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知っておきたい年金のはなし    第54号 2004年9月1日発行

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年金のセミナーに若い男性が参加していました。
会社で「参加しなさい」と言われて、しかたなく参加したようす。もちろん、年金にも関心がありません。年金の話を聞いたこともありません。
ところが、その方はけっこう熱心に聞いておられて、最後になってこんなふうに言われたのです。
「第3号被保険者のしくみ、ずるいような気がします。だって、保険料を払っていないのに、払ったことになるなんて!」
自分で保険料を払っている人にとってはそんな気がしますね。
自分たちは安い給料の中から、否応なく払っているのに「払わなくてもいい人がいるのはどうして?」と思います。
でも、ほんとに「ずるい制度」なのでしょうか。

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第54号 サラリーマンの妻だけではない
★★★ 苦しいときには助けてほしい ★★★
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咲子さんは55歳。介護が必要な高齢者に手助けをするホームヘルパーとして働いています。
ホームヘルパーの仕事は、利用者さんのところへ訪問するので、時間が不規則です。
しかし、仕事がだんだん増えて、1日に6時間ほど働くようになってきました。
会社で、健康保険と厚生年金に加入するように言われました。
咲子さんは社会保険に入らなければならないのなら、高校生の子どもふたりと夫を扶養に入れたいと思いました。
咲子さん一家は、今、大変なのです。
大工をしている夫の仕事は、少なくなっています。腕のいい職人なのに、不況で仕事が減っているのです。少ないときは、月に7〜8万円しか、収入がありません。そこから、国民健康保険の保険料を払っています。国民年金まで払えません。
その上、子どもがふたりとも高校生です。
咲子さん自身の収入は、どんなに多くても月に15万円にはなりません。
これで生活していけますか。
国民年金の保険料まで払えますか。
「夫と子どもを私の扶養に入れてください」と咲子さんはいいました。このままでは国民健康保険の保険料を払えなくて、夫と子どもの保険証がなくなってしまいます。
さて、咲子さん一家はどうなるのでしょうか。

●夫は妻の扶養になれるのですか?

扶養に入るということは、健康保険の保険料も支払う必要なし、国民年金も第3号被保険者として、保険料を払う必要がないということです。
妻が夫の扶養に入るのはあたりまえのように思いますが、その反対もあります。男女差はありません。条件を満たしていればいいのです。

●どういう条件?

健康保険の扶養に入る、第3号被保険者になれるのは、収入が130万円未満の場合です。(60歳以上や障害者の場合は、180万円未満です。その他の条件もありますので、個々のケースで確認を!)
咲子さんの夫は、今のところ、130万円も収入がありません。

●去年は130万円以上あったけれど

原則として、昨年のことは関係ありません。今後、どうなるかなのです。当分、130万円以上の収入が見込めなければ、第3号被保険者になることができます。

●第3号被保険者になるのは簡単?

妻が第3号被保険者になるのには、所定の手続き書類に、年金手帳を添えて出します。

●夫もそれでいいの?

全国どこでも同じかどうかわかりませんが、夫を妻の扶養にする場合は、「申立書」が必要です。「こういう事情で妻が夫を養っているのだ」ということを書いて提出します。

●咲子さんの場合も

不況で仕事が少なくなって、年間100万円も収入がなく、妻が主として暮らしをたてているのだということを申立書に書いて、夫と子どもを咲子さんの扶養にしました。その結果、妻の咲子さんの保険料だけで、夫も子どもも健康保険が使えることになり、夫は、国民年金の第3号被保険者となって、これからは滞納ではなくなります。

●保険料を払ったことになる

第3号被保険者のメリットは、自分で保険料を払っていないけれど、その期間は払ったことになることです。
咲子さん一家はほんとに助かりました。夫の国民年金の保険料分、負担が軽くなってよかったと思っています。
国民年金の免除を申請するという方法もありますが、免除の場合は将来受け取る年金が少なくなってしまいます。第3号被保険者になるほうが、ずっと有利です。

●これはずるいこと?

咲子さんのような例、「妻を夫の扶養に入れる」ということが、最近は増えてきたように思います。
咲子さん一家は、咲子さんが社会保険に加入して、家族を健康保険にいれて、夫を第3号被保険者として、家計は助かりました。
高校生の子どもがふたりいて、お金もかかります。
咲子さんの夫も悪くないと思います。まじめに仕事をしているのに、仕事がない、収入が少ないのです。
こんなケースに手助けしてくれるのも、第3号被保険者のしくみです。
公平かどうかという問題は別として、こんなふうに救われている人もいるのです。

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第3号被保険者というと、すぐに「サラリーマンの妻」だと考えます。夫にたくさんの収入があっても、サラリーマンの妻というだけで、第3号被保険者になれるのは不公平だとよく言われます。
たしかに、自分で保険料を払っていないのに、払ったことにしてくれるこのしくみは不公平でしょう。国民年金の第1号被保険者の配偶者にはこのようなしくみはありませんので、不公平と言えば不公平です。
でも、咲子さんのようなケースもあるのです。
単純にずるいとは言えないように思います。どうでしょうか。このようなケースに出会うと、私はなんとかして助けてあげたいような気持ちになります。

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