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知っておきたい年金のはなし    第36号 2004年3月1日発行

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こんにちは。今日から3月、春ですね。
さて、すでに年金をもらっている人、今年の4月からの年金はやはり下がることになります。正式な発表はまだですが、物価が下がったことによって、年金額が下げられる予定です。
少ない年金がまた減って、不信感がつのりそうですね。
今回は、2月10日に出された年金制度改革(政府案)についてお話します。
ただし、これは、案。今から国会で審議されます。国会の審議次第によっては、内容もかわります。
決定されたことではありませんので、注意してください。

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第36号 政府案の内容は?(その1)
★★★ 女性と年金 ★★★
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孝子さんは、年金制度改革案のゆくえが気になるひとりです。
一番気になるのは、女性と年金。離婚時の年金分割です。
実は離婚を考えていますが、ずっと専業主婦でもうすぐ60歳になる孝子さんにとって、離婚後の生活が心配です。さっさと離婚したいと思いますが、今から働くにしても、特別な技術や資格をもっているわけではないので、暮らしていけるだけの収入は期待できません。
自分自身の年金も65歳からの老齢基礎年金しかありません、しかも老齢基礎年金は満額にはなりません。
こうなれば、どうしても年金分割してほしいと孝子さんは考えます。
年金分割できないと、離婚できないかもしれない、年金制度はどうなるのと、心配です。

●離婚時の年金分割は夫婦の合意が必要

今回の法案には、離婚時の年金分割が入っていますが、これは、自動的に分割されるものではありません。
夫婦の合意が必要です。つまり、孝子さんの場合は、夫が「うん、分けてあげるよ」と言わなければなりません。
くわしい内容は、メルマガ24号をごらんください。

●合意がとれない場合は

裁判所に申し立てることになります。
裁判所が実際にどういう判断を下すのか、それはまだわかりません。
しかし、黙っていてはだめだということなのですね。

●夫の年金の半分はもらえるの?

夫の年金の半分ではありません。
夫の報酬比例部分(2階部分)を最大2分の1まで分割できるということです。 サラリーマンの妻の期間が対象になります。
共働き夫婦の場合は、給与の差を分割するしくみになります。
妻が働いて厚生年金に加入していた場合、その間妻の給料が少なくて、夫婦の年金額に差があるような場合です。

●今離婚しても大丈夫?

年金分割の対象となるのは、法律施行後の離婚となっています。
だから、今離婚してしまえば、年金分割の対象にはなりません。
法案にある施行日は2007年4月から。つまり、2007年4月以降の離婚でないとだめだということです。
孝子さんは思います。もっとはやく実施してほしい。あと3年は待てないよ。

●年金分割の対象となる期間は?

これは法律が実施されるより前の第3号被保険者期間も対象となります。

●2008年から何がかわる?

2008年4月以降離婚した場合、2008年4月から離婚時までの第3号被保険者期間は、協議や裁判なしに、妻の持分は半分と認められます。
ただし、協議や裁判なしに認められるのは、2008年4月以降の第3号期間だけですよ。それ以前の期間については、やはり、協議や裁判が必要です。

●つまりどういうこと?

たとえば2008年3月までの第3号被保険者期間が20年あって、2008年4月以降も第3号で、2009年4月に離婚したとしますね。
この場合、当然2分の1に分割されるのは、最後の1年間だけ。2008年3月までの20年については、夫の合意が必要です。
2008年4月以降、このように制度がかわったとしても、結局は、協議や裁判が必要になります。

●パートの厚生年金加入について

今回は先送りです。5年後にどうなるかですね。

●遺族年金もかわるというけれど
自分で支払った厚生年金の保険料がむだにならないようにと、遺族厚生年金の支給のしくみが変更されますが、結局のところ、しくみは変更になるけれど、もらえる年金額はかわりません。

●子のない20歳代の妻の遺族厚生年金

現在、妻であれば遺族厚生年金の対象となり、年齢制限はありません。
今回の改革案では、子のいない20歳代の妻には、遺族厚生年金がもらえる期間を5年間に限るという案です。 20歳代というのは、夫が死亡したときの年齢です。
法律が実施されたあとの話ですが、たとえば、おひなまつりの3月3日に30歳の誕生日を迎える妻は、3月1日以前に夫が死亡したら5年間しか年金をもらえないけれど、3月2日以降に夫が死亡したら一生年金がもらえることになります。
(もちろん、もらい続けるためには、再婚しないなどの条件がありますので、ご確認下さい)

●中高齢寡婦加算の対象が40歳以上に

遺族厚生年金には、中高齢寡婦加算といって、夫死亡時に35歳以上65歳未満の妻にはプラスがあります(条件があります。ここではくわしいことを説明しませんが、必ず確認を)
この場合の35歳以上が、改革案では40歳以上となっています。
約60万円の金額ですので、もらえるか、もらえないかは大きな違いになります。

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ここで登場する孝子さんの気持ち、よくわかります。

しかし、孝子さんの夫の立場になって考えると、夫自身も離婚したいと思うのなら、法律施行前に離婚してしまうのが、いいのです。年金を分割される側からいうと、分割されないほうがいいですものね。(夫の言い分)
まして再婚しようとなると、再婚相手に「年金分割した人はいや」なんていわれる可能性もありますね。
再婚の条件は「年金分割されていないこと」なんてなるかもしれません。
年金分割については、今回の改革の中で、とくに女性にとっては「プラスになること」として評価されていると思います。
しかし、考えようによっては、
「少ない年金を裁判までしてわけてください、国が支給する年金額にはかわりないのですから、けんかしてでもわけてください」
と、そんなふうに言っているようにもみえます。
確かに年金分割で、救われる女性はいますし、必要なことだと思います。でも、なぜ、年金分割が必要なのか、その背景に何が問題としてあるのか、年金制度の根本的な問題も考えてみませんか。
基礎年金だけでは暮らしていけない、そんな問題もみえてくると思います。
※それから、年金分割については「妻」だけの特権ではありません。夫が第3号の場合は、「夫」でも同じです。その場合は、妻と夫を読み替えてください。

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このメルマガは、配信後、内容がはっきりわかったこともあったので、実際に配信されたものに加筆・訂正しています。