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知っておきたい年金のはなし    第66号 2005年1月1日発行

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新年、おめでとうございます。

昨年最後に受けた年金のご相談は、88歳の男性からでした。
きっと、今まで私が受けた年金相談で、最高齢の方でしょう。
その方は一昨年妻に先立たれ、現在は、週に1回、デイサービスに通っています。そのデイサービスで話題になっているのが年金。
夫に先立たれた女性たちが、遺族年金をもらっているという話をしています。
「どうして自分は遺族年金をもらえないのか。遺族年金とは、女性だけもらえて男性はもらえないものか」
その疑問には、こうお答えしました。
「亡くなった奥さんの遺族年金をもらう権利はあるけれど、あなた自身の老後の年金が多いから、多い方を選んでいるのですよ。両方はもらえないのですよ」
「そういうことなのですか。やっとわかりました」
今年もいろいろな相談があるでしょう。少しでもお力になれるよう、努力したいと思います。
メルマガの発行は続けます。引き続き、よろしくお願いします。

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第66号 年金、今年は何が変わる?
★★★ 新たに始まるしくみをチェック! ★★★
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お正月、45歳の久子さん夫婦は、家族で、実家に帰りました。両親を囲み、久子さんのふたりの姉夫婦も集まって、にぎやかなお正月です。
そこで、話題になったのは、年金の話。一番年下の久子さんは、まだ先のことにように思っていましたが、年金生活をしている両親、それから、50歳になった姉たちには、関心事です。一番上の姉の夫は、数年後には定年退職を控え、これからのくらしのこと、年金のことが切実になってきています。
「今年も年金が減るのだろうか。これ以上、減ると困るけれどな」とお父さん。
「退職後の年金を試算してもらったら、少なかった。再就職先をみつけないとやっていけない」というのは、お兄さん。
久子さんにも心配があります。夫の給料は増えず、ボーナスも減って年収はダウンしています。保険料などの負担が上がれば困ります。子どもの教育費がかかり、大変な1年になりそうなのに!
今年は、なにがどう変わるのでしょうか。2004年の法改正で、2005年から実施ということがいくつかあります。
しっかり、チェックしておきましょう。

●保険料が毎年アップ

4月から国民年金の保険料が280円アップ。13,580円になります。
昨年アップした厚生年金保険料は、また、9月分からアップします。
少しずつとは言いながら、まとまるとかなりの負担になります。

●年金額は?

4月からの年金額は未定ですが、物価の上昇に応じて年金額が増えないことは、はっきりしています。久子さんのお父さんの心配は、みんなの心配です。

●実質的には目減りする

2005年度からは老年者控除は廃止。そして、65歳以上の公的年金控除も引下げられます。
老年者控除は所得のうち50万円は税金の対象にしないという高齢者には有利なしくみで、その分所得税が少なくなっていました。公的年金控除も、年金暮らしの人には一定の控除(年金額によって決定)があり、それによって所得税が少なくなるというしくみです。
廃止・引下げとなると、所得税が増えることになります。
そうなると、年金額に変化がないにしても、実質的には、年金が減ることになりますね。

●良くないことばかり?

なんだか、よくないことばかりのようですが、有利なしくみもスタートします。60歳以降も会社に勤めているため年金が一部カットされている人にとっては少しうれしい変更です。 4月から在職老齢年金の計算方法が変更されるので、支給額が増える人も出てきます。

●在職老齢年金とは

どんなに給料が少なくても、年金が少なくても、60歳から65歳になるまでは、厚生年金に加入しながら働いていると、年金が2割カットされています。その一律2割カットが4月以降なくなります。 ●若い人のために

国民年金の保険料を払うのが大変という30歳未満の若者には、4月から納付特例制度がスタートしますので、払えない場合は利用しましょう。

●でも、ほんとはそんなに得ではない

免除と納付特例ではどちらが得か? それは免除です。保険料を払わなくてもいいという現象は同じですが、納付特例を受けた期間は、あとで保険料を払わない限り、老後の年金額には反映されません。免除を受けた期間は、あとで払わなくても、3分の1だけ、老後の年金額につながります。

●なんといってもお得なのはこれ!

第3号被保険者の特例届出です。届出忘れで保険料滞納になっていた過去のサラリーマンの妻(夫)の期間が、保険料を納めた期間として年金につながるのです。すでに年金をもらっている人は、年金額が増えることになりますので、手続きにいきましょう。

●ポイントは4月に手続きに行くこと!

現在老齢基礎年金をもらっている人で、第3号被保険者の特例届出にあてはまる人は、4月中に手続きに行く、それがポイントです。
なぜなら、年金額は翌月からしか改定されないからです。
4月に手続きしたら5月分の年金から増えることになります。
ぐずぐずしていると、それだけ、年金額の改定時期が遅れてしまいます。

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セミナーでお話ししたあと、「そんなこととはちっとも知らなかった」という感想をいただくことがよくあります。
「なぜ、そんなに悪くなったのですか」とも聞かれます。
でも、勝手に変わったのではなく、「国会」で決定されているのです。いったい何がどう決まったのか、わからなかったということですね。
しかし、それは、個人の責任だとも言えません。複雑すぎる制度にも問題があります。
ただし、制度は変更することもできるのです。みんなの声で。
そのためにも、今、何がどうなっているのか、しっかりみていきたいものです。

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