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知っておきたい年金のはなし    第70号 2005年2月21日発行

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みなさん、お元気ですか。風邪を引いていませんか。
10日に1回の定期発行を目指し、お休みしたことのないメルマガですが、前回は、風邪のためにお休みしてしまいました。油断大敵でした。

今日は、まず、ご紹介したい本があります。
会社にいながら準備する「一人起業完全マニュアル」
鏡味義房さん著 明日香出版(監修者は、青木茂人さん、菅野美和子)
独立したいなあと思っている人におすすめです。また、すでに独立したばかりの人が読んでも興味深く読めます。
内容は、HPをごらんください。
http://www.h4.dion.ne.jp/~nova/hon-shoukai.htm
年金については、私が監修していますので、ぜひ、読んでくださいね。

さて、今回は、年金と雇用保険について、続きです。
前回の話を読んでいない人は、まず、ここをみてくださいね。
http://homepage2.nifty.com/miming2/magazin-top.html

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第70号 雇用保険と老後の年金 その2
★★★ 65歳になったらどうなる? ★★★
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64歳の月子さんは食品工場で働いています。
そこは高齢者の多い職場。同じ年代の女性が何人かいます。彼女たちはパートで働いているので、社会保険には加入していません。しかし、1週間に20時間以上は働くので、雇用保険には加入しています。
月子さんは、特別支給の老齢厚生年金(60歳台前半にもらえる老齢厚生年金)をもらっています。現在は、パートとしての給料と年金での生活です。同僚の中には、65歳からの老齢基礎年金しかない人も多く、すでに、年金をもらっている月子さんは、やはり、働いていてよかったなあと思います。
仕事の休みの日に、一足先に65歳になって退職した雪子さんと、同僚の花子さんと、3人で食事に行きました。そのときに、退職した雪子さんが怒っているのです。雪子さんも、月子さんと同じように、自分の老齢厚生年金をもらいながら、パートで働いてきました。
「65歳になる前に退職したらよかった。65歳になるまでは、雇用保険と年金は両方もらえないと人から聞いたので、それなら65歳まで勤めようと思って勤めたけれど、65歳になって辞めたら、雇用保険が減るなんて知らなかった」
月子さんも65歳になったら区切りがいいので、辞めようと思っていました。65歳になる前に辞めたほうがいいよと聞いて、その理由がよくわかりません。
その話を聞いていた花子さんも心配になってきました。実は、花子さんは夫に先立たれ、遺族年金をもらっています。現在63歳ですが、実は、仕事もきついので、あと少しで辞めようと思っていたのです。
年金と雇用保険はもらえないというけれど、遺族年金もらっている私はどうなるのだろうと心配になってきました。

●基本手当の日数

基本手当については前回のメルマガを読んでくださいね。
基本手当は、雇用保険に加入していた年数により、何日分もらえるかが決まります。

●自分の都合で退職したら?

20年以上雇用保険に加入していたとしますね。そうすれば、基本手当の日数は150日です。
これは年齢にかかわりなく同じですが、基本手当を受けられるのは、65歳未満で退職した場合。

●65歳以上で退職したら?

65歳以上で退職したら、雇用保険からの給付は、「高年齢求職者給付金」という名の一時金となります。同じように20年加入していても、たった50日分。とても少ないですね。
雪子さんはこの一時金をもらったのです。

●65歳の誕生日の前々日

65歳の誕生日の前々日で退職したら、基本手当、65歳の誕生日の前日に退職したら高年齢求職者給付金。 たった1日で給付日数がかわってしまうのです。

●年金はどうなるの?

「年金と雇用保険は両方もらえない」という表現の仕方は、厳密に言えば正しくありません。60歳台前半の老齢厚生年金と雇用保険からの基本手当は両方同時にもらえないという意味です。

●では、65歳すぎたらもらえるの?

そのとおりです。
たとえば64歳と11ヵ月で退職したとしますね。自分の都合で退職したら、基本手当の開始まで3ヵ月待たねばなりません。その3ヵ月を待っている間に、65歳になってしまいます。
すると、基本手当と年金が調整されることはなく、両方もらえることになります。

●65歳以降の退職ではもちろん関係ないですよ

65歳以降の退職で該当する高年齢求職者給付金は、もちろん、年金といっしょにもらえます。 ●月子さんはどうすればいい?

できるだけ長く働いて給料ももらって、雇用保険からの給付金も最大もらって、年金も減らされないというふうにしたいのなら、誕生日の前々日に退職すればいいのです。

●遺族年金をもらっている花子さんの場合は?

遺族厚生年金をもらっている花子さんは、心配する必要はありません。雇用保険と調整されるのは、老後の年金です。遺族年金や障害年金は対象になりません。
花子さんはいつ会社を辞めても、遺族厚生年金をもらいながら、なおかつ、雇用保険からの基本手当ももらえます。もちろん、65歳以上で退職すれば基本手当ではなく、一時金です。

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気をつけておきたいのは、退職理由です。
たとえば、就業規則で「定年は65歳の誕生日の前日」となっている場合、65歳の誕生日の前日で退職すると、雇用保険上も「定年退職」となりますが、前々日で退職すると「自己都合」となります。
この違いは何の違いかというと、3ヵ月の給付制限期間があるかないかです。
すぐに基本手当をもらうか、3ヵ月待ってからもらうかという違いで、日数には関係ありません。
こういうところも知っておく必要がありますね。
雪子さんは、65歳未満で退職すると雇用保険と年金は両方もらえないと思ってしまい、雇用保険で損をしたと言っています。
ただし、誤解のないように!
気をつけておきたいのは、雇用保険は損得でもらうものではなく、あくまでも、働く気持ちはあるけれど仕事がないのでもらうものだということをお忘れなく!
「働く気はまったくないのよ」ということなら、もらえないのがたてまえです。
しかし、どちらにしても、制度のしくみは正しく理解し、そして自分で決定することが大事ですね。

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