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知っておきたい年金のはなし    第40号 2004年4月11日発行

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数日前、お取引先の社長さんに車で送っていただく機会がありました。そのとき話題になったが、年金のこと。自然に年金の話になったのですが、年金制度へ対する怒りはかなりのものでした。
自分たちが支払っている年金が無駄なことに使われているということへの怒り。「国民年金保険料をおさめましょう」という宣伝に6億円以上のお金が使われていたのですからね。
それから、ちゃんと保険料を支払っているのに将来もらう年金が減っていくだろうという不安もありました。 江角さんの話題と同時期に、もうひとつ、ニュースになったことがあります。
学生無年金障害者訴訟です。

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第40号 最近の話題から(その2)
★★★ 障害年金をもらえなかった人たち ★★★
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学生時代に障害を負った元大学生4人が、「『20歳以上の国民年金未加入者には、受給資格がない』と障害基礎年金の支給を拒否されたのは違憲」として、国に年金不支給処分の取り消しと、総額8000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が3月24日、東京地裁でありました。
「年金を受け取れない制度は法の下の平等を定めた憲法に違反する。それを放置した国には、立法不作為の違法がある」と述べて、賠償責任を認め、原告3人について総額1500万円の支払いを命じました。
これはどういう意味なのでしょう。

●学生も国民年金へ強制加入

20歳になったら、収入がないどころか、親にめんどうをみてもらっている学生であっても、国民年金へ強制加入となったのは平成3年からの話です。

●それまでは任意加入

任意加入というのは、「入ってもいいし、入らなくてもいい、どちらか自分で決めればいいですよ」という意味です。入らないからといって、法律違反ではありません。
●入らなくてもよかったから入らなかった

学生無年金障害者訴訟は、わかりやすくいうと、入らなくてもよかったのに、入ってないからといって障害基礎年金をもらえないのはおかしいという訴えです。

●障害基礎年金をもらう条件

障害基礎年金をもらうためには、障害の程度など、いろいろな条件がありますが、そのひとつに「ちゃんと保険料を納めていますか」ということが問われます。
ちゃんと納めている人はいいけれど、ちゃんと納めてない人はだめですよということなのです。
「ちゃんと保険料を納めている」というのはどういうことかというと、国民年金の保険料を納める期間のうち3分の1以上滞納があれば、障害基礎年金をあげないよということです。(ただし、3分の1以上滞納していても最近の1年間滞納がなければいいよという特例があります)
くわしいことはメルマガ17号をごらんください。
http://homepage2.nifty.com/miming2/magazin-top.html

●学生が任意加入だったとき

20歳になります。国民年金の保険料を払いません。するとどうなるか。
重い障害を負ったとします。そのときに、まったく保険料を納めたことがなければ、保険料を「ちゃんとさ納めていなかった」ということで、障害基礎年金をもらうことができません。

●一生もらえない!

その障害となった原因の病気やけがでは、一生障害基礎年金をもらうことができません。

●それはおかしいよ

強制加入で滞納している場合ではありません。任意加入、つまり、加入しなくてもなんら法律違反ではなかったのです。本人は法律どおりにしていたのです。それなのに、障害をもって生きていかねばならない人に何の救済制度もないのはおかしいということなのです。
●学生の納付特例制度

現在、条件をみたす学生は「納付特例」を受けることができます。納付特例は、免除制度とはちょっと異なります。
「今は親がかり、収入がなくて大変でしょ。だから、納めなくてもいいよ。あとで、納めてよ」という制度です。

● あとで納めなかったらどうなるの?

年金をもらえるかどうかを判断するときには、学生の納付特例を受けた期間は生きてきます。でも、老齢基礎年金額にはつながりません。
あとで納めなくても、年金をもらえるかとうかの期間には入るけれど、年金額にはつながらないというしくみです。
学生でない人が免除を受ければ、その期間の3分の1は、保険料を支払ったものととして年金額に加えられるけれど、学生の納付特例の期間は、将来の年金額にはつながりません。

●障害年金との関係は?

障害年金については、学生の納付特例を受けた期間は滞納期間とはならないというメリットがあります。障害年金のことを考えると、保険料を納めることが大変な学生は、きちんと納付特例の手続きをしておくことが大切です。

●納付特例の手続きは?

学生本人の住民票のある市町村役場で。年金手帳と印鑑をもってきましょう。
20歳の誕生日がきたら、すぐに手続きしましょう。
数ヶ月忘れていたという場合、過去にさかのぼることはできません。また、毎年手続きが必要です。
くわしいことは、市町村役場の国民年金課で確認しましょう。

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今回の判決では、国の無年金放置は「違憲」であるとしています。「学生無年金者に何らかの措置を講じないことは法の下の平等に反する」という判決です。
1人の方については不支給決定の取り消し、3人の方には賠償金を支払うという内容です。
考えてみると、任意加入だから加入しなかったというのは、学生だけには限りません。専業主婦であっても昭和61年3月までは任意加入だったのですから、その間に重い障害を負った人は、障害基礎年金をもらえないのです。
強制加入で滞納しているのとは違いますね。
この判決の主意からは、学生ばかりではなく任意加入時代に障害を負った人の救済措置は考えられてもいいのではないかと思います。
年金というしくみでは救済できなくても、なんらかの方法があっていいと思います。
くわしいことは、HP「学生無年金者訴訟ニュース」をごらんください。
http://park18.wakwak.com/~munenkin/

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