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知っておきたい年金のはなし    第51号 2004年8月1日発行

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猛暑が続きますね。
私が最近思うことは、やはり、「人間の頭」は、コンピュータにまさるものだということです。
コンピュータでも、間違うものです。それは、人が作っているものだから、そのしくみをよほど理解して利用しないと、間違ってしまうのです。そして、その間違いがわかるのは、人間の頭。
最近の私の経験からです。
社会保険庁でも、また、年金の支給ミスがありましたね。
間違って年金をたくさん払っていたということです。当然もらえるものと思ってもらっていた人たちにとっては、今から「返せ」といわれても、困るでしょう。
間違って払いすぎていた金額は、年間最大で4億円にもなるとか。(これは、確定した情報ではありません、調査中とのこと)
こんな間違いをしておいて、財政が苦しいから、年金額を下げたいというもの、許せない気がしますね。
今日は、実際に年金をもらいすぎていた、年雄さんのお話です。

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第51号 もらいすぎていた加給年金
★★★ 必ず返してね! ★★★
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年雄さんはもうすぐ65歳。ずっと会社に勤めていたので、60歳から特別支給の老齢厚生年金をもらっています。
ところが、2ヵ月に一度振り込まれる年金から、引かれているものがあります。それは過去にもらいすぎた年金です。
約2年間、もらいすぎていたので、まとまった金額になり、一度には返せないので、今もらっている年金から少しずつ返しているというのです。
もらいすぎていたと言われればそれまでですが、すでに使ってしまったお金を、今さら返すのはつらいです。
なぜ、こんなことが起きたのでしょうか。
それは、妻の美穂さんの障害基礎年金と関係があるのです。

●加給年金がプラスされていた

年雄さんは、35年間会社員でした。ずっと、厚生年金の保険料を払ってきました。
そして、妻の美穂さんは専業主婦です。
年雄さんは60歳から、1階と2階の年金をもらえる人でした。そして、その年金には、年金の家族手当とも言える「加給年金」がプラスされていました。

●加給年金っていくら?

2004年度価格で、生年月日によって、228600円から397300円。これは、若い人ほど、金額が多くなっています。

●加給年金はずっともらえるの?

いいえ、ずっとではありません。妻が65歳になるまです。
しかし、妻が65歳にならなくても、ストップする場合があります。
それは、死亡や離婚などで、対象となる妻がいなくなったとき。
これはあたりまえですね。

●その他にも?

加給年金は、共働きの夫婦には不利になっているのです。
年雄さんの妻の美穂さんが会社員だったとします。20年以上会社に勤めていたとすると、美穂さんの老後の年金をもらう権利ができる60歳から、年雄さんの加給年金は支給停止となります。ふたりとも20年以上厚生年金や共済年金の加入期間があるような場合、それぞれに加給年金の権利はできますが、結局、ふたりとももらえなくなるのです。
それぞれの年金が20年以上もあるから、加給年金は必要ないよと、年金制度は言っています。

●でも、専業主婦だったのですよね?

そうです。美穂さんは、専業主婦でした。
ではなぜ、年雄さんは加給年金をもらなくなったのでしょうか。まだ、妻は65歳になっていないのですよ。

●何が原因?

それは、美穂さんが障害基礎年金をもらいはじめるようになったからです。
美穂さんは、病気療養中でした。しかし、だんだん悪くなっていって、障害基礎年金に該当するほど、悪くなってしまいました。そこで、手続きをして、障害基礎年金をもらえるようになったのです。
ところが、障害年金をもらえる妻に対して、加給年金は支給されません。

●加給年金はストップするの?

年雄さん、美穂さんのようなケースでは、美穂さんが障害年金をもらいはじめるときから、加給年金はストップします。そこで、きちんと手続きしておかないと、加給年金は自動的には止まりません。
ほんとはもらえない年金が振り込まれて、あとで、わかって、返すということになります。

●一度に返せないよ

だから、少しずつ、返済額が引かれているのです。

●でも、年雄さんは悪くないと思うよ。そんなことわかる?

わからないでしょうね。こんなしくみ。
美穂さんが障害年金を請求する時点で、役所が夫の年金をチェックするべきだったでしょう。
障害年金の請求書には、配偶者の年金状況を記入するらんがあるので、そこでわかるしくみになっています。
年雄さんの場合、当時のくわしい事情はわかりませんが、きちんと手続きできていなかったのです。

●払いすぎってあるんだね

払いすぎた年金はあとで必ず請求されます。
他にも、払いすぎになるケースとして、死亡届を出すのがおくれて、生きているものとして年金が振り込

●今回の間違いは?

今回は振替加算の払いすぎだということです。
振替加算は、加給年金が変身するものです。
たとえば夫の年金にプラスされていた加給年金は妻が65歳になればなくなるけれど、65歳以降は「振替加算」として、妻自身の年金に上乗せされます。
今回のまちがいは、夫が死亡していたのに、生きているものとして、妻の年金に上乗せされたケースだと社会保険庁は言っています。

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もちろん、人間のすることだから、間違いはあると思うのですが、生存しているか、死亡しているか、あたりまえのことを確認しないなんて、社会保険庁のミスですね。
しかも、こんな実態が今年の2月にはわかっていたのに、公表していませんでした。
年金制度への批判がもっと高まるからでしょうか。
こんなことでは、いったい何を信じていいのやら、わからなくなりますね。
社会保険庁のミスで、もらえるものをもらっていない人だっているかもしれないと、疑いたくなります。
間違いはあるものだと思って、自分のことは自分で守るしかないのでしょうか。

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