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知っておきたい年金のはなし    第77号 2005年5月1日発行

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今回は、前回に引き続き、60歳以降も仕事を続けている場合の年金についてお話します。
たった1日違いでも、こんなに差があるのです!

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第77号 在職老齢年金
★★★ 退職は月末? それとも? ★★★
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春夫さんと秋男さん、数ヵ月後、また会う機会がありました。
ところが、今回は、秋男さんは退院直後で元気がありません。70歳までは現役で働くといっていた秋男さん、健康診断で病気がみつかり、入院治療をしていたのです。
すっかり弱気になってしまい、代表取締役は息子に引き継がせることにしたといいます。
役員報酬もそれにしたがって、下げることにしました。
役員報酬が下がったら年金をもらえるよと聞いて、それなら、身体のこともあるし、無理しないで、しばらくは息子の補佐をしようと思いました。
なんといっても、長年のキャリアがあるので、完全に引退はできません。
すっかり、弱気になってしまった秋男さん、年金はどうなるのでしょうか。

●報酬が下がれば

在職老齢年金は、年金月額と給料(報酬)によって計算されるしくみです。
80万円の役員報酬であった秋男さんは、全額支給停止で、年金をもらえませんでしたが、この報酬が下がれば、計算し直されます。

●来月からもらえるの?

たとえば、4月分(実際の支払い月は5月)から役員報酬を下げたとしますね。
でも、下がったからといって、すぐに年金がもらえるようになるのではありません。

●月額変更届を出す

誰でもそうですが、給料が上がったり下がったりした場合、4ヶ月目に「月額変更届」を社会保険事務所に出します。
つまり、上がったり下がったりしても、その都度、保険料や在職老齢年金の計算の基準となる「標準報酬月額」は変更になりません。
3ヵ月続いてその状態が続くならということなのです。(ただし、標準報酬月額において、2等級の差が出る場合)

●4ヶ月目から

5、6、7月の3ヵ月待って、8月に届出を出します。
そうすると、8月分の標準報酬月額がかわり、それ以降、在職老齢年金も変更になるのです。8月分だから、実際に振込みになるのは、10月15日。
ずい分待つことになるのですね
●役員の降給

秋男さんのように、代表取締役の報酬を下げる場合は、取締役会の議事録が必要ですよ。
なんの証拠もなく、報酬を下げだということでは認められません。
月額変更届を出すときに、取締役会の議事録も持っていってくださいね。

●もし、退職したら?

退職する、つまり厚生年金に加入しなくなったらどうでしょうか。
退職後、1ヵ月を経過すれば、在職老齢年年金の見直しがあります。
秋男さんがかりに、4月30日(月末)で引退し、厚生年金の資格を喪失したら、資格喪失日は5月1日になるので、1ヵ月後、つまり、6月分の年金からもらえることになります。

●退職日によって異なる

もし、4月29日に退職したら? 
その1ヵ月後なので、5月分の年金から振り込まれるようになります。

●たった1日で1月分違う!

では、在職老齢年金に関係する人は、月末退職でないほうがお得なの?というと、他のことも考えてみてください。
退職後の健康保険をどうするか。
任意継続といって、これまでの健康保険を続ける場合、4月29日退職なら、4月はたった1日しかないけれど、4月分の保険料を自分で全額払うことになります。

●妻が60歳未満で第3号である人は

その場合も、妻の国民年金保険料は4月分も支払うことになります。

●思い通りにはいかないけれど

会社の規定などもあるので、退職日を都合よく自分のも意どおりにはできませんが、たった1日の違いでも、差が出てくるのです。いろいろなことをよく考えて検討できるのなら、してみましょう。

●雇用保険に加入している人は注意して

秋男さんは会社の役員なので、雇用保険には加入できない人ですが、雇用保険に関係ある人は注意してください。
自分の都合で退職すると3ヵ月の給付制限があり、定年退職の場合は、給付制限はなく、すぐにもらえるようになります。

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秋男さんのような会社の役員のケースで、報酬を下げて3ヵ月後、月額変更届を出した翌月以降に、退職したほうが、健康保険を任意継続するときに、個人負担する保険料が安くなるのではないかという相談もあります。
確かに、退職時の標準報酬で、任意継続の保険料が決まるので、少ないほうが、自分の負担も少なくなります。
しかし、これもお得だとは言えません。
病気になって働けない状態のときにもらえる健康保険からの傷病手当金は、標準報酬が少ないと金額も少なくなるので、もし、病気になったときに、これはしまった!ということにもなりかねません。
得になるか損になるか、結果としてわかることもあるのです。
しっかりしくみを知って選択することが大切ですね。