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知っておきたい年金のはなし    第74号 2005年4月1日発行

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今日から4月です。
すっかり春の陽射しになって、バイクに乗るのも楽になりました。
「いいかげん車にしたら?」といわれながらも、小回りのきくバイクが便利です。ただし、お天気しだい!
さて、年金制度では、いくつかの新たなしくみが今月からスタートします。
このメルマガでもお話ししましたが、第3号被保険者の特例届出もスタートします。
この特例届出ですが、社会保険庁ですでに把握している期間については、新たに届出の必要がありません。社会保険料で把握している期間というのは、過去に第3号の届出を出して、2年以上さかのぼれなかった期間です。
該当する方には4月下旬にお知らせが届き、自動的に変更されます。
お知らせが来たら、自動的に第3号になったのだということです。
お知らせが来なかったり、よくわからない場合は、自分で確認しましょう。すでに年金をもらっている人は、4月中に確認してください。
今度こそ、届出を出さないと、ほんとに損してしまいます。

それでは、今回は退職後の年金・雇用保険・健康保険の話をしましょう。3月末で退職したという方も多いので。

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第74号 一番お得な方法は?
★★★ 60歳以降会社を辞めるとき ★★★
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一郎さんは、61歳です。3月31日で会社を辞めました。ほんとはまだ働き続けることもできたのですが、一郎さんには、他にやりたいことがあったのです。妻はまだ現役で働いているので、自分のやりたいことをしようと、思い切って退職しました。
今まで何もかも会社におまかせでしたが、退職するにあたって、いろいろな手続きを自分でしなければなりません。
一郎さんはまだ年金の手続きもしていません。働いている間はもらえないだろうと思って、何もしていませんでした。
年金の手続きはどうしたらいいのだろう、健康保険はどうしたらいいのだろう、雇用保険ももらえるのだろうかと、考えはじめると、何ひとつわからないことに気がつきました。
一郎さんは、まず、何から始めればいいのでしょうか。

●年金の手続きにいきましょう

まず、最初は年金の手続きから。合計23年会社勤めをしていた一郎さん。年金をもらう権利があることにはまちがいないので、年金手帳(妻の分も)、戸籍謄本、住民票、妻の所得証明をもって、年金の手続きにいきましょう。そのとき、大切なのは、年金額を確認してくること。

●年金額はいくら?

一郎さんは60歳から2階の年金(報酬比例部分)をもらい、62歳から1階の年金(定額部分)をもらえる人です。
年金額を調べてもらいました。60歳からもらえる2階の年金は80万円でした。ずっと会社員だった友達と比べると少ないなあと思いました。国民年金の期間があったからですね。

●会社から離職票をもらう!

離職証明書には、原則として過去6ヵ月分の賃金が書いてあります。これをもとにして、失業給付の基本手当額が計算されます。つまり、1日いくらもらえるのかがわかります。
計算式は複雑なので、わかっている人に教えてもらうか、ハローワークで聞くなどして、確認してくださいね。ここでは省略します。

●どちらが多い?

一郎さんの場合は、給料は1ヵ月約18万円でした。これでは、あきらかに失業給付のほうが多いです。
ただし、失業給付は、あくまでも働く気持ちのある人が対象ですよ。
一郎さんに働く気持ちがあるとすれば、ハローワークへ手続きにいきましょう。
年金のほうがあきらかに多くて、年金をもらったほうが得という場合は、ハローワークに行かないことです。

●一郎さん、基金に加入していた期間はありませんか

一郎さんが最後に勤めていた会社には厚生年金基金はありませんでしたが、以前勤めていた会社で、基金に加入していなかったでしょうか。
これはよく忘れがちなこと。
基金に加入したことのある人は、基金への手続きも必要です。

●基金からの年金がある場合

厚生年金基金は、各基金によって規約が異なります。基金によっては、雇用保険からの失業給付をもらっていても、年金をもらえることもあります。だから、必ず、加入していた基金に確認した上で、基金からの年金も含めて考えてくださいね。

●基金に加入していたかどうか、わからないよ

その場合は、社会保険事務所で調べることができます。
基金加入期間は記録されています。

●健康保険はどうする?

一郎さんには3つの方法があります。
1、これまでの社会保険を任意継続する
2、国民健康保険に加入する
3、妻の扶養家族になる
どれがいいのでしょうか?

●妻の扶養家族になるのには

妻の扶養になると保険料を払わなくてすむのですが、扶養になるのには、条件があります。その条件のひとつは、60歳以上の場合は、収入180万円未満ということです。
一郎さんの場合、年金が80万円なので、年金だけしか収入がないなら、扶養に入れます。
年金ではなくて、雇用保険の失業給付をもらう場合はどうでしょう。
基本手当(1日分)が5000円未満であれば、扶養に入れます。
(60歳未満は3612円未満。異なりますので注意してください)

●扶養に入れない場合は?

任意継続か国民健康保険か、保険料で比べればいいでしょう。ただし、国民健康保険は前年の所得で金額がかわります。
2005年の国民健康保険料が確定されるのは、6月です。
だから、4月の段階で正確な金額はわかりません。
昨年並みの所得であるとしたらということで計算してもらえます。

●任意継続する場合

大切なことは、一郎さんの場合は4月20日までに保険料を持って社会保険事務所に手続きにいくことと、毎月、10日までに保険料を納付することです。
うっかり忘れたら、そこで任意継続はおしまいです。
また、任意継続意できるのは2年間です。

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一郎さんの場合は、まず年金の手続きにいき、それから雇用保険の基本手当の金額を調べ、扶養の範囲に入るなら、妻の扶養に入ることですね。
それが一番手出しは少なくてすむでしょう。
一郎さんは、60歳から年金をもらえる人です。働いているといっても、給料が少なかったので、在職老齢年金としてもらえる年金がありました。
今まで当然もらえるはずだった年金は、まとめて振り込まれます。
それを聞いて一郎さんはなんだか得したような気分になりました。でも、ほんとは何も得してはいません。
当然もらえるものをあとでもらうだけなのです。それには、利息も割増しもつきません。
金利分、損したと言えますね。(無いに等しい金利ではありますが)
60歳以降退職する場合は、年金・健康保険・雇用保険をいっしょに考えましょう。

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