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知っておきたい年金のはなし    第46号 2004年6月11日発行

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年金制度改革案が国会で可決されました。
しかし、問題は少しも解決していないですね。
保険料は上がり、もらう年金額は下がっていくのです。
生活の苦しい人は、もっと苦しくなっていくように思います。
ところで、保険料を支払っても、年金がもらえるのなら、まだいいです。
もらえないとわかっていても保険料を支払わねばならないことがあるのです。

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第46号 厚生年金への加入
★★★ もらえないとわかっているのに ★★★
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61歳の敏子さんのお話です。
敏子さんは生活のためにパートで働いていますが、少しでも収入が多いほうがいいので、働く時間を増やしました。会社も、人が足りず、困っていたので、新しい人を雇うよりも、仕事になれた敏子さんに長く働いてもらうほうがよかったのです。
ところで、働く時間を増やしたので、敏子さんは会社から「社会保険に加入してください」と言われました。 現在は国民健康保険です。現在の保険料よりも負担が少なくなるのなら、健康保険に入るのはいいのですが、問題は厚生年金です。
「厚生年金だけ入らないわけにはいきませんか?」
と敏子さんは聞きました。
そういうわけにはいきません。
健康保険、介護保険、厚生年金3点セットで、仲良く手をつないでいるのです。
敏子さんは言いました。
「私、どうせ、年金はもらえないのです。それでも厚生年金に入るのですか」

●25年の期間がない

敏子さんはずっと国民年金加入しなければならない人でしたが、保険料を払っていませんでした。だから、年金をもらうのに必要な25年の期間がありません。

●免除も受けていなかったの?

生活が苦しい場合は、免除という方法もあったのですが、敏子さんは何もしていませんでした。

●カラ期間は使えないの?

サラリーマンの妻の期間はなかったのでしょうか。
ところが、敏子さんの夫は、もう30年ぐらい前から、病気で働けなかったというのです。サラリーマンの妻としてのカラ期間もありません。

●これではもらえない

加入期間を調べた結果、どう考えても、今から厚生年金に加入しても、年金はもらえません。
ほとんど保険料を納めていなかったのです。すでに61歳。これから、25年の期間をつくることは無理なのです。あと10年も会社に勤められるでしょうか。

●今から入っても意味がない?

そうなのです。今から厚生年金に加入しても、老後の年金はもらえません。

●それでも入らないといけないの?

厚生年金は強制加入です。年金をもらえないとわかっていても、社会保険に加入する条件に当てはまる人は、加入しなければなりません。

●敏子さんをなんとか救えないの?

なんとかしてあげたいとは思うけれど、現在、無年金になっている人と救済するようなしくみはないのですよ。

●何かもらえるものはないの?

年金につながらないからといって、脱退一時金のようなものはありません。
敏子さん自身の障害年金や、敏子さんが死亡した場合の遺族年金については、一定期間以上厚生年金に加入した場合に、考えられます。何かあるとしたら、それぐらいです。

● 敏子さんの夫も保険料を払っていなかったの?

そのようですね。すでに、70歳。年金をもらう権利はないということだけはわかっています。
敏子さんの夫は長い間、病気でした。働けなかったのです。でも、よくわからずに、国民年金の免除もしていなかったのです。

●障害年金はもらえないの?

70歳になってしまっているので、今から障害年金の請求はできません。
ほとんど寝たきりになっている敏子さんの夫は、もっと前から障害年金の等級に該当していたかもしれません。
ただ、もっと早くに気がついていても、保険料をきちんと納めていなければ、障害年金はもらえません。

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敏子さんは年金手帳さえもなくしていました。再発行して、厚生年金に加入したのですが、年金をもらえないとわかっていての加入です。
敏子さんは現在仕事を掛け持ちしています。昼間の仕事と、夜の仕事。
そうでもしなければ、病気の夫の面倒をみていけません。敏子さんは仕事で大変なので、介護保険を利用してヘルパーさんにきてほしいのですが、利用料の1割が払えません。
夫婦ともに年金がないのです。
払っていない人が悪い、自己責任だと言われればそれまでですが、そう言って切り捨ててしまえますか?
敏子さんの生活は、これからどうなっていくのでしょうか。

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