★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 知っておきたい年金のはなし 第85号 2005年7月21日発行 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★ 暑い毎日が続きますね。 7月は、今年の9月以降の社会保険料(健康保険・厚生年金の保険料)を決定する「算定基礎届」を出す月です。 保険料は全国どこでも同じしくみであるはずですが、実際には、いろいろと問題があるのですよ。 …………………………………………………………………………………………… 第85号 保険者決定の不思議! ★★★ 今年の保険料はいくら? ★★★ …………………………………………………………………………………………… 友子さんは子どもを保育園に預け、パートで働いています。 子どもが病気がちで思うように働けません。しかし、会社はそんな友子さんを応援してくれて、子どもが病気のときは、早帰りも認めてくれるし、保育園の実情にあわせて、ローテーション休日を組んでくれます。 「子どもはすぐに大きくなるから、なんとかなるよ」と上司は配慮してくれます。 しかし、今年になってからは、子どもの病院通いが続いて、月に20日も働けません。時給なので、給料も少なくなります。それはしかたないとしても、昨年の高い給料で社会保険料が計算されるので、ちょっと大変です。 今年の9月からの保険料は、4、5、6月を基準に見直しするということですので、今年は下がるだろうと友子さんは思っていますが、さて、保険料はどのように決定されるのでしょうか。 ●4、5、6月 この3ヵ月に支払われた給料の平均で、9月からの1年間の保険料の基礎となる標準報酬月額が決定されます。これを「定時決定」といいます。 この間の残業などが多ければ保険料も高くなるしくみです。もちろん、これ以外にも、基本給に変動があった場合は見直すしくみもあります。 (詳しい話は省略します。別の機会に!) ●20日以上の月で計算 この3ヵ月の平均を計算するときに、1ヵ月20日以上働いた月を対象にします。 月給の人は、30日の月なら30日となりますが、時給や日給などで働いている場合は、実際に働いた日数が20日以上ある月を対象とします。日数が少ない月を計算にいれると、実態にあわないだろうということでしょう。 もし、3ヵ月のうち1ヵ月だけ20日未満の月があれば、その月をのぞいて、あとの2ヵ月で平均を取ります。 ●パートで20日未満の人はどうなるの? 友子さんのように、パートで働いている人は、1ヵ月に働く日数も変動しますね。 20日に満たないこともあります。友子さんは3ヵ月とも20日未満でした。 3ヵ月とも20日未満の場合はどうなるのでしょうか。 実は、3ヵ月とも20日未満の場合は、「こんなふうに計算しなさい」という社会保険庁からの「通達」はありません。 実際には、各社会保険事務所で取り扱いが異なります。働いた日数が15日以上の月をもって平均を計算している場合もありますが、そうしていないこともあります。 ●友子さんの保険料ははどうなるの? A社会保険事務所では、15日以上の月で平均をとって決定。 B社会保険事務所では、原則は前の保険料のまま。1年間の賃金台帳を持ってきた場合には、1年間の実情をみて、基本的には20日以上ある月の平均をとって計算。 決まった基準がないので、バラバラです。 友子さんの保険料も社会保険事務所によって違いが出てきます。 ●パートも社会保険に加入するのでしょ? そうです。一定の条件を満たした場合は、パートタイマーという働き方であっても社会保険に加入します。社会保険に加入する条件は満たしている、しかし働く日数が20日未満になることもあるという、友子さんのようなケースも起こります。 20日未満の月を計算に入れないとなると、実態にあわないのではないでしょうか? ●保険料が少ない方がいいとは限らないけれど・・・ 年金は保険料をたくさん払っている方が、増えるしくみになっています。 (正確には、標準報酬月額が高いほど年金も増えるというしくみです) だから、保険料が少ない方がいいとは言えませんけれど・・・ しかし、給料が少なくなっているのに、いつまでも高いままの保険料というのは、今の友子さんにとっては大変です。 …………………………………………………………………………………………… 厚生年金は、全国共通のしくみです。 年金額の計算方法も誰でも共通。保険料の決定も共通のはずです。 しかし、実際には、この友子さんの例のように、「保険者決定」といって、各社会保険事務所で取り扱いが異なるケースもあります。 最近はパートタイマーの社会保険加入についても、チェックが厳しくなっています。社会保険に加入しても、月に20日も働かないことは当然あります。 パートタイマーの加入を厳しくチェックするのなら、どうして、保険料の決定も同じ基準にできないのでしょうか。 反対に、同じ基準にしないと、おかしいのではないかと思います。 社会保険庁に質問してみました。 各社会保険事務所で取り扱いが違っていても、それは「通達」を出していないから、しかたのないことだという返事です。 将来の年金額につながる保険料のことなのに、各社会保険事務所で取り扱いが異なるのは変ですね。そして、こんなことはおかしいとわかっているのに、そのままにしている社会保険庁に疑問を感じます。来年からは、17日以上の月で決定するように変更となりますが、それにしても、今年の矛盾についてはそのままです。 …………………………………………………………………………………………… 女性に贈るみわ子さんの年金絵本 「年金、もっと知りたいな。」 全国の書店で好評発売中! ネット書店も便利です。送料無料で利用できるものもありますので、ご利用ください。 詳しくはこちらから → http://homepage2.nifty.com/miming2 …………………………………………………………………………………………… ●発行元:すがのみわこコンサルティングオフィス ○発行人:菅野 美和子 ■WEB:「女性のための年金相談室」 http://homepage2.nifty.com/miming2 □メール: miwa-ss@nifty.com |