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知っておきたい年金のはなし    第78号 2005年5月11日発行

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「知っておきたい年金のはなし」は、もちろん、これからも続けます。

今日は、年度末のボーナスをもらってうれしかったけれど、ちょっと複雑な気持ちになった 直樹さんのお話しです。

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第78号 ボーナスからも保険料
★★★ いったいどちらが得だったのか? ★★★
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直樹さんの会社では、年度末決算で黒字になって、年度末のボーナスが出ることになりました。
ほっとした直樹さん。
だって、今年度は会社の経営が厳しかったので、社員全員、基本給をカットされていたのです。
もともと多くない給料、直樹さんがカットされたのは1万円ですが、家族のいる直樹さんには 大変なことでした。そして困ったことに、給料が減ったのに、引かれる保険料は同じだった のです。
「給料が減ったのに、なぜ、健康保険や厚生年金の保険料は下がらないのか?」
と直樹さんは不思議に思っていました。
そして年度末、決算で黒字になったので、ボーナスが支給されることになりました。
ボーナスの金額ですが、これまでカットされた金額は、最低保障されることになりました。
「よかったなあ」と直樹さんは思いましたが、ボーナスの明細をみると、しっかり保険料が 引かれています。
「基本給が下がっても保険料は減らなかったのに、なぜ、ボーナスでこんなに引かれている のだろう? ほんとは損をしているのでは?」と直樹さんは思いました。
どうなのでしょう?

●基本給が下がっても

基本給が下がっても、すぐに健康保険や厚生年金の保険料も下げるわけではありません。
2等級以上の差が3ヵ月続くことが条件です。
また、下がり方が少なくて、2等級以上の差にならない場合は、保険料も変わりません。

●直樹さんの場合は?

確かに基本給が1万円下がりましたが、それでは2等級以上の差にならなかったのです。
結果として保険料の変更はありません。次回は毎年7月に行われる保険料の見直しで翌年 9月以降の保険料が決定されます。それまではこのままです。

●給料が減ったのに保険料はそのままなんて、損をしているみたいだね

手取りを考えると、そんな感じがします。
しかし、年金は、保険料に見合った分、将来の年金が計算されるので、保険料が多いから 損だとはいえません。その分、年金にはつながります。少ない保険料であれば、年金も 少なくなります。

●ボーナスからの保険料は?

これも毎月と同じ料率で引かれます。ボーナスが多い人には上限がありますが、直樹さんの 会社ではそんな人はいないので、みんな、支給された金額に応じて、保険料を引かれています。

●もし、基本給の引下げがなく、ボーナスがなかったら?

直樹さんがカットされた基本給は1万円。これが半年だったとします。半年で6万円ですね。
この6万円分は、毎月カットされずにもらっていても、毎月の保険料は同じです。
あとでまとめてボーナスとしてもらったので、この6万円分に対しても保険料がかかります。

●保険料をたくさん払うことになったの?

そうです。保険料のことだけを考えるとそうなります。カットせず支給していた場合と、 カットしてあとでボーナスとして支給した場合を比べると、基本給のカットは保険料の 節約にはならず、結局、本人も会社も支払う保険料が増えたということになります。

●ただし、年金は増える!

健康保険については、ボーナスで払った保険料については何もお得になりませんが、 厚生年金は将来の年金につながります。
出て行くお金ということだけで考えると損をしているようですが、入ってくるお金で考えると、プラスにはなっています。
どれほど増えるかは問題ですけれどね。

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直樹さんは「ボーナスが入ってよかったなあ」と思いましたが、保険料では、単純によかった ということにはなっていなかったのです。
直樹さんの会社も、負担してなくいい会社負担の保険料を払ったことになります。
しかし、だからといって、基本給をカットしないほうがよかったということは言えません。
基本給カットということで社員が危機意識をもち、結果として黒字を出すことができたと 考えることもできますね。
賃金の引下げなど、ないほうがいいのはあたりまえですが、そのまま何もしなければ、 赤字で終わっていたかもしれません。
確かに保険料のことだけを考えると「余分な保険料を払った」ことになるでしょうが、 それだけで悪かったとは言えないと思います。