★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第76号 2005年4月21日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 雇用保険料が4月から上がりました。また負担が増えるのです。 介護保険料は3月から上がったし、「健康保険や厚生年金の保険料は高い!」と感じます。 社会保険(健康保険・厚生年金)は高いから加入しないという会社もあります。 しかし、株式会社や有限会社と名のつくところは、たとえどんなに不満があろうとも、社会保険には入らないといけません。社長ひとりの会社であったとしてもです。 でも入っていないところがあるのも現実。 今年からそういった「会社」に対してはきびしくなります。強制的に加入になることも。 しかしながら、私たちもお金を払って加入するのですから、しっかりしくみを知って損しないようにしたいものですね。 複雑すぎる年金のしくみも問題ですが、年金に関しては、勘違いで損をしている人、損をしそうになった人って、意外に多いのですよ。 …………………………………………………………………………………………… 第76号 老齢厚生年金によくある勘違い ★★★ 待てば増える? ★★★ …………………………………………………………………………………………… 63歳の春夫さんと秋男さんは同級生。ときどき、いっしょに飲みにいきます。 ふたりとも、会社の社長です。 ただ、違うところは、春夫さんはそろそろ引退を考えて、実際には息子が中心になって会社の仕事をしています。 自分の報酬も少なくしています。現在は、25万円。妻も役員報酬として20万円受け取っているので、生活はやっていけます。 ところが秋男さんは、違います。70歳までは現役で仕事をするつもり。役員報酬は80万円です。 今夜もいっしょに飲んでいて、年金の話になりました。 ふたりともまだ年金の手続きはしていません。 「70歳まで待てば年金は増えるよ。70歳までは仕事をして、それから増えた年金をもらうよ」と秋男さん。 「うちの女房が早く手続きに行けと言うけれど」と春夫さん。 「会社をやっている間は、年金はもらえないし、早くもらえば、年金は少ないよ」 と秋男さん。 ちょっと待って、秋男さん。それは違いますよ。春夫さんにはあてはまらないかもしれませんよ。 ●60歳以降も会社で働いている場合 在職老齢年金は「給料があるから、年金は少なくてもいいよね」というしくみです。 60歳以降も会社に勤めていて、厚生年金に加入しながら老齢厚生年金をもらっている人は、年金が減額されるしくみです。 ●どのくらい減るの? 2005年3月まではどんなに給料が少なくても、年金は必ず2割がカットされていました。(60歳〜65歳未満) でもそれでは、働く意欲がわきませんね。 そこで、一律2割カットは4月から廃止になりました。給料や年金の少ない人は「全部年金あげるから、がんばって働いてね!」ということです。 ●4月からどうなったの? 簡単にいうと、給料と年金(月額)の合計が28万円を超えると、超えた金額の2分の1だけ、年金を減らすというしくみです。 ただし、気をつけてくださいね。「給料」と言っていますが、正確には「総報酬月額相当額」といって、ボーナスも12等分してプラスされたものが基準となります。また、年金月額は「加給年金」を除きますので、単純にもらえるはずの年金総額を12で割ったものではありません。 ●具体的には? 年金月額が10万円。給料が20万円だとします。ボーナスはないことにします。あわせて30万円。 28万円を2万円超えているので、その半分、1万円が減額されます。 つまり、ほんとは10万円もらえる年金が9万円になるということです。 このような考え方です。(65歳未満の場合) ●秋男さんは? 毎月の役員報酬が80万円。 この場合は、年金は全額支給停止。もらえません。 ●では、手続きしてもしなくても同じ? 結果としてはそうなります。手続きしなければ当然もらえないし、手続きしても全額支給停止、年金はゼロです。 ●春夫さんは? 役員報酬が25万円。春夫さんの年金額が仮に20万円だとすると、全額支給停止にはなりません。20万円全部の年金はもらえないけれど、減額された年金はもらえます。 ●すぐに手続きしましょう 春夫さんは年金をもらえるのです。すぐに手続きしましょう。 今はまだ必要ないからと言って待っていても、増えません。 60歳から65歳になるまで、当然もらえる年金はもらっていいのです。 ●手続きしなかったら? 65歳をすぎても手続きしなかったらどうなるか? 年金は5年前にしかさかのぼれません。 60歳から当然もらえる年金があったとしましょう。 たとえば66歳になって手続きしたら、さかのぼれるのは61歳時点まで。それ以前にもらえたはずの年金は、どんなにお願いしてももらえません。1年分損をすることになってしまいます。 ●繰下げする場合 老齢基礎年金を繰下げて、年金を増やすこともできます。 しかし、その場合でも、65歳になるまでの間は、当然もらえる年金は受け取っていいのです。 65歳になるまでに当然もらえるはずの年金をもらって、何も損をすることはありません。 ●秋男さんも手続きを そのままにしておかないで、早めに手続きをしておきましょう。今はもらえないのですが、もし、仕事を辞めたり、報酬をもっと少なくした場合は、ストップしていた年金が支給されます。 一度手続きしておけば、あとは自動的に計算されるので、条件が変わったら、年金が振り込まれるようになります。 老齢基礎年金の繰下げを希望する場合でも、手続きはしておきましょう。 …………………………………………………………………………………………… これもよくある勘違いなのです。 働いていたら年金もらえないよ、社長なら年金もらえないよ、ということではありません。 報酬と年金額でそれそれ違ってくるのです。 もらえるのに手続きしていない人もおられます。 65歳までにそのことに気がつくといいですよ。 しかし、65歳をすぎてから気がついても、取り返しのつかないことになります。 「私の年金」はお隣りの人とは違うのです。 「自分の年金はどうなるの?」と、しっかり確認してください。 …………………………………………………………………………………………… ■□■ おすすめコーナー ■□■ ● 福岡高齢期就業支援センター「職業生活設計セミナー」のご案内(無料) 5月12日 高齢期のくらしを考える「退職後の社会保険」 5月12日 高齢期の社会生活を考える「シルバー人材センターの仕組み」 5月21日 高齢期の家計を考える「退職後の生活設計」(ライフプラン) 5月21日 再就職のための能力開発。キャリア形成 5月30日 年金なんでも個別相談会 21日のライフプランセミナーと個別相談を、菅野美和子が担当します |