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知っておきたい年金のはなし    第69号 2005年2月1日発行

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まず、お知らせです。
厚生労働省は1月28日、2005年度の国民年金、厚生年金の年金額を2004年度と同額とすることを決めたと発表しました。この日、総務省が発表した2004年の全国消費者物価指数の変動率が前年比で0.0%と変わらなかったことを受けた措置です。

ところで、前回は、老齢基礎年金の繰下げについてお話ししましたが、いろいろとご意見ありがとうございました。
今年の4月からの改正について付け加えていませんでしたので、追加です。
前回登場した佳代さんのようなことが問題になったのでしょう。改正されます。
今年の4月からは、老齢基礎年金の繰下げを待っている間に遺族厚生年金の権利が発生して繰下げができなくなってしまうということは、解消されます。
遺族厚生年金の受給権が発生したときに、繰下げの申出があったとみなされるので、その時点から、遺族厚生年金と繰下げした老齢基礎年金をもらうことができるようになります。
ただし、今年の4月1日以降の話。すでに受給権の発生している人は、残念ながら、繰下げできません。だから、前回のメルマガの佳代さんも、救済されません。
また、繰下げできなくても、もともと65歳からもらえる年金を100%もらうのだから、損しないのでは?というご意見もいただきました。
「損」と書いたのは、年間にもらえる年金額が少なくなってしまうという意味です。
繰下げが損か得か、これも人の寿命しだいですね。
繰下げできても、すぐに死亡してしまえば、年金の受取総額でいければ、「得」とはいえませんが、これは、もう誰にも判断できないことですね。
今回は話題を変えて、雇用保険と老後の年金の関係です。

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第69号 雇用保険と老後の年金
★★★ 60歳で退職、両方もらえないの? ★★★
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真一さんは来月(2005年3月)60歳。長い間勤めた会社を定年退職します。
年金額も社会保険事務所で計算してもらいました。60歳からは2階の年金だけなので、130万円程度。62歳からは1階の年金ももらえるので、加給年金も合計すると、約250万円ほどの年金額になります。公的年金以外にも、自分で個人年金を用意してきたので、生活はしていけそうです。
パソコンが得意な真一さんは、「高齢者パソコン教室」をやりたいなあと思っています。だから、会社を退職します。会社には嘱託としての再雇用制度もあったのですが、希望しませんでした。
ところで、年金のことばかり気にしていた真一さん、長い間保険料を払ってきた雇用保険があることに気がつきました。
退職したら、雇用保険から給付金をもらえるのだろうかと思って問い合わせたところ、もらえるけれど、年金と両方はもらえないということがわかりました。
では、一体どうしたらいいのだろうと、真一さんは戸惑ってしまいました。

●雇用保険からの基本手当

一般的に「失業したらもらえる」と言われているものが、雇用保険からの基本手当です。
ただし、これは、退職したら必ずもらえるというものではありません。
今後働く気持ちのない人はもらえません。あくまでも、仕事を探していて、次の仕事が見つかるまでの間、もらうものなのです。

●働く気持ちのない場合は?

もらえませんとしか言えません。
もらいたい場合は、「働きたい気持ち」を見せることですね。

●基本手当をもらう条件

雇用保険に加入していた年数によって、何日分もらえるか決まります。
現在は、自己都合で退職した場合と、会社都合で退職した場合では、給付日数が異なりますが、定年退職の場合は、「自己都合」と同じ少ない方の日数です。

●ただし、給付制限はつきません

自己都合で退職した場合、基本手当はすぐにもらえず、3ヵ月の給付制限期間があります。しかし、定年退職の場合、それはありません。

●年金と両方もらえないの?

60歳になって年金ももらえるという場合、残念ながら、両方は同時にもらえません。
重なる期間はどちらかひとつです。

●もちろん、多い方を選びますよね?

年金額と雇用保険の金額とどちらが多いかですね。
もし、両方同じならどちらを選ぶか? 
このような場合、判断のポイントは、課税・非課税です。雇用保険からの給付は非課税なので、所得税がかかることはありませんが、年金は雑所得として課税対象です。

●基本手当の方が多い場合は?

ハローワークへ手続きに行きましょう。あきらかに年金の方が多い場合は、失業給付の手続きをしないことです。

●どちらが多いかわからないよ

まず、年金額をきちんと調べること。
それから雇用保険からの基本手当1日分がいくらになるかということですね。
基本手当の金額は、退職前に支払われた6ヶ月間の賃金(ボーナスは除く)に基いて計算されますので、よくわからない場合は、離職票を持って、ハローワークで確認しましょう。

●手続きはどうしたらいいの?

失業給付を受けたい場合は、ハローワークで手続きします。
基本手当が終了したら、支給停止になっていた年金は振り込まれるようになり、きちんと精算されますので、あとは自分で特に手続きすることはありません。
もちろん、年金の手続きはしておかないといけません。
失業給付が終わってから年金の手続きをしたほうが得だと思っている人もいますが、そんなことはありません。
年金は、支給開始年齢がきたら手続きしましょう。

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真一さんのような相談がつい最近ありました。
だいたい、定年退職の場合は、雇用保険からの基本手当が、年金よりも多くなることが多いのですが、誰もがみんなそうだとは限りません。
ご相談を受けた方は、年金は平均的な金額でしたが、退職前の1年間、給与が下がってしまったので、基本手当とどちらが多いか、判断に苦しむケースでした。
実際に離職票で確認しないと、計算できないようなケースでした。
真一さんの場合は、雇用保険からの給付と失業給付は両方同時にもらえませんが、これがまた、65歳前後では、話が異なりますので、65歳で退職を考えている人は注意してください。くわしくは、別の機会に話したいと思います。
定年退職する前には、雇用保険について、年金について、しっかり確認して、損をしないようにしておきたいですね。

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