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知っておきたい年金のはなし    第73号 2005年3月21日発行

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ところで、突然の地震、怖かったです。
棚から本や書類が落ちるし、食器棚からグラスなどが落ちて割れて散乱するしで、ケガはしなかったものの、あと片付けが大変でした。揺れている間はどうなることかと思いました。
日頃から、地震への備えができていなかったので、見直したいと思いました。
何が起こるかわからない、だからこそ、備えが大切なのですね。
年金でも同じです。

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第73号 若年者納付猶予制度は4月からスタート
★★★ 国民年金保険料を払えない若い人たちのために ★★★
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26歳の真一さん、現在フリーターです。大学を卒業後いったん就職しましたが、会社とあわなくて退職。それから、正社員の仕事にはついていません。
ほんとに何をしたいのか、自分でもわからなく、とにかくいろいろな体験を積んでみようと、フリーターです。
しかし、生活は大変です。仕事のないときもあるので、一人暮らしが続けられなくなり、現在は親と同居しています。家賃分助かっていますが、余裕がありません。それに、いつまでも親には頼れないと思っています。
数ヶ月前、真一さんの友達が交通事故にあいました。彼には重い障害が残り、今は、親元へ帰って療養しています。
その友達がいうのには、国民年金の保険料を滞納していたので、このまま障害が残っても、障害年金はもらえないとのこと。障害年金をもらえないないなら、どうして生活していこうかと困っているということです。 その話を聞いて、真一さんは、考えてみなかった自分の年金のことを考えました。
そういえば、会社に勤めていたときは、厚生年金に加入していたけれど、そのあと、年金なんて関係ないと思って、何もしていませんでした。国民年金の保険料は高かったよなあ、フリーターの収入では払えないしなあ、とちょっと心配になってきました。
そんな真一さんのために今年の4月から始まる制度があります。

●国民年金の保険料、払えない人はどうするの?

国民年金の保険料は収入のない人でも、13,580円(2005年4月から)。収入がない場合や生活が苦しい場合は、免除というしくみがあります。
それぞれの条件によって、保険料が全額免除される「全額免除」と半額免除される「半額免除」があります。 ただし、免除の場合は、世帯の所得で判断します。

●家族に収入があれば?

真一さんのように親と同居の場合はちょっと困るのです。本人の収入が少なくても、免除できるかどうかは、同じ世帯の親の所得も関係します。
いつまでも親に年金の保険料まで面倒みてもらえないよといっても、本人だけの所得では考えてくれないのが今の免除制度です。

●免除が認められないと?

免除申請しても認められない、かといって、親に払ってもらうわけにもいかない、結局、滞納してしまうということにもなりますね。
真一さんだって自分の収入では保険料を払う余裕がないけれど、親に払ってほしいなんて、言えません。
無理しても払えないと、滞納してしまうことになります
そういうことを防ぐために、4月から若年者納付猶予制度がスタートします。
●若年者納付猶予制度とは?

30歳未満の場合、本人と配偶者の所得が一定額以下の場合、申請により、月々の保険料納付が猶予されるしくみです。
簡単にいうと、「今は払わなくていいよ、あとでお金ができたら払ってね」ということです。
真一さんはまだ結婚していませんので、真一さんだけの所得だけが関係します。
同居している親の所得は関係しません。
つまり、免除より、基準がよりゆるやかになるということです。

●免除期間は年金額につながる!

全額免除が認められると、その全額免除期間は、老齢基礎年金を計算するときに、3分の1だけは、年金につながります。3年間全額免除を受けると、3年間まったく保険料を払っていないのに、1年間だけは保険料を払ったものとして年金額を計算してくれます。
これは有利ですね。
半額免除の場合は、3分の2です。3年間国民年金の保険料を半額支払うと、2年分は保険料を全部払ったものとして計算してくれます。

●「納付猶予制度」では年金額につながらない!

しかし、若年者納付猶予制度では、その承認を受けた期間は、年金額にはつながりません。
10年以内なら保険料を納めることができるので、あとで保険料を払わないと、年金額にはつながりません。
つまり、あとで払わない限り、65歳以降にもらえる老齢基礎年金は増えないということです。

●では意味がないのでは?

いいえ、それは違います。納付猶予された期間は、国民年金の滞納期間となりません。
だから、真一さんの友達のように、障害の状態になったとき、「保険料を納めていないから年金はだめ!」ということを防げます。
また、年金をもらえるかどうかを判断する25年の期間には入ります。

●あとで払わないといけないの?

あとで払わなくてもいいのです。しかし、払わないとまったく年金につながりません。
20歳から30歳になるまで10年間特例を受けたとしましょう。それ以降60歳まで30年間保険料を払ったとしても、老齢基礎年金は4分の3になってしまいます。
あとで払うかどうかは、本人次第です。

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自分が病気やケガで重い障害の状態になるとは思っていませんね。しかし、そういうことだってありえます。 国民年金なんてあてにできないと思っている人も、このしくみを利用できるのであれば、手続きしておきましょう。これはまさかのときの保険なのです。
ただ、このしくみ、有利なようにみえて、ほんとに有利なしくみではないと、私は思います。免除制度は、あとで保険料を支払わなくても老齢基礎年金に3分の1だけつながるけれど、納付猶予制度では、老齢基礎年金には全くつながらないのですからね。
あとで払わないと、ほんとに少ない年金額になってしまいます。「お金をたくさん貯めるから大丈夫」という人は別ですが、お金がなくて、長生きすれば、生活に困ります。
生活保護を受けたらいいと言う人もいますが、生活保護もそう簡単に受けられるものではありません。
若年者納付猶予制度は、免除制度よりも後退している部分もありますが、利用できるものは利用して、損をしないようにということが大切です。
該当する人は手続きしてください。もちろん、自分で保険料を払える人は、払うにこしたことはありません。この制度は、2005年4月から始まりますが、10年間だけの時限措置です。

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