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知っておきたい年金のはなし    第90号 2005年9月11日発行

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年金の請求手続きを「裁定請求」といいます。
「一人起業完全マニュアル」の著者の鏡味義房さんは、「裁定請求」という言葉は「お代官様の裁きを受けるようだ」とおっしゃっていましたが、ほんとにそんな感じです。
年金を支給するか、支給しないか、「国が決定するぞ!」という雰囲気です。
年金の手続きは、自分で社会保険事務所へ出向いていかないとできないしくみですが、10月から、該当者に裁定請求書を送るというサービスが始まります。
しかもその裁定請求書には、過去の加入歴などが印字されています。それを社会保険事務所へ持って行けば、簡単にすむということです。
書類が送られてくるということは、支給開始年齢の勘違いなどを防げると思いますが、記載されている内容はしっかり確認する必要があります。書いてあることがすべて正確だとは限りません。
加入期間が抜けていたりすると、年金のもらい忘れになってしまいますからね。

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第90号 退職後の年金加入
★★★ 第3号になれる? なれない? ★★★
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55歳の真知子さんは、更年期のせいか、最近、体調が悪くて困っています。そこへもって、職場の人間関係でもめごとがあったので、退職することにしました。
退職したあとは、少し休養し、その間に、ホームヘルパー養成講座を受けたいと思っています。講座が終わったら、次の仕事を探すつもりです。
夫はサラリーマンで、夫の収入だけでも生活していけるので、あせらなくても大丈夫です。
退職にあたって気になるのは、退職後の健康保険や年金。
夫が会社員なので、夫の扶養になるのがいいだろうとは真知子さんは思いますが、さて、どうでしょうか。

●退職後の年金は?

会社員であるときは、第2号被保険者として厚生年金加入です。保険料はいやおうなく、給料から天引きされます。今月は苦しいからちょっと待ってほしいと思っても、それは無理。
真知子さんには会社員の夫がいるので、退職後は、第1号被保険者か、第3号被保険者か、どちらかになります。国民年金加入は60歳まで強制加入なので、55歳の真知子さんには「入らない」という選択はありません。

●第1号被保険者と第3号被保険者の違い

第3号被保険者になれば自分で国民年金の保険料を負担する必要はありません。夫が負担するわけでもありません。
第1号被保険者になれば、毎月、13580円の保険料を払わなければなりません。

●第3号被保険者になれるのなら、第3号がいいね!

保険料のことを考えればそうです。
しかし、真知子さんは、会社に勤めている間、雇用保険に加入してきました。
失業中は雇用保険からの失業給付の対象となります。基本手当がもらえます。
真知子さんは雇用保険への加入期間が5年で、自己都合退職なので、基本手当をもらえる期間は、90日間です。
問題は1日分の金額です。真知子さんの場合、基本手当が3612円以上であれば、第3号被保険者にはなれません。
(60歳以上の場合、障害者の場合は異なりますのでご注意ください。以下同様です)

●どうしてなれないの?

3612円に360日(社会保険では1年を360日として計算します)を掛けると、130万円を超えます。収入の見込みが130万円(60歳以上の場合、障害者の場合は180万円、以下同様)以上になるときは、第3号被保険者にはなれません。
3611円なら130万円未満になるので、大丈夫です。

●でも雇用保険からは90日しかもらえないよ

雇用保険から基本手当を90日しかもらえない人でも、90日で計算しません。

●それはおかしい!

確かにおかしいですが、こういう決まりになっています。
基本手当3612円以上になる場合は、基本手当をもらっている期間は、第3号被保険者になれません。もらい終われば第3号になれます。

●差し引きすると失業給付をもらったほうがプラス

第3号被保険者になれない期間、国民年金の保険料を払っても、結果はプラスになります。
もちろん、年金だけではなく、健康保険料も計算に入れないといけません。国民健康保険か、任意継続か、どちらにしても、保険料はかかります。

●給付制限期間中は?

自己都合でやめた場合は、基本手当がスタートするまでに、3ヵ月の給付制限があります。
その3ヵ月の間は、収入がありませんね。実は、この間は、第3号被保険者になれるのです。
そして、3ヵ月たち、基本手当がスタートしたら、また第3号被保険者からはずれます。
出たり入ったり、めんどうですが、こういうこともできるのです。
ただし、健康保険を合わせて考えなければならないので、注意が必要です。政府管掌の健康保険ならいいのですが、健康保険組合の場合は、それぞれの組合で確認してください。

●真知子さんはどうする?

結局、雇用保険の失業給付が終わるまで、夫の扶養にならないことにしました。国民年金については、給付制限中は第3号被保険者なり、基本手当受給中は、第1号被保険者になることができますが、調べてみたら国民健康保険料が高いので、健康保険は任意継続にすることにしました。だから、退職後すぐには夫の扶養にならず、雇用保険からの給付が終わってもまだ就職できなかったら、そこで健康保険の扶養・国民年金の第3号被保険者になることにしました。

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真知子さんの会社でもありましたが、病気で休職して、その後に会社を辞めるというケースがありますね。
会社で健康保険に加入している人は、労務不能と診断された場合は、健康保険から傷病手当金がでます。給料をもらえなかった病気休業期間の補償です。(標準報酬の6割ですが)
この傷病手当金は退職後も条件に該当すれば引き続きもらうことができます。
しかし、傷病手当金も同じく、1日分が3612円以上なら、第3号被保険者にはなれません。(60歳以上、障害者は上記のとおり違ってきますので注意してください)
退職後、病気が治らず、傷病手当金を3612円以上もらっている場合は、その期間は、扶養になれず、健康保険も年金も自分でということになります。

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