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知っておきたい年金のはなし    第71号 2005年2月21日発行

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年金のしくみは複雑すぎて、誤解している人がたくさんいます。
年金相談していると特にそう思います。一番多い誤解は支給開始年齢です。
60歳から2階の年金がもらえるということを知らないケースが多いです。
「ほんとにもらって損をしないのですか」
という質問になり、誤解を解くのに時間がかかるのです。
もっとわかりやすいしくみであるべきですね。
年金制度が改定され、4月から新たにスタートするしくみもあります。
そのひとつが第3号被保険者特例届出です。
今日は、問い合わせも多いので、「第3号被保険者特例届出」についてお話ししましょう。

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第71号 第3号被保険者の特例届出は4月から
★★★ 離婚していても大丈夫? ★★★
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66歳の朝子さんと64歳の夕子さんは、友達どうし。ふたりには、離婚という共通の体験があります。
66歳の朝子さんは、現在老齢基礎年金(65歳からの1階の年金)をもらっています。年金とパートの収入で生活しています。64歳の夕子さんには、以前勤めた期間があったので老齢厚生年金をもらっていますが、わずかな金額。65歳からは、国民年金に加入した分、年金が増えます。やはり年金とパートの収入で生活しています。
年金はあるといっても、ふたりとも満額の老齢基礎年金(1階の年金)にはほど遠い金額です。なぜそんなに年金額が少ないかというと、サラリーマンの妻としてのカラ期間が長かったのです。カラ期間は年金の権利にはつながりますが、年金額にはつながりません。
カラ期間があっても年金額は増えないということです。
さらにふたりには、第3号被保険者としての未届け期間があり、その期間が国民年金の滞納期間になっています。
ところが、今年の4月以降、届出忘れのサラリーマンの妻の期間が救済されると聞きました。
ふたりで話になったのは、その年金のこと。
「4月になったらすぐに手続きに行かないと損をすると聞いたけれど、どういうことかしら?」と朝子さん。
「手続きはできるの? 離婚した夫の年金手帳なんて持ってないけれど、離婚していても大丈夫なのかしら」と夕子さん。
「私も元夫の年金番号なんてわからないよ。どうして証明するのかしら」と朝子さん。
「私たちはどうなるの?」
朝子さんと夕子さんの昔の届出忘れ期間は、救済されるのでしょうか。

●第3号被保険者とは

「私はサラリーマンの妻です」と言っているだけではだめです。第3号被保険者として届出しないと、その期間は第3号被保険者にはなりません。
第3号被保険者は、サラリーマンに扶養されている妻(あるいは夫)であれば、国民年金の保険料を払わなくても払ったことにしてくれるお得なしくみです。(昭和61年4月以降)

●届出はどうするの?

現在、第3号被保険者の届出は夫の会社を通じて行います。
平成14年からは妻が第3号になる場合、夫の会社を通じて届出をするというふうになりましたが、それまでは、妻自身が自分で国民年金課に行って届出をする必要がありました。
健康保険証は夫の会社で手続きしますが、年金だけは別になっていたので、届出忘れということが起こっていました。

●届出忘れ期間を救済する

過去にも、届出忘れ期間を救済できる特例がありました。
しかし、その特例は終了しました。現在は、届出を忘れていた場合、さかのぼれるのは2年間です。2年以上前の期間は、「私はサラリーマンの妻よ!」と言っても、国民年金の滞納期間になってしまいます。

●救済制度がはじまる

そのような状況の中で、今年の4月から「特例届出」というしくみがスタートします。
簡単にいうと、「今度はちゃんと届けてね、過去の期間を全部保険料納付済にしてあげる!」というものです。

●期間限定ではありません

今回の特例は、期間限定ではありません。現在のところ、いつまでに手続きしないといけないよということはありません。

●じゃあ、あわてなくていいね

あわてなくていい人は、現在年金をもらっていない人。
朝子さんのようにすでに老齢基礎年金をもらっている人は、4月中に手続きにいきましょう。
なぜなら、年金は翌月分から改定されるからです。

●朝子さんの場合

朝子さんが、4月に手続きをすると、5月分から年金額が増えます。
5月に手続きすると、6月分から年金額が増えます。
過去にさかのぼって改定されないので、すでに年金を受け取っている人は4月中に手続きしましょう。遅れれば遅れるほど、損します。

●夕子さんの場合は

夕子さんはまだ年金をもらっていないので、4月中にあわてていく必要はありませんが、65歳になるまでに、早めに手続きしておきましょう。

●手続きはどこへ行くの?

もよりの社会保険事務所です。

●離婚していても大丈夫?

大丈夫です。当時はサラリーマンの妻だったけれど、すでに離婚してしまったという場合でも、特例に該当しないということはありません。

●元夫の年金手帳なんてあるわけないよ!

離婚したら、元夫の年金手帳を持ってないのが当たり前。なくても大丈夫です。
夫の勤め先などはわかっていますね。メモしておきましょう。

●書類は何を用意すればいいの?

戸籍謄本です。
元夫の氏名や婚姻期間を確認するために必要です。
当時の所得証明も必要ですが、何年も前で証明を取れない場合は、申立書を書くことになります。その他にも理由書を書くことになります。
認印や年金手帳はお忘れなく! 

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実は現段階で添付書類について詳しいことは示されていませんし、全国どこの社会保険事務所でも同じかと言うと、そうだとも言い切れませんので、あらかじめ、もよりの社会保険事務所で持っていく書類を確認してくださいね。
朝子さん、夕子さんの場合は老後の年金ですが、障害年金が関わっているケースがあります。
過去に障害年金を請求したときに、滞納期間があって障害年金をもらえなかったという場合です。その滞納期間がサラリーマンの妻の未届け期間であって、サラリーマンの妻としての期間が未届けでなかったら、障害年金をもらえたのにというケース。こういうケースで、未届け期間が救済されたら、障害年金をもらえるようになるのでしょうか。
このようなケースでは、残念ながらもらえるようになりません。障害の原因となった病気やケガの初診日が平成17年4月1日よりも前だと、過去の期間が救済されても、障害年金については、救済されません。

※ 以上の話は、夫と妻が逆の場合は、入れ替えて読んでください。

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