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知っておきたい年金のはなし    第57号 2004年10月1日発行

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私の初の単行本「年金、もっと知りたいな。」が、全国の書店にならぶようになりました。
私自身も、ちょくちょく書店に見に行って、何冊売れたかなあなんて、並んでいる本の冊数を数えたりしています。
私の子どもがそこに並んでいるような気がします。
書店でみたよというご連絡もいただきますし、本の感想もいただきます
そんなときは、とてもうれしいです。
メルマガを続けていて、よかったなと思っています。

本は、ネット書店でも、販売しています。
ぜひ、感想を書き込んでくださいね。
http://www.bk1.co.jp/cgi-bin/srch/srch_detail.cgi/41568090a478f0101c24?aid=ovt200020&bibid=02477110&volno=0000

今日は、女性にも男性にも関心の高い、離婚時の年金分割について、少し細かくお話しします。

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第57号 年金、半分もらえないの?
★★★ 年金、半分もらえないの? ★★★
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文代さん、52歳。はじまりは些細なことでした、その些細なけんかが、大げんかになってしまったとき、文代さんは夫からこんなふうに言われました。
「別れたら、どうせ、食べていけないだろう」
けんかの一言だったとは思いますが、その言葉は、ぐっさりと文代さんの胸につきささりました。
確かに、文代さんには、これといった技術や資格があるわけではありません。パートで働きながら、子育てと家事をこなし、一生懸命でした。
大半は夫の収入で生活してきましたが、「どうせ食べていけない」発言はひどいと思いました。
それから、文代さんは「食べていける」だけ、働きたいと思うようになりました。
今すぐ夫と別れようと思っているわけではないけれど、そういうふうに夫がみていたかと思うと、なんだか、とても悔しかったのです。収入は少なかったけれど、文代さんだって家族のために一生懸命、働いてきたのです。
一応、仲直りはしましたが、それから、もっと働きたいと思うようになりました。
会社の人手が足らず、勤務時間を長くしてほしい、ただし、社会保険加入が条件、という話があったとき、文代さんは、願ってもないことだと思いました。
契約を変更して、社会保険に加入しました。
ところが、同じパートの同僚に言われました。
「夫の扶養でなくなったら、年金半分もらえなくなるんじゃないの?」
そう言われて、離婚時の年金分割はどうなるのだろう、専業主婦でない人は半分もらえるのか、文代さんは心配になってきました。
共働きの場合、年金分割はどうなるのでしょうか。

●分割できる年金は?

夫の2階の年金(報酬比例部分)です。割合は最大2分の1.
夫の年金全部の半分ではないですよ。
夫が200万円の年金をもらっているとしますね。1階が80万円、2階が120万円としたら、120万円を分けることになるのです。
分割割合は、最大で2分の1です。

●結婚している間が対象

もし、2階の年金が120万円あるとしても、結婚したのはいつでしょう?
分割の対象になるのは、結婚している期間です。独身期間は対象外です。
22歳から60歳まで会社員、30歳で結婚したという場合、22歳から30歳までの8年間にひとりで築いた年金は、分割の対象にはなりません。

●ということは、結婚期間が短くて別れた人は、ちょっとだけ?

そうです。
年金の多い人と結婚したとしますね。
でも、すぐに別れてしまったら、期間が短いので、分けることのできる年金も少ないです。

●専業主婦の場合は?

専業主婦に限りません。パートで働いているけれど夫の扶養に入っている場合、つまり、第3号被保険者の期間は、妻の収入はゼロだと考えます。
だから、その期間の夫の年金(報酬比例部分)は最大2分の1に分割できます。

●共働きは?

簡単にいうと、結婚期間については、夫の年金と妻の年金の差額を、分けるというイメージとです。
夫の年金、妻の年金、差がありますね。
その差額を最大半分に分けて、妻にプラスすることができるというイメージです。

●もう少しきちんと言うと

例えば、夫が30万円、妻が20万円の収入だとしますね。
この場合、ふたりの平均は25万円。
この平均値をとって、夫の収入25万円、妻の収入25万円として、年金が計算されるという意味です。
ここでは、収入という言葉を使いましたが、正確には標準報酬月額です。
もっと正確にいうと、むずかしくなりますので、やめておきますが、だいたい、こういうしくみです。

●共働きでも、分割できないことはないよね?

分割できないことはありません。ただ、対象期間の夫の年金全部を半分に分けるというのではなく、妻の年金との差額を分けるという感じになります。
●同じ収入の夫婦には分割の意味がない?

そうです。年金分割とうのは、ふたりの年金に差がある場合に有効です。ふたりとも差がないのなら、分ける必要がありません。

●じゃあ、夫の扶養に入っていたほうが得?

年金分割を考えたら、自分が働いている分だけ、分割される年金は少なくなるということになりますね。しかし、しかし、働いている人は、自分で年金という家の2階を作っているのですから、働くことによって、トータルとしての年金は増えることになります。

●自動的には分割されないの?

離婚時の年金分割は2007年4月から実施されますが、翌年の2008年4月から、さらに新しいしくみがスタートします。
それは、2008年4月以降の第3号被保険者期間については、離婚時に自動的に分割されるということです。
では、共働き期間は? これは自動的には分割されません。

●第3号被保険者以外は合意が必要

夫も会社員、妻も会社員という期間については、2008年以降も、合意か、裁判所の決定が必要になります。

●自動的に分けてくれるのなら、やっぱり、専業主婦のほうが得?

第3号被保険者なら、何もしなくても自動的に年金を分割できるけれど、第3号をはずれたばかりに、少ない収入しかないのに、自動的に分けてくれないなんて損!と思うこともあるでしょう。
別れる夫が合意すると思えないし、裁判所なんて大変と言う気もするでしょう。
しかし、結果として、何が損で何が得か、こればかりは、わかりません。人生、どうなるかわからないように。

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年金のために離婚できないというケースもあるでしょう。
確かに、お金って切実です。
でも、もし、自分でどんどん働くことができるのなら、自分の年金という家は、自分で作ったほうがいいと思うのです。
そのほうがトータルとしての年金も増えます。
私は、むしろ、年金分割にたよらざるをえない、女性の年金の少なさが問題だと思います。
そして、年金のために、離婚をがまんするのも、悲しいことだと思います。
幸せに結婚生活を続けられるのなら、それにこしたことはありません。
誰でも離婚しようと思って結婚するのではありませんものね。
でも、うまくいかないことだってあるのです。そのとき、年金のためにがまんするのは、ほんとに悲しいですね。
年金は、どんな人生を歩んでも、困ったときに助けてくれる制度であってほしいと思います。せいたくはしなくてもいいけれど、暮らしていける年金であってほしいと思います。

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