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知っておきたい年金のはなし    第38号 2004年3月21日発行

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1周年ではたくさんのメッセージ、ありがとうございました。
「作家になりたかったのですか、どおりで書くことが苦痛にならないはずですね」
というメールも複数の方からいただきました。
そうなんです、カラオケやボウリングにさそわれるとあまりの下手さに苦痛なのですが、書くことは楽しいです。
来年4月からの年金額、下がります。現在年金をもらっている人も下がります。
老齢基礎年金の満額は、797,000円が794,500円になる予定です。
そして、今日のお話は、政府案の続き。現在、年金をもらっている人がどうなるのかというお話です。
若い人にも多いに関係あり! 自分の老後の話ですから。

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第38号 政府案の内容は?(その3)
★★★ すでに年金をもらっている人にとって ★★★
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武男さんは、来年70歳になります。まだまだ元気で、仕事をしています。自分で起こした会社です。あと数年は現役で仕事をするつもりです。
妻からも言われています。
「元気なうちは仕事をしたほうがいいよ。毎日が日曜日になっては困るから」
そういう妻も元気で、毎日のように、俳句の会に行ったり、絵手紙を習ったり、いそがしそうです。夫が家にいないほうが、都合いいみたいです。
武男さんには収入があります。年金もあります。それで生活していけます。
でも年金は在職中だからと減らされています。70歳になったら全額もらえると聞いています。あんなにたくさん保険料を支払ったのだし、全部年金をもらうのはあたりまえだと思っています。
ところが、年金改革のニュースをみて驚きました。70歳以上も支給停止になるんだって?
さて、どうなるのでしょうか。

●60歳以降も働いている人は

60歳以上厚生年金に加入して働いている人は、年金をもらう権利ができても、年金を全額もらえるというわけではありません。
60歳から65歳になるまでは、年金は最低2割カット。どんなに少ない年金の人であっても、どんなに少ない給料であっても、厚生年金に加入していれば、8割の年金しかもらえないということです。
65歳以上70歳未満は、最低2割カットはなくなりますが、2階部分の年金(報酬比例部分)は、給料と年金額に応じて、カットされるしくみです。

●70歳以上も年金カット!

やれやれあと少し。もうすぐ年金は全部もらえるよと思っていた武男さん。確かに今はそうですが、今回の改革では、70歳以上の人も、カットしようというのです。
いつまでカットされるのか。 それは厚生年金に加入している限りです。
年金や給料が少なくて、カットされるライン以下の人は対象にはなりません。

●70歳以上の保険料は?

会社に勤めていても、70歳になると、もう厚生年金の保険料を支払う必要はありません。今回の年金制度改革では、さすがに、保険料は取りません。保険料をまだまだ払ってもらうよという案もありましたが、それはしないことになりました。

●元気な高齢者の思い

武男さんは思います。 自分は元気、そして、まだ働いている、医療費も使っていないし、社会に貢献している。そんな元気な高齢者が、どうして年金カットという目にあうのだろう、元気で収入もあるからそれでいいだろう、といわれるかもしれないが、長い間、保険料を払ってきたのに、それはあんまりだ・・・

●どうせもらえないのなら

厚生年金に加入してるからといって年金を減らされるのなら、今はもらわなくてもいい、あとで増やしてもらうことはできますかと、聞かれます。
老齢基礎年金(1階部分の年金)には、繰り下げ制度というのがあって、たとえば、65歳からもらえる年金を70歳からもらえば、年金が142%に増えるというしくみです。ただし、これは、1階部分の年金だけ。2階部分の年金には、遅くもらえば年金が増えるというしくみは、現在ではありません。過去にあったのですが、廃止になりました。
ところが、65歳以上も働き続ける人のために、2階部分の年金を遅くもらうという繰り下げのしくみが今回の案に入っています。

●誰でも繰り下げできるものではありません。

65歳で退職してしまえば、2階部分を遅くもらうということはできません。対象になるのは、あくまでも65歳以上で厚生年金に加入して働いている人。

●繰り下げできればお得?

65歳以上で、収入が多くて、年金をカットされている人や全くもらえない人、どうせもらえないのなら、これはいい、繰り下げのしくみを利用して、あとでたくさんもらおうということになりますね。
ところがそうはうまくいきません。
繰り下げられるのは、カットされない部分だけ。つまり、全部の年金を停止されている人は、繰り下げは利用できないということです。そうなんです、やっぱりもらえないのです。(老齢基礎年金だけは繰り下げできます)

●60歳以上65歳未満の一律2割カットはなし

60歳以降の年金が少ないので働くしかないと思って働けば、少ない年金が最低2割はカットされます。これでは働く意欲がなくなると、最低2割カットはなくすという案が入っています。
収入の少ない人にとっては年金のカットがなくなるので、手取りは増えることになります。
でも当たり前といったら、当たり前の話ですね。

●税金もふえる

高齢者に冷たい内容はそれだけではありません。
老年者控除といって、65歳以上の人の所得税を計算するとき、一律50万円を課税対象外として計算するというしくみがあります。(合計所得金額1000万円以下の場合)
それを廃止しようというのです。
また、公的年金等控除も減らすという内容。現在最低140万円となっている公的年金等控除額を120万円に引き下げるというものです。
むずかしく考える必要はありません。支払う税金が増えるということです。

●おまけにマクロ経済スライドで年金は下がる!

これからも少子高齢化が進むだろうし、そうなると、マクロ経済スライドによって年金額は下がります。
マクロ経済スライドについてのくわしいことは、メルマガ第21号をごらんください。
http://homepage2.nifty.com/miming2/magazin-top.html

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年金生活者にとっては厳しい内容です。
武男さんがいうように、もっと高齢者が大切にされてもいいと思います。
でも、ほんとは、若い人たちにとってきびしい内容なのですよ。

メルマガ「中高年になったら自営業」は、鏡味義房さんが発行されています。
http://www.h4.dion.ne.jp/~nova/mag2-2.htm
年金のことを考えると、まさしく、その題名のとおりなのです。
自営業であれば、どんなに収入が多くても、年金はカットされないのです。厚生年金に加入しているとカットされます。
だからこそ、中高年になったら自営業なんすね。自営業のきびしさはさておいて、年金のことを考えると、そうなんです。

今回は共済年金についてはふれませんでしたが、退職共済年金をもらっている人が厚生年金に加入した場合、年金カットのしくみが異なります。また、老齢厚生年金をもらっている人が共済組合に加入しても、年金はカットされません。
制度が異なる場合はまた別の話ですので、該当する人はご注意ください。

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