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知っておきたい年金のはなし    第92号 2005年10月1日発行

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離婚時の年金分割にかかわるご相談が多いです。はやり、女性から。
2007年4月以降は、一気に離婚が増えるかもしれません。
分割を希望する人は、離婚時に分割割合を決めることになりますが、そのときには双方の年金情報が必要です。当事者等への情報の提供は、来年2006年10月から実施されます。
離婚を考えている人は、来年10月以降、情報を請求し、それを元にして考え、話し合ってください。どのような資料なのかは、まだ先のことなので、詳しいことはわかりません。
なお、情報提供にあたっては、相手方の同意は必要ありません。
また、詳しいことがわかれば、お知らせします。

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第92号 在職老齢年金
★★★ 年金カットは怖くない! ★★★
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真治さんは、61歳です。
長年勤めた会社を60歳で定年退職しました。その後再就職先を探し、今は、短時間のアルバイトで働いています。1日3〜4時間程度で、週に3日です。
サラリーマン時代は、残業が多い仕事でした。役職にもついていたので責任も重く、ハードな毎日でした。現在、もう少し長い時間働けるのですが、今の暮らしは、趣味も楽しめてちょうどいいように思います。定年前のようなハードな仕事は、したくありません。
ところが、アルバイト先から、もう少し働く日数を増やしてもらえないだろうかという話がありました。真治さんのキャリアを買ってくれたこともありますし、人手も足らなくなっていたのです。
社員同様毎日8時間、週に3〜4日の勤務はできないだろうかという話でした。職場の雰囲気もよく、やりがいのある仕事なので、働いてもいいという気がしました。そこで、妻に相談しました。
すると、妻は言いました。
「そんなに働いたら年金が減るわよ。年金が減ったら困る!」
さて、真治さんの年金はほんとに減るのでしょうか。

●在職老齢年金のしくみによる年金カットは?

60歳以降働けば必ず年金がカットされるというものではありません。
老齢厚生年金をもらっている人が、厚生年金に加入しながら働くと、在職老齢年金のしくみによって、カットの対象になるのです。
働くといっても、自営業ならカットの対象になりません。

●どんなに収入が多くても?

そうです。何千万円稼いでも、そのために年金がカットされることはありません。理由は、厚生年金に加入していないからです。

●アルバイトなら厚生年金に加入しなくてもいいの?

アルバイト、パートという名称は関係ありません。実際にどういう働き方をしているかです。
1日の所定労働時間と1ヵ月の勤務日数、それぞれが正社員の4分の3以上であれば、厚生年金に加入です。この4分の3とは、「おおむね4分の3」なので、ちょっと判断が難しいですが。

●真治さんの場合

1日8時間という条件は正社員と同じ。問題は日数です。会社では、正社員は週に5日勤務です。
真治さんの契約が週に3日なら4分の3にはなりません。しかし、4日になると4分の3を超えます。
ですから、3日の契約をすれば厚生年金に加入することもなく、年金はカットされることもありません。

●厚生年金に加入したら?

真治さんが4日以上の契約をして厚生年金に加入したとしたら年金はどうなるでしょうか。
それは、年金額と給料の金額によります。
現在61歳の真治さんは、2階の年金しかもらっていません。1階の年金は62歳からです。2階の年金額は約120万円。月額でみると、10万円です。
給料とこの年金月額を合わせて28万円以下なら年金はカットされることはありません。

●おそらく、給料は15万円ぐらい。

そのくらいなら、厚生年金に加入しても年金はカットされません。
年金と給料、両方で今後の生活設計を考えましょう。

●過去のボーナスが影響する

給料という表現をしていますが、正確には、総報酬月額相当額。
総報酬月額相当額とは、年金をカットするかどうかは、現在の給料(標準報酬月額)に、過去1年間にもらったボーナスも含めて計算するということです。
退職したあとも同様です。在職中にもらったボーナスが影響します。ただし、支給月から1年間だけです。

●62歳からまた変わる

真治さんは62歳になると、1階の年金(定額部分)がもらえる人です。
1階の年金が加わったら、また計算が違ってきます。
年金が多くなるので、同じ給料であっても、在職老齢年金は違ってきます。それまでカットされなかったのに、カットされるということにもなります。

●65歳になれば、またまた変わる

65歳になれば、また変わります。
今度は、どんなに収入があっても、1階の年金、正確にいうと、老齢基礎年金と経過的加算(1階の計算方法の違いによる差額)は全部もらえるのです。
カットの対象は、2階だけ。それも、28万円という枠が48万円と増えるので、真治さんのように給与の少ない人は心配する必要はありません。

●加給年金はどうなるの?

加給年金は別扱い。在職老齢年金を計算する年金月額には入りません。年金を一部でももらえると加給年金は全額もらえる、年金が全額停止だと加給年金ももらえません。
もちろん、本来、加給年金をもらえる人の話です。
真治さんは62歳になって定額部分が加わったときに、加給年金もプラスされる人です。

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「年金が減らされる」と言って働くのをためらう人もいますが、給料が少ない場合、年金カットは怖くありません。年金をもらい、給料もある、この方がより老後への準備ができるのです。
不利なのは、経営者など報酬の高い人です。高い保険料を払ってきたのに、年金は全額支給停止になりますからね。
しかし、考えようによっては、確かに年金はもらえなくても、その分、給料という収入があるので、入ってくるお金は多いです。
公的年金は貯蓄ではありません。保険なのです。
経営者の場合、報酬を下げても、下げた分を退職金として準備して、あとでもらうというような工夫もできますが、一般のサラリーマンはそうはいきません。
給料の少ないサラリーマンは、年金カットを怖がる必要はないでしょう。
むしろ、トータルとしてどのようにお金を準備するかという発想で考えたほうがいいのではないでしょうか。それから、やはり生きがいです。
うちの会社でもっと働いてほしいと要望されることは、すばらしいことではないかと思います。

今回は共済年金のことは書いていませんが、共済年金にも同様のしくみがあります。
老齢厚生年金をもらっている人が共済年金に加入しても年金はカットされませんが、退職共済年金をもらっている人が厚生年金に加入すれば、年金はカットの対象となりますので、今回は詳しく説明しませんが、ご注意ください。

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