしまいますね。
50%を割るようにはしないといっても、それは、モデルの世界で、実際に50%以下の人はたくさん出ます。

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年金制度改革で一番こわい誤解は、自分の手取りの半分は保障されると思ってしまうこと。
裕二さんのように、ふたをあけてみれば、自分の年金はずっと少なかった、そんなことになる人がたくさん出てくるはずです。
モデルの設定のしかたにも問題があります。なぜ、夫婦ふたりで設定するのでしょう。年金はひとりひとりがもらうもの。それに、どの人も結婚しているなんて限りません。
いろいろな選択肢がある中で、いつまでも、「夫婦」ふたりの年金を合算して、それでモデルとは、おかしいと思います。個人単位で年金額を出したほうがずっとわかりやすいのではないでしょうか。配偶者のいる人は、それぞれを合計すればいいだけの話ですから。
今のモデル年金、なんだか、おかしいと思いませんか。

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