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知っておきたい年金のはなし    第91号 2005年9月21日発行

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10月31日から、社会保険庁の「ねんきん相談ダイアル」がスタートします。
年金相談の電話をかけてもつながりにくいという苦情に対応した社会保険庁のサービスです。(月から金、8:30〜17:00、全国どこからかけても市内通話料金です)
年金の請求などの相談は 0570-05-1165
すでに年金をもらっている人の相談は 0570-07-1165
ここ、「女性のための年金相談室」でも無料の相談をおこなっています。(ただし、無料はメール相談のみです)
自分の年金です。手続きは自分でできますが、損をしないように、正しい情報を得るように、相談はしっかりしておきたいものです。

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第91号 退職後に死亡した場合
★★★ 遺族厚生年金はもらえるの? ★★★
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早苗さんは45歳。夫は48歳でした。
夫は半年ほど前に病気で会社を退職しました。
夫は高校を出たあと家業を手伝っていましたが、家業が経営不振に陥り、廃業しました。その後はサラリーマンとなりました。
勤続15年目に、健康診断で病気がみつかり、入院、手術。しばらく休業していましたが、職場復帰する見込みが立たないので、退職という結果になりました。
退職後は治療の成果もあってだんだん回復してきましたが、ある日、外出した夫は、交通事故にあって、亡くなってしまいました。
せっかく病気もよくなっていたのにと、早苗さんは残念でなりません。
早苗さんには、17歳の高校生の子どもと、21歳の大学生の子どもがいます。 夫が仕事を休んでいる間、子どもの教育費と病気の治療費で貯金はかなり減りました。
生命保険に加入していましたが、充分な金額ではありませんでした。
さて、遺族年金はどうなるでしょうか。

●保険料を滞納していませんか

遺族年金をもらえるかどうか、それには条件があります。
早苗さんの夫の場合、保険料をきちんと納めていたかどうかが問われることになります。
夫は会社に勤めるまで国民年金の保険料を払っていませんでした。年金の保険料を払うようになったのは、会社に勤めて厚生年金に加入してからです。保険料を納めた期間は15年ちょっとしかありません。しかし、これでも大丈夫。
退職後きちんと国民年金の保険料を払っていましたので、必要な保険料納付要件は満たしています。

●誰が遺族年金をもらえるの?

遺族年金は、保険料を払った本人がもらうことのない年金です。本人は死亡してしまうのですからね。
誰がもらうのか、この場合は、妻である早苗さんです。17歳の子どもがいるので、その子も遺族年金の対象となる遺族ですが、お母さんが年金をもらうので、子どもはもらえないことになります。
権利はあるけれど、もらえないということになります。
また、現在21歳の上の子は、遺族年金の対象とはなりません。

●遺族基礎年金は子どもが18歳の年度末まで

早苗さんは、下の子が18歳の年度末、つまり、高校を卒業するまで、遺族基礎年金をもらえます。
子どもひとりの場合の遺族基礎年金は、1,023,100円です。1年間に約100万円ですね。

●遺族厚生年金は?

遺族厚生年金をもらえる条件として、「初診日から5年以内に死亡」という条件があります。

これは、厚生年金加入期間中に初診日があり、初診日から5年以内の死亡であれば、たとえ退職していても遺族厚生年金がもらえるということです。
では、早苗さんの場合は該当するでしょうか。

●初診日から5年以内の死亡といっても

その病気が原因で死亡した場合です。早苗さんの夫は、確かに初診日から5年以内の死亡ですが、交通事故というそれまでの病気とはまったく関係のないことで死亡したので、この条件にはあてはまりません。
残念ながら、遺族厚生年金はもらえません。

●ほんとにもらえないの?

遺族厚生年金をもらえる条件として、「老齢厚生年金の受給資格期間を満たしている人が死亡したとき」というのがあります。
これは、まだ老齢厚生年金をもらっていなくても、もらえるだけの条件をすでに満たしている人が死亡した場合、遺族厚生年金をもらえるということなのです。
早苗さんの夫は、保険料納付済期間が約15年で、あとは滞納期間なので、老後の年金をもらう条件をまだ満たしていません。
だから、やはり、遺族厚生年金はもらえません。

●大きな違い!

遺族厚生年金は、妻が再婚などの「遺族年金の失権」に該当しない限り、終身もらうことができます。(もちろん、他の年金との調整などで支給停止になることもありますが)
遺族基礎年金は子どもが18歳の年度末までです。それ以降は、どんなにお金が必要だと言っても、もう、ありません。
遺族厚生年金の有る無し、大きな違いですね。

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遺族基礎年金は、妻の生活というより、子どものいる妻の生活を助けてあげるというしくみです。
18歳の年度末、あるいは、障害等級1、2級の子どもの場合は20歳までという制限があります。そういう子どもがいない妻を助けてはくれません。
会社員の夫が在職中に死亡という場合、保険料納付要件を満たしていれば、妻は遺族厚生年金をもらえます。
「うちはサラリーマンだから万が一のときは遺族厚生年金があるんだ!」と思っていても、早苗さんのようなケースもあるのです。
いつ、どういうことで会社を辞めて、厚生年金からはずれるかわかりません。
会社を辞め、公的年金からの保障が少なくなったので、それから民間の生命保険に加入しようとしても、病気があれば加入できないと考えましょう。
やはり、元気なうちに、たとえ会社を辞めても最低限の保障があるように、準備しておくことが大切です。

それから、前回のメルマガに対してご意見をいただきました。
真知子さんには働く気がないのに、雇用保険からの失業給付を当然もらえるように書いているのはおかしいのではないかというご意見でした。
失業給付を受けるには「働く意思と能力」を持っているということが条件です。
ほんとは働く気がないのに、働きたいようにみせかけて給付を受けるというのは違法です。
しかし、前回のメルマガの真知子さんはホームヘルパーの資格を取ったら、仕事を探すつもりでいます。働く意思は持っているということでのお話です。資格を取り、ステップアップし、それから次の仕事を探すというのは、問題ないと思います。
真知子さんの目指すホームヘルパー2級は、3ヵ月あれば取得できる資格です。

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