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知っておきたい年金のはなし    第89号 2005年9月1日発行

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暑い暑いといいながらも、吹く風に秋を感じます。
最近、ラグビーチームの方とお話する機会があったのですが、全国に高齢者のクラブがあるそうです。全国大会や地方大会があり、試合は年代別。なんと、90歳代でもクラブに登録している人がいて、80歳代でゲームを楽しんでおられるそうです。
ラグビーを全く知らない私ですが、60歳代、70歳代の方も活躍しているとお聞きして、びっくりしました。
いつまでも元気にスポーツできるということは、すてきなことだと思いますが、楽しく過ごしていくためには、お金という支えが必要ですね。
やはり、年金が大切です。
ぎりぎりの生活ではなく、楽しく過ごしたいですね。もうたくさん働いてきたのですから!

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第89号 免除を受けた期間
★★★ 払ったほうがいいの? このままでいいの? ★★★
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美保さんは、来年の8月に60歳になります。
現在、一人暮らしです。会社員ですが、ボーナスは少なくなってしまい、給料も上がらず、ゆとりのない生活です。一人暮らしの老後に備えて、できるだけお金も貯めておきたいので、簡単家計簿をつけて、支出をコントロールしています。
美保さんは51歳のときに今の会社に勤めました。それまでは専業主婦でしたが、離婚したのです。離婚してしばらく、いい仕事がみつからなかったので、その間は国民年金の第1号被保険者でした。
当時は収入もなかったので、免除を受けました。ちょうど1年間です。それから今の会社に就職が決まり厚生年金に加入しました。
さて、美保さんは考えました。免除を受けた1年は、そのままにしておいていいのでしょうか。

●保険料は全額免除

現在の免除制度には、全額免除と半額免除の2種類がありますが、美保さんが免除を受けた当時は、今でいう全額免除のみでした。保険料は全額、免除されました。

●老後の年金はどうなるの?

免除を受けた期間の3分の1は、保険料を支払ったものとして、年金額の計算に入ります。
1年の免除期間は、その3分の1、つまり4ヶ月は保険料を支払ったものとして、老齢基礎年金を計算してくれます。

●なぜ、3分の1なの?

国庫負担が3分の1だからです。国が3分の1はめんどうをみることになっているので、年金額もその分保証されるということです。

●それでは、老齢基礎年金は満額にならない?

そのとおり。65歳からの1階の年金(老齢基礎年金)が満額(現在は794500円)になるのは480月(40年)保険料を支払った場合です。免除期間があると、その期間は3分の1で計算されるので老齢基礎年金は満額にはなりません。

●満額にしたいときは?

免除期間を追納します。追納とは、免除などを受けた期間、あとで保険料を納めることができるしくみです。
しかし、いつ支払ってもいいということではありません。免除を受けたときから10年です。
10年1ヵ月を経過すると保険料を支払おうと思っても、支払うことができないのです。

●滞納期間の場合は2年

滞納した保険料を支払うことができるのは、2年です。2年1ヵ月を経過すると、支払うことはできません。追納のしくみとは異なりますので、注意してください。

●なぜ、期限があるの?

追納にしても、滞納期間の保険料を支払うにしても、期限がないと、いつまでたっても支払わない人が出てきて、年金制度が成立たないからでしょう。
どんなに昔の未納期間でも保険料を支払うことができるのなら、国会議員の未納問題は起こりませんでした。彼らはお金がないから支払えないわけではないので、ばれるまえに支払ってしまえばいいということになります。
それができなかったのは、保険料を支払うのにも、期限があるからです。これを時効といいます。

●追納するときの保険料は?

当時の金額ではありません。割増しがつきます。この割増しがけっこう高い!
美保さんが当時の保険料を納めるとしたら、16260円です。
(美保さんが50歳の時は、平成8年。平成8年度の保険料12300円を平成17年度中に納付する場合の金額です。年度が違えば、また異なります)

●満額にするために、他に方法はないの?

あります。追納ではなく、60歳以降に足りない期間分を任意加入するという方法です。
美保さん、満額まで8ヵ月不足していたとしますね。その場合は、60歳になって8ヵ月任意加入すると、満額になります。
満額にするために、追納の場合は、16260円×1年分。
任意加入の場合は13580円×8ヵ月。(美保さんが60歳になる来年は、また280円上がる予定ですが)
どちらにしても、もらえる年金額は同じです。

●どちらが得か?

これは一目瞭然ですね。

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免除の期間については、追納するよりも、不足分を任意加入するほうが得になると言えそうです。もちろん、追納金額や、これからの年金制度によっては、絶対にそうだとは言えませんが、美保さんのようなケースではそうなります。
「私はどうなるの?」と個別に確かめて、選択しましょう。「知らなかった」では、損してしまいます。

参考のために
・追加加算(割増し)は、平成12年度までの期間に対しては年5.5%、平成13年度〜16年度までの期間に対しては年4.0%、平成17年度は年1.5%の利率で計算されます。
・例をあげると、平成18年3月分(平成17年度)を平成20年4月(平成20年度)までに支払う場合、加算金はありません。平成20年5月以降支払う場合は、加算金が生じます。
(毎月の保険料の支払い期限は、翌月末日となっています)

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