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知っておきたい年金のはなし    第95号 2005年11月1日発行

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11月ですね。今年もあと2ヵ月。
私の仕事は年金相談だけではなく、労務管理や給与計算などいろいろあるのですが、人数の多い会社では、もう年末調整の準備に入りました。
今年は老年者控除が廃止となり、公的年金控除も縮小され、高齢者にはきびしくなりましたが、もうひとつ変更になったことがあります。年末調整するときに、国民年金保険料を社会保険料控除として申告するときには、証明書が必要になったということです。
今までは、「これだけ払いました」と金額だけを記入すればよかったのですが、生命保険料と同じように、証明書が必要になりました。
滞納しているのに、控除だけ申告している人がいたからでしょう。
「領収書をなくしてしまった!」「銀行口座振替にしているので領収書がない!」という人も大丈夫です。
11月には社会保険庁から証明書がおくられてきます。控除を受ける場合は、必ず、原本を出してくださいね。 しかしながら、証明書の郵送代に、どのくらいのお金がかかっているのでしょうね。
教えてほしくなります。
それはさておき、今日は、事実婚と年金分割のお話です。

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第95号 事実婚と年金分割
★★★ 事実婚であっても年金分割できるの? ★★★
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知子さんは25歳で結婚。そして35歳で離婚し、45歳で再婚、現在53歳です。
最初の結婚期間の10年間は夫の扶養家族でした。パートで働いていた期間もありますが、厚生年金には入っていません。25歳までは国民年金保険料を滞納していました。
離婚後は会社に勤めたので、厚生年金に加入。再婚後、会社を辞めて、2年間再婚した夫の扶養家族になっていましたが、その後また会社に勤めて、現在、厚生年金に加入中です。
その知子さん、いろいろあって、また離婚を考えています。
離婚した場合の年金分割が心配です。というのは、現在、事実婚であるからです。
事実婚であっても、ちゃんと夫の扶養家族として、第3号被保険者にもなれたので、年金分割もできるだろうと思いますが、さてどうなのでしょうか。

●年金制度では

税法では事実婚であれば夫婦とみなしてくれませんが、社会保険法では事実婚であっても、法律婚と同じ扱いです。
事実婚の証明が必要になりますが、ちゃんと証明できれば、問題ありません。

●第3号被保険者にもなれます

知子さんは第3号被保険者にもなっていました。
手続きは簡単。住民票を出しました。
夫が世帯主ですが、知子さんは「妻(未届)」となっています。「戸籍上届出はしていないけれど、夫婦である」ということです。

●遺族年金も加給年金も

遺族年金においても、加給年金においても、妻としての扱いです。
もちろん、事実婚を証明できるということが条件です。
事実婚、なおかつ、住民票も別々だとすると、事実婚関係を証明するのが大変になりますので、遺族年金や加給年金をもらいたいのなら、住民票はいっしょにして、上記のような続柄にしておきましょう。

●では、年金分割も!

ところが、離婚時の年金分割は、違った考え方です。

●知子さんは分割できないの?

離婚時の年金分割では、離婚という定義の中で、「第3号被保険者期間として認定されていない事実婚の解消は除く」となっています。
つまり、事実婚であっても、第3号被保険者になっていた期間は年金分割の対象になるけれど、そうでない期間は年金分割の対象にはならないということです。
知子さんの再婚期間のうち、第3号被保険者になっていた期間のみ、分割対象期間となります。

●事実婚の共働き期間はならない?

そうです、なりません。
共働き期間(夫婦とも厚生年金加入期間)の年金分割は、給料に差がある場合、その差額を最大2分に1に分割するというしくみになりますが、あくまでも法律婚の場合です。

●知子さんの最初の結婚期間は対象にならない?

なりません。すでに離婚してしまっているからです。

●知子さんの年金はどうなる?

知子さんの世代では60歳から部分年金がもらえますが、65歳以降は、25歳から60歳まで35年で計算された老齢基礎年金(現在の価格では約70万円)と、厚生年金に加入した期間分の老齢厚生年金です。もし年金分割できたとしても、再婚(事実婚)した夫の扶養家族になっていた期間(第3号被保険者)の2年分ですから、あてになる年金額ではありません。
もちろん、これから60歳まできちんと保険料を納めたとしての話です。

●自分でなんとかしないと!

離婚時の年金分割はバラ色の制度ではありません。分割できないよりできたほうが、年金をもらう妻にとってはいいに決まっていますが、それだけで生活していける金額ではないということです。
不足するお金をどうするか、考えておきましょう。

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旧態依然とした考えが多い年金制度で、事実婚を法律婚と同じように取り扱うということは、評価のできる内容だと私は思っています。
しかし、これは、現在のように、あえて事実婚を選択するという背景から生まれたものではなく、いわゆる「内縁関係」になる「妻」を救済するような意味でしょう。
ところが、年金分割は違うのです。第3号被保険者期間は妻として認めるけれど、それ以外の期間は認めないというのです。
年金分割となると、婚姻期間がいつからいつまでかということが重要になります。期間によって年金額も違ってきますから。
法律婚なら戸籍謄本で確認できるけれど、事実婚は確認が難しいですね。だから、認めないというのもわかるような気がしますが、それにしても、今までの考え方とは違うようですね。
これも、事実婚の「リスク」のひとつになるでしょう。

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